白雪
世界で一番美しいのは誰? 鏡があの子と言うものだからあらゆる手段で命を狙う。私は知っていた。美を妬む魔女の呪いの矛先がやがて、かつて一番だった私からあの子へ変わること。誰 かの獲物を魔女は狩らない。だから私は森へ向かって命を狙うフリをする。赤い赤い、毒林檎を抱えて。#twnovel
山羊さん使い魔
お嬢様が騒々しい。優雅な食事の時間を妨げるように何かを探している。仮にも明日から魔法学校へと通われるお方がなんと落ち着きのない。入学通知を紛失す るとは恥でしかございません。やれやれ、使い魔たる私がお手伝い致しましょう。デザートの封書、食べ終えるまでしばしお待ちを。#twnovel
バラ色
視力測定で測ることができるのは視力の良し悪しだけじゃない。いいことでもありましたか? いつでも真っ暗闇のあの子の視界が今日はバラ色と確認する。わ かりますかと驚くなんてわかってないのは君の方だ。君に元気をあげたくて密かに用意したバラの花は、気づかれもせずに萎れてく。#twnovel
卵から
その種族は透明で卵の時のみ人の目に映る。36度以上の温度で一定時間温め続けることが孵化の条件であるからという説が有力で、愛らしい姿をしているのも そのためと言われている。貴方も卵を孵したことがあるかもしれない。ぬいぐるみ型卵から孵った透明な彼らは今も貴方の側にいる。#twnovel
狼少年使い魔
魔法学校の入学通知が届いたことを村人は誰も信じない。嘘つきの狼少年め。羊飼いの僕は羊たちを使い魔としその日のうちに学校へと立った。村には今夜も狼 がくるだろう。僕らが村の外れで追い返していただけで毎夜必ず来ていたのだから。遠吠えが切なく響く。まるでさよならのように。#twnovel