ランプの精
誕生日プレゼントをおかんは磨く。お茶でも飲み、そう言ってランプの精にお茶を出す。何を願ったの? 黙るおかん。見かねたランプの精が、主にとって私はオルゴールなのですと笑う。はよ帰り。慌てるおかん。#twnovel 今宵も契約に従いランプの精は語る。歌うように買われた経緯を繰り返し。
豆まき
戦況は悪化していた。数多くの仲間たちの尊い命が奪われ、僕もたくさんの未来を奪った。歩み寄れない僕ら、片道分の燃料を積んだ言葉を投げ合うばかり。空 を見上げれば嘗てない大きなミサイル。この大きさでは相手も無傷じゃいられまい。豆だったんです。最初はただの豆だったんです。#twnovel
輪
ロボットたちは見よう見まねで鉄屑をまく。ジャンクロボから取り出した欠損だらけのデータにその映像は記されていた。鬼はそと福はうち。ロボットたちは思 考する。追い出してもまた翌年には存在する鬼とは何か。消えても生まれる、それは命。ロボットたちは憧れる。鬼に、命の輪に。#twnovel
予定調和
赤鬼青鬼。赤青ときたら黄色だろう。私は探す。黄色い鬼を。見つけた黄色は小さなお花。小鳥が飛び立ち風が吹いたら花鳥風月。月を見ようと見上げた空から 降ってくるのは女の子。さあ冒険のはじまりだ。僕らは過去に縛られそれでも、望む未来を掴み取る。女の子とならそうだ、恋だ。#twnovel
ママ本
この本はママなの。毎日同じ絵本を読む姫に胸を痛める。いつになったら自分を母と呼ぶのだろう。こんなものがあるから。王妃は姫から絵本を奪う。破り捨て ようとした頁、美しい女たちが手招きをする。気づけば王妃も本の中。また一人増えた。のぞき込む姫が嬉しそうに、ママと呼ぶ。#twnovel