こころとしょかん
僕の心に図書館ができた。今までの恋愛やいつか妄想した夢物語などがエッセイや小説、他にも様々な本に姿を変え並ぶ。増え続ける本の整理をあの子が手伝っ てくれることになった。この本はエッセイ? 心配そうに尋ねるあの子に小説だと嘘をつく。エッセイの棚は君との恋にあけておく。#twnovel
防水
雨が降る。傘をさす、長靴を履く。雨を止めるわけにもいかずに雨具はどんどん進化する。雨が降る。傘をさす、長靴を履く、スプレーをする、それからそれか ら。進化した雨具は人を微塵もぬらさない。雨が降る。窓を叩く。人をぬらさず降るよう進化した雨。褒められたくて激しさを増す。#twnovel
眠り姫?
眠り姫のお世話を任された。毎日髪を梳き、ドレスを取り替える。お姫様は綺麗な顔をしているが息をしていない。胸には刺し傷。眠っているなんてとんでもない。きっと彼女は。#twnovel けれど私は黙って髪を梳く。気づけば私の罪になる。百年後に罪を持ち越すため、今日もドレスを取り替える。
心当番
一つだけ心をあげよう。神様は僕たちに一つだけ心をくれた。僕たちは心当番を決め順番に心を使う。今日はとうとう僕の番。これが心か。何を見ても何かを思 う。誰かに伝えたくて、けれど他の個体には心はなくて、笑い話も笑いあえない。残り12時間。僕は受け渡し時間を心待ちにする。#twnovel