片隅の羊
世界の片隅から羊を放つ。伝書羊は空高く駆け、人には通れぬ道を潜り、然るべき場所へと到達する。最近羊は大忙しだ。いくつもの場所を巡ってその毛を真っ 黒にして帰ってくる。こんな片隅からすまないねと労えば、片隅はやがて真ん中になるよ。だって世界は丸いんだからと羊は笑う。#twnovel
羊と魔王
小さな羊が迷っていた。魔王を倒すというのだけれど、このままではきっと倒され焼かれてジンギスカン。私は羊に知恵を授ける。様々な魔王のパターンを共に 研究する。女魔王に子供魔王に実は勇者魔王にそれからそれから。かくして本日時は満ちた。いざ行かん。夏コミサークル初参加!!#twnovel
羊の皮を被った狼
羊の皮をかぶった狼が扉を叩く。騙されてはいけないわとママは言うけれど来る日も来る日も羊のフリしてやってくるのだ。あきらめ帰る後ろ姿。かじかんだ手 から落ちる花びらはねえ、私のため? 私は羊を呼び止める。私を怖がらせぬようにと羊の皮を被るのならば、貴方は羊。私の友達。#twnovel
狼が来るぞ
狼がくるぞ。みんなは半信半疑だけれど。狼がくるぞ。だって確かに来ているのだから。ほらみてごらん。迷える子羊震えているよ。狼がくるぞ。僕は知ってる。彼女の元に忍ぶ彼を。今宵も羊はまた食べられる。狼がくるぞ、知っているぞと、ただそれだけが僕の抵抗。#twnovel
伝説の毛刈り職人
伝説の毛刈り職人に脅えている。パシッと捕え、即毛並みを見極め、速攻刈り上げる。毛刈りという唯一人と羊が一対一で語らえる愛のチャンスを一瞬で終わら せてしまうというのだ。震える僕を大人たちは笑う。愛の深さは時間などでは計れないよと誇らしげに見せつける伝説印の刈り残し。#twnovel