黒歴史ノート
荒唐無稽な世界を描いた物語ノート。机の隅に置き去りにしたまま私は大人になりやがて死を迎えた。生まれ変わった私には記憶がある。私はあの物語の主人公 としてあの世界に生まれた。探さなければ。ハチャメチャなこの世界を正し物語を校正するため、ノート探しの旅が今はじまる。#twnovel
サイレンとナイト
新人トナカイは不満だった。何が暗い夜道だ。サンタが言うほど世界は暗くない。ピカピカの赤鼻など恥ずかしいだけだ。トナカイの怒りをサンタは笑って受け流す。俺らが行くのは空の道、忘れんな。#twnovel 空を駆ける。僕らに気づき忌々しく道を譲る異形の者達は、ねえなんですかサンタさん。
年賀
年賀状をやり取りしている中に実は知らない人がいる。元気ですかと書かれた葉書。住所にも名前にも覚えがない。はじめは気味が悪いと思っていた。けれど僕 が返さずとも毎年欠かさずくるものだから思わず返事を書いた。元気ですか。以来続くやり取り。羊の横に今年も記す。元気ですか。#twnovel
旅と干支
もう何年も会っていない。旅人の君とは年賀状でやり取りするくらい。干支のない国もあるけれど、あればその国の干支が描かれてくる。ベトナムからは猫がモ ンゴルからは豹がさてさて今年は。僕は目を見張る。大きな目が1つに足が3本の可愛い獣。ねえ、君は今どの辺りを旅しているの?#twnovel