羊と夢
なぜ数えると羊は問う。眠るためだと答えたら、数など知らぬ幼き頃は一睡もできずにいたのかと返された。あの頃、僕は毎日ぐっすり眠って……そうだ。僕は あの頃毎夜羊とたくさんの冒険をした。魔王を倒す。姫を助ける。忘れてんじゃねーよと睨まれ笑われ、今宵冒険の続きを夢に見る。#twnovel
#twnvday 『探』
名探偵に憧れていた。現実はあんなじゃないと言われたけれどそんなことはない。事務所を開く。パイプを咥える。ワトソン役を雇う。他にも色々。準備万端あ とは事件を解決するだけとなると、僕はマントを羽織り宝石を盗み出す。怪盗にも憧れる僕を果たして僕は追い詰められるだろうか。#twnvday
ほしさがし
探査を命じられた星は滅びていた。ここまで苦難の道程で、そりゃあもう僕しか生き残れずにいるくらい。帰りつく余力もないしどうしよう。道中みんなで撮っ た星の写真を重ね加工し、僕は一世一代の嘘をつく。ハッケンシタ。最後の力で母星に送る。幻の星は僕らの船の名で呼ばれ続ける。#twnovel
服屋
旅に出るのにこんな服、耐えられないわ。久しぶりにご来店のお客様はそう言って白い裾をつまむ。それではこちらはいかがでしょう。私の選んだ花柄に満足そ うなお客様。実はこれしかないのだけれどと申し訳なさそうに差し出されたお金はお返しする。それは船代。お代はいつかまた来世。#twnovel