くじ
縁日でヒモクジを引く。おやこれは当たりかな。おやっさんがおめでとうと言ってくれるが何が当たったのかよくわからない。確かめようとして引っぱれば、乱 暴にするなと言われた。これは伏線だよ。回収を急ぎすぎるのもよくないし伸ばしっぱなしもいけないと。面倒なものに当たった。#twnovel
ずっと
幼稚園からずっと一緒。家も近いし好みも合うし腐れ縁で何となく一緒にいた。幼馴染みって色々似るのなと思っていたらヤツにだけ彼女が。好きになんなよと クギ刺されてありえねーと答える。いつも同じの好きになったしわかんねーぞと心配するお前のがわかんねー。俺はずっと。ずっと。#twnovel
別府
久しぶりに降りた赤錆びた駅。傘を水玉に染めながらあみだくじの坂道を登る。ビニール越し、滲む景色はあの頃のままだというのに目指すアタリはずいぶん変 わってしまったようだ。右に曲がれば君の待つ喫茶店。おわりのはじまりを遅らせたくて悪あがきする僕を窘めるように汽笛が唸る。#twnovel
縁日
地球に降りて三日目。住み着いた神社で祭りとやらが始まる。みてはみたいがこの姿ではと人の皮を奪い、被り、装う。未知の世界の探索に緊張していると、意 外にも馴染み深い顔が。爺ちゃん。僕は拳をぎゅっと握る。吊された祖父の顔。それを被りジュワッとポーズをとる子供達。畜生。#twnovel
システム
「あなたご飯よ」妻の声。野菜だらけの食卓に僕はため息をつく。「たまには健康なんか考えないでガッツリ肉とか食べたいな」カチッ。「あなたご飯よ」やっ てしまったやり直しだ。間違いを許しやり直しのきく社会をという方針のもと新システムが作られた。「おいしいね」笑い合う僕ら。#twnovel