#twnvday 『古』
「古ってなんだか怖いよね」「怖い?何か憑いたりしてそうってこと?」「大体そういう感じ。泣くなと言われても泣いちゃいそう」「そんなに?」「それにしてもこの記号いつできたのかな」「…まさか古が墓の記号だとでも」「いや正確にはキリスト教の墓の記号だね」#twnvday #twnovel
古の本は魂を持つ。蔵の中、気づけばすっかり古な君は魂を手に入れ、毎日小難しい話を繰り返す。誰にも相手にされない君のその古ぼけたページの隙間に僕は絵を描いた。努めて穏やかに、「ほう」と言う君のスピンがぶんぶん揺れるのが嬉しくて、今日も僕は蔵へ行く。#twnovel #twnvday
嘗てこのダムの下には村があって私はそこに住んでいた。海で出会った小型人魚の君はバケツからぴょんと飛び出し泳ぎ出す。大丈夫? やだ大丈夫って人によって違うのよ人じゃないけど。君は故郷を一目見られたろうか。ぷかりと浮かんだその亡骸をバケツに回収する。#twnvday #twnovel
古の邪なる者を召喚する。だって彼、昨日私の大嫌いな女とお話してた。浮気よこらしめなくちゃ。魔法陣を描き強力なスペルで召喚を組み立てる。さあ出てこい、邪なる者!#twnvday「ちょっと未来のわたしどういうこと?」現われたのは五百年前の私。当時最も邪だったのは私か。#twnovel
黒き瞳
不老不死の王様は人に恋をし妻とした。死の間際、二度と妻は娶らぬと言う王様にお妃様は言う。私はいつか貴方の娘に生まれ変わる。この国には珍しい私と同 じ黒き瞳がその証。やむを得ず妻を娶った王様は新しい愛に癒やされる日々。愛がなければ詰まらないわ。黒き瞳の言葉を思い出す。#twnovel
子供本
さらわれた先は本屋。自分と同じ境遇の子供達が本棚に整理され並ぶ。お前達は永きを生きるあの方々の本だ。次々売れていく仲間たち。さあ行け。とうとう僕 も売れた。どこかで人生を読む見えない持ち主を睨む。お望み通りにはならないが釘付けにしてやる。分類悲劇の僕の物語が始まる。#twnovel