ひとえび
僕がお皿で君を飼い始めたのは立場をはっきりさせたかったからだと思う。僕はヒトで君はエビ。夕食に食べようとして唇に触れた君はあっという間に親指ほど の少女になった。君はエビだ。食べられるべき者だ。日に日に妖しい魅力を備える君がフォークの橋を渡る。白い皿の一線を越えて。#twnovel
羽の種
羽の種を貰った。背中に植え付けたなら小さくて可愛い羽が咲く。毎日水をあげて、雑羽を抜いて、太陽の光を浴びて。すくすく育つ僕の羽。大きく育った羽は重たいけれど、あの空へ僕を導くと思えば。さあ、頃合いだ。バサッ。#twnovel 青い空へ。僕を置いて旅立つ羽をただぼんやり見ていた。
タイムマシン
いかにタイムマシンを駆使しても人生を変えるのは難しい。僕のうだつがあがらない理由。例えば親とか友達とかバイト先とか。思い当たる節を次々あたっているというのに未だ幸せになれない。さてと次なる目標は。#twnovel 久しぶりに元彼を見かけた。何でも人のせいにする癖、なおったかしら。
ガタンゴトン
もうかれこれ三年も列車にのっている。お腹も空かず眠りたくもならないが、退屈で仕方がないのでひたすら空想をする。空想の中、森を切り開き家を建てる。 やがて街ができ、広がる広がる。車が走る。飛行機が飛ぶ。ガタンゴトンガタンゴトン。けれどまだ列車を走らせる決心はつかない。#twnovel
かみ
飢えて死んだ男に神は祝福を与えます。生まれ変わった男が再び飢え死ぬことなどないように、男の糧をパンよりもっとありふれた物へと変えたのです。やがて 男は再び飢えて神の元へ。首を傾げる神を恨めしそうに見上げる男。ありふれた憎しみなどとても食べきれる物ではなかったのです。#twnovel