恋は焦らず
恋してみたい。君がそう言うので機械の身体の胸の部分に小さな心の種を蒔く。毎日かかさず世話をしていると、ぽんっ。赤い小さな花が咲いた。綺麗だねと近寄ると、嫌ですわと逃れる君。恥じらいが可愛い。僕らの甘い恋物語が今。#twnovel 心を知った私は思う。このご主人様との恋はちょっと。
ガラクタ
ガラクタ屋の片隅、買われていく道具たちを羨ましく眺めながらひび割れた小瓶はその身を呪う。なぜ僕は生き長らえている。嘆き続けたある日、店主が小瓶に 手を伸べた。お待たせしたね。呪いはしっかりためたかい? 呪いの器として買われた小瓶。残酷なはずのその手はけれど温かくて。#twnovel
ひとえび
僕がお皿で君を飼い始めたのは立場をはっきりさせたかったからだと思う。僕はヒトで君はエビ。夕食に食べようとして唇に触れた君はあっという間に親指ほど の少女になった。君はエビだ。食べられるべき者だ。日に日に妖しい魅力を備える君がフォークの橋を渡る。白い皿の一線を越えて。#twnovel
羽の種
羽の種を貰った。背中に植え付けたなら小さくて可愛い羽が咲く。毎日水をあげて、雑羽を抜いて、太陽の光を浴びて。すくすく育つ僕の羽。大きく育った羽は重たいけれど、あの空へ僕を導くと思えば。さあ、頃合いだ。バサッ。#twnovel 青い空へ。僕を置いて旅立つ羽をただぼんやり見ていた。
タイムマシン
いかにタイムマシンを駆使しても人生を変えるのは難しい。僕のうだつがあがらない理由。例えば親とか友達とかバイト先とか。思い当たる節を次々あたっているというのに未だ幸せになれない。さてと次なる目標は。#twnovel 久しぶりに元彼を見かけた。何でも人のせいにする癖、なおったかしら。