#twTorT
「おかしをくれなきゃいたずらするぞ!」いつもと違う賑わいに誘われ街にでてみればゾンビに魔女。仮装パレードだ。お菓子はない。困った僕はそれじゃ悪戯をしますと首を外して見せた。大笑いする子供たち。いつもとは違う明るい反応が嬉しくて僕はそのまま成仏する。#twTorT #twnovel
「悪戯されたいのでお菓子あげません」という大人が増えた。由々しき事態に我々は立ち上がる。ニヤニヤする大人を書ける石で描いた円の中に立たせた。「お、魔法陣か?召喚か?」ふざけるな。#twTorT #twnovel 円に向かい矢印と文字を書く。「悪戯好きの大人です」お巡りさん召喚!
今年、ジャック・オ・ランタンに選ばれたのはアイツ。あの子の夜道を照らす栄誉あるお役目を僕も狙っていたのに。やっぱり顔かとやさぐれていると、これがいいわね。僕は家の中へ。#twTorT #twnovel ただいま。パレード帰りの君を出迎える。スープに進化した僕が心まで温めてあげる。
箒が不調で飛べやしない。相棒もおでかけみたいだし今日はお休みね。ため息をつく私に、お揃い!と魔女のかっこの見知らぬ少女。手を引かれるままハロウィンの街へと繰り出した。#twTorT #twnovel 箒には昨日のうちに話をつけた。今日一日は遊ぶのにゃ。少女のお尻に黒い尻尾ゆらり。
朝からあの子を待っている。去年素敵な歌を歌った可愛い子。来年もくるねと約束したのにまだこない。夕方も過ぎて深い夜、あの子だ。招き入れて南瓜スープとお菓子を振る舞う。こんな時間にしかこれなくてごめんねと謝るあの子を抱きしめ今年は私が鎮魂歌でお見送り。#twTorT #twnovel
トリックオアトリート? 今日くらいはトリートで。名探偵の答えにがっかりする子供たち。僕らの最高のトリックを見せつけたかったのに。手渡された小さなチョコの包み。目を丸くする。暗号だ!#twTorT #twnovel 安楽椅子ゆらり。今日は君たちが名探偵。おいしい謎を召し上がれ。
がめ煮
がめ煮食べたいな。呟く僕に何それとも言わず、私も好きと笑う彼女と意気投合。今では時々がめ煮を作ってもらう仲だ。実家の味に似ているだなんて運命を感じる。#twnovel がめ煮は彼の母親に教わった。対象に近づき情報を引き出すための手段。息子を心配する母親からのスパイ要請は絶えない。
GAMENI。嘗てそんなものがあったそうだ。古の惑星地球。今は亡き故郷が残したたった一枚の写真を手がかりにまずは材料を推理しがめくり、即ち寄せ集 める。歯車に釘に鉄板にオイルにピコピコランプそれから。鍋でコトコト煮込めば何が出来るのか。我らと同じ機械かはたまた。#twnovel
あんたホントにがめ煮好きねって手作り料理を振う彼女。幼馴染みカップルに敵うわけないし大体それって筑前煮だし。とか思っていたなら青天の霹靂。アイツ のこと好きなの?って。応援しちゃうよ!って。彼女に背中を押されて彼の困った顔に気づかないフリの奇妙な三角関係がはじまる。#twnovel
今日はがめ煮だよと先に帰宅していた夫が言う。我慢できずに鍋からパクり。まだにているところなのにと窘める彼に、やっぱりなんかにてるよねと言ったら、 うんにてるから熱いよって。違う違うにてるってにてるんだけどまあいいわ。これがうちの味。味付けで喧嘩したあの頃が懐かしい。#twnovel
古い魔導書を見つけた。彼への思いを募らせた私は禁断の魔法薬に手をだす。今ではもう珍しい古の動植物が材料として並んでいるけれど諦めるわけにはいかな い。険しい山へ登り、泥沼をかき分け、生け贄として鶏も捧げた。「彼の心をわしづかみ」というがめ煮の魔法よ、貴方に届け。#twnovel
赤×芋虫
儂は蝶にはなりたくない。いつかお前はヒラヒラといなくなる身じゃと赤の女王はそう言うが解っておらぬ。蝶というのはそなたのことじゃ。そなたはいつか、 いつか儂の元から飛んでいく。間違えて引き止めようなどとしてはならぬから儂は、手も足もでない芋虫の、今の姿がちょうどよい。#twnovel
カップラーメンの麺が伸びている
カップラーメンの麺が伸びている。味気ねえと思いながらその一本をすする。すする。もうどれだけすすったろう。友は子を生み父母は死んだ。すする。それでもすする。腹が膨れれば生きてはいけるのだ。生きては。失ったものを数えたくなくてしょっぱい麺をすする。#カップ麺が伸びる #twnovel
カップラーメンの麺が伸びている。蓋を開け湯を入れた途端、君から電話でお天気の話。やむなくもう一つ開ける。お湯を入れる。またも電話で最近の話。なんてことを繰り返し、並んだ並んだカップ麺。さてあともう何個開けたなら君に好きだと言って貰えるだろうか。#カップ麺が伸びる #twnovel
カップラーメンの麺が伸びている。伸びた麺はやがてカップの底を破り、その下のテーブルをも突き破り、大地へと根をおろす。すくすく育って春には花を咲か せ、秋には小さなカップ麺を実らせるのだ。カップ麺すら食べ損ねるこの星を、いつしか麺が優しく抱きしめその息の根を止める。#カップ麺が伸びる