ロボットの見る夢
目を閉じて横たわる。これが眠る。これだけで何時間も過ごせるようには思えない。呼んでも答えなくなるほど人が夢中になれる何か。そう夢とやら。瞼の裏側、映し出されているであろう夢とはきっとこんな。#twnovel ロボットの瞼で作られたという絵本。描かれているのは余りに平凡な人の一生。
蝉の声
蝉の合唱。大合唱。ママはうるさいと窓を閉めた。ママは忘れている。蝉の合唱が耳障りではないことを。ママには聞こえない。一番大切な蝉の声が。その蝉の 声は大人になると聞こえなくなるという。全ての歌唱を繋ぐ一番大切な蝉の声。短い夏のハーモニーを聞きに、私は今日も太陽の下。#twnovel
魔女と花
絶滅に瀕した花を魔女はことごとく奪った。滅びをはやめる魔女を人々は憎み牢に繋ぐ。やがて花々は硝子球に封じられた状態で枯れもせず見つかった。取り出 せる者はいない。穏やかに笑む魔女。今の科学や魔法では救えぬ滅びをいつか誰かが食い止める。その日までこれはささやかな抵抗。#twnovel
羊たちと沈黙
眠れずに羊を数える。数えた羊は増え続け庭まで溢れる。これを活かさぬ手はないと毛糸を紡ぎ、肉を売り、莫大な富を手に入れた。素晴らしい日々。たくさんの出会いと別れ。駆け抜けるような人生を終えた僕は孤独の中人生を、いや、羊たちが側にいてくれた。夢だった。#twnovel