ツボ
君の弱みにつけ込んだ。僕の欲望やそういうどうしようもない全てを抗う力を持たない君につけ込む。それらは毎日変化して、実は君の思う壷だと気づいた時に はもう食べ頃。すっかり味を変えた苦い気持ちは今では少ししょっぱくてどういうわけだか少しおいしい。お茶をどうぞと君は笑う。#twnovel
100m走
同じ人に恋をした。抜け駆けはしない。告白するのは100m走で勝った方と約束したから、放課後毎日走ってた。位置についてよーいドン。勝ったのは私。待 ち受けた彼が手をとったのはあの子。私が練習している間に二人がしていたことを聞いた。告白はされたのよ。勝ったのは私なのに。#twnovel
鏡
鏡が恐かった。不出来な自分を見つめたくなくて、そそくさと用事をすます。目が合わぬよう髪を整えていると、鏡の中の私がクシを落とした。つられて私も。ニヤリと笑う私が私に、私の方が相応しいわと告げる。#twnovel 今では私が鏡の方。生活は全く変わらないけれど、どこかほっとしている。
#twnvday 『ゴール』
「結婚はゴールじゃない」なんてわかった風な意見があるがこれはゴールだとテーブルの向こう側、対戦相手を見上げ思う。一戦目のプロポースで彼女のゴール を華麗に奪い二戦目、思わぬ苦戦を強いられる。母親には不戦勝した。このリーグ戦最強最後の敵、父親からゴールを奪ってみせる。#twnvday
「お嬢様明日は #よいこ大賞 締め切りでございます」「何故 #twnvday にそんなことを?」「お嬢様の麗しの瞳は輝くだけの宝石ですか?締め切りとはつまりゴール。まさにテーマ通り」「成程」「つまり。さあ!このパス無駄にしないでよいこ大賞へ #twnovel をゴールしなさい!」
周回遅れの僕を急かすような拍手を温かいと思ったことはない。みんなが終わった時点でやめにしてくれたってかまわないのに、教育的配慮とか誰かの感動のために僕は走る。高まる声援。順位など関係ないという素振りで、一位しか切れないはずのテープが虚しく絡まる。#twnovel #twnvday
からからからから、変わらない景色に心が折れそうな日。からからからから、それでも俺は信じて走り続ける。からからからから、ひょい。「減量成功だわ」首根っこ掴みやがって笑うご主人が可愛いから、辿り着くべきゴールはここだったと思う。@AnaiAkino #twremix #twnvday
もうかれこれ数時間。君の部屋であのねと言いかけては口をつぐむ。大切な話があると言ってしまった手前、誤魔化すわけにもいかず困っていると、台所から僕 を呼ぶ声。これは何だ。台所入口、右から左へ渡る紐。向こう側には手を広げる君。勝てる気がしないな。僕は今、ゴールテープを。#twnvday
険しい道のりには山も谷もある。力を合わせて共にゴールを目指しましょ。笑いあって、手を降って。背を向けた私たちはそれぞれのゴールへ歩き出す。それが最高のあなたへの、わたしへの手助け。それ以上はない。それじゃあ、お元気で。#twnovel
魔法の筆
道具屋で魔法の筆を手に入れた。これを使いあるべきものをあるがままに描けば生きた絵画になるという。細心の注意を払った一筆。けれど何一つかわり映えし ない。店主に苦情を言うとあるがままに描かないからだといわれた。指摘された最後のパーツ、心の描き方を僕は未だ解らずにいる。#twnovel