カーテン
いつものようにカーテンを開けるといつもの世界はなかった。新しい世界が言うには、「あいつは北へ向かったよ」って。私に何一つしてくれなかった。何も言 わないし冷たいし。それにそれに……それからいつも側にいてくれた。「どこへ行くの?」北よ! サヨナラも言わないなんて、許さない。#書き出し
夢の続き
夢の続きを見るために開発されたこれが(デデン)「夢見る坊やでいんじゃない2014」 です。TVの向こう、紹介されてるそれは明らかにただの枕。「近所のお姉さんの膝枕をイメージ。胸元に邪魔され見えない唇が『眠れないの?』と囁けば夢の 続きだってきっと」気がつくと電話していた。#書き出し
玉葱
玉ねぎ付き小説が発売された。ミステリー小説でもないのに謎を残したまま二巻には人参、三巻には豚肉、四巻には馬鈴薯がついてきた。これはおいしい肉じゃ が作りが目的であろうと誰もが信じたところで五巻には嘲笑うようにカレールー。五巻発売の夜には日本中がカレーの香りに包まれたとか。#書き出し
満月
今宵の満月は私がいただいた。私は月など大嫌いだ。君ときたらいつでも月のことばかりだ。月が綺麗ですね?ちゃんちゃらおかしい。綺麗なのは……いやもういいさ。#書き出し 怪盗よろしくマントを翻し彼は二階のバルコニーから華麗に落下。 酔っているのかしら。上手に好きと言えない私を許してね。