飢える
飢えるくらいがちょうどいい。例えばトマト。水をたくさんあげない方が甘く美味しくなるだろう。それと同じだ。君は僕に飢えなさい。女は甘い方がいい。#書き出し @apple_dop 甘くおいしい私になったら引く手数多よ不安じゃない? 脅しても動じぬ貴方の自信は悔しいけれどきっと正しい。
信用
「なんで俺を信用できるの?」狼男をカミングアウトしてから彼はずっとこんな風。「できるわ」「どうして」「ね」「なんだよ」「大好き」ドンドン。#書き出し 誤字じゃないわ。ドキドキだけどドキドキじゃない。私の言葉に尻尾が揺れてぶつかってドンドン。信用できる尻尾のことはもう少しだけ秘密。
愛加工
食べ飽きた愛を凍らせたり乾かしたり塩漬けにしたり。保存された愛は毎日手を変え品を変え、少しずつ食卓にあがる。嫌々食べるのは無理だしだけど腐ったら 困るから。パンケーキに添えられた愛のこもったジャムが甘い。レパートリーを増やし続ける君に負けないよう、今日は花を買って帰ろう。#書き出し
まぶたのうら
まぶたの裏に見えたのは暗闇。目覚めぬ君の真似をして目を閉じた。これから百年、君は呪いで眠り続けるという。僕との恋をお留守にして困ったお姫様だ。絵描きの僕ができる最後の贈り物を君に。#書き出し おぞましい口づけで目が覚めた。押し倒されたままで見上げた天井に、懐かしい星空の絵が滲む。