行列のできる本屋
いよいよ発売日。その本を求め本屋には長い行列ができた。慣れた素振りで思い思いに待ち時間を過ごす。やがて動き出す行列。思い思いに本を受取り、思い思 いに帰って行く。思い思いに本を開けば物語はそこでおしまい。感動した。体感シリーズ買うまでの物語。次こそは先頭の物語を。#twnovel
波音
海の音が失われてからどれくらい経ったろう。淋しさに耐えかね波音を奏でる貝をまく。天気に合わせ音を管理するうちに、どうせなら音楽にという声があがっ た。毎年その夏一番の歌を奏でる貝をまく。これは三年前の。これは去年の。一緒に海に行った男の数だけ窓辺にずらり、並ぶ貝殻。#twnovel
人生の参考書
人生の参考書を探しに本屋へ向かう。
欲しい本があるんですとレジで伝えると、「はぁ?」 って。
冷たい視線が痛い。
「あなたバカ? 参考書って何言ってるの? そんなのね」
やっぱりないのか。
「全部よ!」
さあ選びなさいとばかりに眼鏡の奥が光る。
じゃあ、じゃあ僕は店員さんを。
勇者→
勇者だった、はずなのに教会で蘇った私はどうみても魔法使い。すっかりか弱くなっちゃったねと蘇生術を施してくれた幼馴染みの牧師も苦笑いする。行ってくる。うんまた来てよ。ばーかもう死なないわ。#twnovel 小さな背中を見送る。いつになったらあの子、花嫁に生まれ変わってくれるのかな。
魔女印惚れ薬
魔女印の惚れ薬を手に入れた。はやく飲ませないと効き目が落ちるよと言われ大急ぎで彼に飲ませる。どうか私に甘い言葉を。素敵な愛を。#twnovel キスしてもいい? 彼の熱い視線を受け止める、魔女。お前に惚れると誰が言った。ギリリ拳を握りしめてももう遅い。私は魔女になる決意を固める。