同じ着メロ
着メロが響く。僕と、それから通りすがりの知らない女性のスマホから。偶然に驚きながらもそれぞれのスマホを確認し終えた僕ら目が合う。これは運命? いや使命だ!#twnovel 頷きあって駆け出す。僕らは地球防衛軍。緊急事態発生のメロディーが違う場所からも聞こえた。同志よ、いざ行かん!
そらいろ
空を塗りなさい。そう言われてきょろきょろと辺りを見渡す。赤に青、黒に黄色の水玉模様の子もいる。どんな色でもいいらしい。ならばと僕は、僕の一番好きな空を描く。#twnovel 先生の怪訝そうな顔。赤と黄色のタータンチェックの空にしたんだけど、僕が他の星から来たってバレてないよね?
フラグ
なんだか道に迷ったみたいで。扉を開けると男が一人。聞けば旅行中の探偵らしい。ちらつく雪。僕は考える。これは罠だ。屋敷に一歩入れしまえばそこから始まる密室殺人。僕は犯人か被害者に。#twnovel やむを得ず追いだすと翌日報道陣が。「こちらが雪の中Aさんを放り出した」バッドエンド。
行列のできる本屋
いよいよ発売日。その本を求め本屋には長い行列ができた。慣れた素振りで思い思いに待ち時間を過ごす。やがて動き出す行列。思い思いに本を受取り、思い思 いに帰って行く。思い思いに本を開けば物語はそこでおしまい。感動した。体感シリーズ買うまでの物語。次こそは先頭の物語を。#twnovel
波音
海の音が失われてからどれくらい経ったろう。淋しさに耐えかね波音を奏でる貝をまく。天気に合わせ音を管理するうちに、どうせなら音楽にという声があがっ た。毎年その夏一番の歌を奏でる貝をまく。これは三年前の。これは去年の。一緒に海に行った男の数だけ窓辺にずらり、並ぶ貝殻。#twnovel