辛口
「肴は辛いモノがいいな」「塩辛、キムチ、手羽先」「どれもいまいちかなあ」「文句ばっか言わないで!少しは自分で考えなさい!」 「あ、え、あ、は、い」 「今のはどう?」 「へ?」「ちょっと辛口意見にしてみました、なーんて」「(僕には甘いご褒美でしたとか言えない)」#twnovel
種
お婆さんは桃から生まれたその子を大層可愛がりました。おばあさんの愛に応え、遙々海を越えてきたその子を鬼達は不思議な顔で眺めます。#twnovel「種だな」「桃の種だ」「動いてるぜ」「婆さんに我が子のように育てられたって」「俺ら昔、婆さんの子供喰ったからな」「でも種だな」「種だ」
ガラスの靴はおいていくわ
ガラスの靴の持ち主を求め、王子様の使者がやって来た。「きたわシンデレラ」魔女が囁く。あの日の恋心が蘇る。緊張の一瞬。今、足を。#twnovel「おおっピッタリだ!」ざわめく従者たち。「そうなんです。実はこの靴、私のものなんです」少しうつむき頬を赤らめている魔女を私はどうしよう。
人ごみ
人ゴミが辛すぎて粗大ゴミ回収に転属した。捨てられた人々の縋るような目。罵詈雑言を浴びせられることも少なくはなかった。粗大ゴミは僕をみない。粗大ゴ ミは喋らない。快適なはずの日々、なのにどうしてだろう。ありがとう。覚悟を決めた人ゴミの最期の言葉を表情を、懐かしく思う。#twnovel
#twnvday 『up』
僕ら1UPキノコで増えた。とうの昔にいない本体から魂を受け継ぎもう何代目だろう。魂に刻まれた使命に導かれ戦う。けれど中には理由なき戦いを疑問に思 う者もいる。内なる葛藤を押えきれず、けれど宿命から逃れることもできない僕らの類似品。ルイージする彼らは別の名で呼ばれる。#twnvday
OP(オペ)室勤務は人気がない。その一番の理由は閉塞感。もっと風通しをよくしなければ。まずは名前からだと風穴ズドン。OP室はUP室に名を変えた。ところでPの方は? いえ、まるっと公開するわけには……P、プ、そうプライバシーに配慮して。#twnvday UP室は今日もあっぷあっぷ。
メイクアップしてスキルアップしてレベルアップして上へ上へ。突き進む、上へ上へ。屋根を越えて雲を越えて宇宙を越えて上へ上へ。突き進む、上へ上へ。見下ろせば神様気分。てっぺんまできたその喜びと、やがてくるだろう最高の証明を予感して震える。きた。転落。#twnvday #twnovel
思えば子供の頃からその思想は遊びという形で叩き込まれていた。上昇志向。高い高いで見下ろす素晴らしさを、高鬼で高さゆえの利益を。それからにらめっこでも。#twnovel #twnvday「にらめっこ高さ関係あったっけ?」「やってみようか」「「……にらめっこしましょ、アップっぷ!」」
さほど不便と思わず更新せずに使っていたなら旧版が突然のサポート終了。最新版が無料のうちにと慌ただしく君を更新する。#twnvday 同じ笑顔で以前とは違う完璧なお茶を淹れる君。技術の進歩に驚きながらも、「熱いですのでお気をつけて」と冷めるまで歌ってくれた。あの日の歌が懐かしい。