右左
右から左、移り行く景色うらはら目的地につかない。扉の外は出発したはずの駅のまま。問い詰める僕に、「出発するとは言ってません」と駅員。だって景色が。「景色が変われば進む。決めたのは貴方です」#twnovel 僕は今も揺られてる。だって切符を買ったんだから着かないはずがないでしょう。
夫婦
殺したはずの妻が戻ってきた。ねえあなた晩ご飯なににする?って、確かに殺したはずなのに。あの感触に未だ苛まれ悪夢にうなされる俺は、妻の笑顔に殺意を覚える。気がつくと俺は前と同じように妻を。#twnovel 殺されたはずの私はまた戻っていく。小心者のあなたが罪悪感で苦しまないように。
遠い歌
ヘッドフォンから流れるのは海の向こうの知らない歌。いつだって音楽が貴方の居場所を教えてくれる。遠いなあ。けれど旅の行く先々から送られてくるその音 楽で、近くにいるより気持ちが解る。隣にいたって甘い言葉の一つもくれなかった。貴方が送ってくれるのは、いつもいつも愛の歌。#twnovel
洗濯屋
心の汚れが落ちない。既存の洗剤ではもう無理ですと洗濯屋に言われた。もっと強い希望や愛が必要です。#twnovel 強力な洗剤を手に入れるため、僕ははじめて人を愛した。未来についての希望も持った。そして数年後、再び洗濯屋へ。「すっかり汚れが落ちてますね」洗濯屋は笑って僕に手を振る。
悪夢
夢をみなかった? 失礼な奴だ。毎日きちっと上映してるよ。#twnovel 映夢館のおっさんは職人気質。見てないなんて言ったものならヘソを曲げてしまうから。そういう時はこう言うといい。獏に喰われたみたいです。そうか獏なら仕方ねえな。ところでそこで納得するってどうしていつも悪夢なの?