スイーツ
君って案外苦いんだね。甘い恋ができると思ったのに。そう言ってみんな離れてく。今度の貴方もきっとそう。口づけた瞬間表情が変わってきっと……変わらな い?「私は甘党でね」紳士に手をとられティラミス嬢は頬を染める。「甘党が過ぎて苦味でもないことには甘みが感じられないのさ」#twnovel
お堅い方がいいとか柔らかい方がいいとか。甘さが欲しくて求めてきたのに甘すぎるのは嫌だとか。もういい加減にして。怒って顎をツンとそらす君が可愛くて 思わず触れると震えていた。誘われるように大人びた黒い帽子を外せば、ぎゅっと目を閉じ覚悟を決めるプリン娘。イタダキマス。#twnovel
うんうんそうね貴方ってすごい。空っぽの会話でふわふわ笑えばみんな私を好きになる。心ないお喋り、軽い女と思われてるみたい。だけどいいの。ぽっかり穴 の開いた心を慰めるにはちょうどいい。だからいいの。いいの? ミスシフォンケーキは考える。空っぽで空っぽは埋まるのかしら。#twnovel
こいチョコレート
召し上がれ。 差し出されたチョコレートをパクリ一口。 チョコは毒にも薬にもなるわ。 そう言って笑う君にこのチョコはどちらかと尋ねる。 貴方はどう思う? そう返してくるけれど本当はどちらだっていい。 恋は毒にも薬にもなる。それと大体同じこと。#twnovel
沈む街
街は水没した。避難した人々は今日も水がひくのを待っている。そもそも水没の原因はわからない。ここには潤沢に食料も水もあるとはいえ不安な日々。時々、 あちらから船が来る。選ばれた人だけをのせどこかへと消える。みなが羨望の眼差しで見つめるがその船の行方を誰も知らない。#twnovel
約束の選択肢
「ねえあなた明日お花見行かない?」ムリだと断ると妻は、「ねえあなた明日お花見いかない?」繰り返す。再び断ると、「ねえあなた」顔色一つ変えずに何度も。困った僕は家をでた。#twnovel 「仕様です」と店員。「お得な愛妻家用をお買い上げでしたよね。YESにしか反応できない設定です」
空の指輪
空は毎日消費される。お天気屋の女王陛下が「羊を放て」「夕に焼け」。次から次へと違うお空をご用命。我らその度空をはりかえ月の形に空を切る。満月の 日、まあるい空をくすねトンテン指輪の形に加工する。売ってしまえば今宵の酒代。酔えば陛下の我儘さえも少しは愛しく感じられる。#twnovel