妄想くらべ
膝頭ふれた初めてのあの夜の震えるキスからやり直そうよ (こはぎ) #妄想くらべ
二人だけでお留守番なんてはじめてだったよね。なのにあの日はすごい嵐で突然の雷。震える私を君は押し入れに案内してくれた。「僕の秘密の隠れ家さ」っ て。そこには沢山の宝物とそれからぬいぐるみ。私たち二人ぎゅうぎゅう詰めで隠れた。ぶつかる小さな膝と膝。ほっぺにキスをくれる君。#妄想くらべ
あれから幾年。一人だけでお留守番なんて慣らされてしまったよね。例え今日がすごい嵐で突然の雷だったとしても、私は平気で好きな本など読むのだろう。騒 がしさを少しばかり迷惑に思いながら。あの日のキスからずっと隣にいたはずの君は、同じ名字になってからの方がずっと遠い。#妄想くらべ
どうしてこんな風になったんだろう。雷が鳴る。すっかりただの物入れになった押し入れを懐かしさでそっと開けた。そこにはあの日のぬいぐるみがあの日のま ま、ううん。この前あげたプレゼントのリボンがそっと結ばれている。ねえ、やり直そうか。この押し入れで幼馴染みのあの頃に戻って。#妄想くらべ
メイドのベル
心地よいこのべるの音。お客様だわ。メイドのべるはいそいそと扉を開きます。けれどもどなたもいらっしゃらない。閉めようとする扉の足元、チリン。#maidnovel #twCATnovel 猫のべるはメイドのべるにスイッと体をすり寄せます。次のべるはそう、アナタにゃ。 #twnovel
お帰りなさいませご主人様。メイドのベルは頭を垂れるとふわり、エプロンを広げ旦那様の一日を受け止めます。白いエプロンはすっかり黒へ。こびりつく黒い言葉を優しく手なづけ、ベルはついーと世界へ還す。再び輝く白いエプロン。#maidnovel の署名があれば、それはきっともしかしたら。
ご主人様は命を預かるご職業。生きているなど些細なことだと仰いますが、お仕事のあと僅かながらお酒の量が増えることは存じております。魂を狩る手が唯 一、生かすため私のゼンマイを巻く。奪った命の分だけ巻けば少しは慰められるでしょうか。死を糧に淹れたお茶で一日が始まる。#maidnovel
老執事が死にました。屋敷の全てを知る立派な執事でした。丁重に葬られましたが墓の周囲は呪われたように一本の草も生えません。旦那様が必死で草花を植え ましたがすぐに枯れてしまうのです。そのハゲあがった大地こそ、彼が秘密を墓まで持ち込んだ証拠と知るのは旦那様ばかり。#maidnovel
私の涙で育てた花をご主人様は手折ります。手折った花を束ねてふわりと綺麗なリボンをかけるのです。捧げる先は決まっています。花より可憐なお嬢様。お役に立てたと喜びそれから私はほろりと泣くのです。私の涙で育てた愛を祝して鐘がゴーン、ゴーン、ゴーン。#maidnovel #twnovel
ねえ綺麗?お嬢様は目が見えません。物言う鏡の私はいつでも、お美しゅうございますとお答えします。本当に?嘘ではなくて?繰り返し尋ねるようになられた のはあの方の声に頬を染めるようになられてから。私は魔法の鏡。ずっとお側で申し上げます。世界で一番美しいのは貴方です。#maidnovel
宴が終わるとメイドは僕にお茶を勧めた。なんだこの冷めたお茶はとのぞき込めば何も映らない。お忘れでしたか。そうだすっかり忘れていた。ゆっくりと飲み干す。さあいこうか。はいご主人様。少し寂しいな。ですが物語は残りますわ。お屋敷にもしくは貴方の胸に刻まれたその、#maidnovel
#滅亡と愛
鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ? それは。 #滅亡と愛 #twnovel その日からお妃様は毒林檎作りに夢中だ。大きな嘘で君を守るよ。けれどもしも、この人が成し遂げてしまったならば一緒に死んでくれるかな。 お妃様は毒林檎を埋める。 世界で一番美しいもの、それは世界です。
いけないことはいけません。愛ゆえに発した言葉でした。 めっ。 #滅亡と愛 ぴしぴし、がらがら、どんがらがっしゃーん。崩れゆく足元。 めっ、メツ、滅。それは滅びの呪文。おおせのままに。 pic.twitter.com/kAqMeB2BmE
星へ行く船は十分にある。地球を後にする人々の前に一人の少女が立ちふさがった。@kusunokidan #twremix「ごめんなさい」大きな瞳から零れる涙。「今までありがとう…さよなら」涙を堪えて笑おうとするその子は地球。とりあえず多くの日本人は船から降りて共に滅びた。#滅亡と愛
貴方がくれた藤の簪には魔が潜んでいた。要らない私を片付ける為の美しい罠は頭蓋骨を突き破り、根を張り巡らせると永遠の花冠の如く咲き誇る。やがて私を食い尽くした藤は、家を、森を、貴方を、世界を食い荒らす。全ては糧に。貴方のその手で私達、一つになる運命。#twnovel #滅亡と愛
「愛が滅亡したってニンゲンが騒いでるのぉー」 「バカね」「バカね」 「「大バカね」」 「二度と手に入らないってマジ受けるんですけどぉー」 「愛なんて」「愛なんて」 「「はじめからないのにね」」 「だって愛って」 「生まれるものだから」 #滅亡と愛
愛によってこの世界は終わるらしい。滅びをより確実なものとするため、滅びに少しでも荷担するため、僕は「愛」をはじめた。死に物狂いで彼女を作って、迎える終焉の時。空から降る色とりどりの流星を眺める。終わりだね。君の震える手を握りしめ僕は願う。君といきたい。#twnovel #滅亡と愛
「終末がやってくるね」 「うんうん週末がやってくるね」 「終末楽しみだね」 「うんうん週末とても楽しみだね」 「できれば君と逝きたいなあ」 「うんうん私も貴方と行きたい」 「幸せだな」 「うんうん幸せだね」 #滅亡と愛
願いなんてないと言う人がいたんです。そんなことないですよね。毎日扉を叩きました。毎日毎日話を聞いていたら1年後、願いが叶ったって。やっぱりあったじゃんって思いましたし、嘘つきは嫌いなんで消してやりましたよ。@hyuugahikage @23novel #twremix #滅亡と愛
愛と死とは隣り合わせ。 ほんの少し指がすべると、AIはSIへ。 あなたのキーボードの左の方。 寄り添い合う愛と死。 #滅亡と愛
#読むスープ
好きになって欲しければ自分から好きと言えばいい。優しくして欲しければ自分から優しくすればいい。祖母が教えてくれた魔法はたくさんあるけれど、これも その一つだ。仕事で煮詰まった時にはスープを作る。お気に入りのお皿に流し込んだらスプーンで一口。すくわれたければすくえばいい。#読むスープ
今宵も広間で開催されるお妃選びの舞踏会。私の仕えるかぼちゃ王子のお妃様を探します。甘く優しい王子様。何方ともすぐ打ち解けられても運命の方が見つか らない。もっとおいしい素敵なスープをきっと築けるはずなのに。慰める私に、君と二人きりもいいさと嬉しそうに笑うのです。きゅん。#読むスープ
時々食卓に現れるそのスープ。誰の言葉も届かない悲しい夜にも、母の作るこのスープだけはすんなり入ってきた。そういえば、泣きたい気分の時ばかり飲んで いると気づいたのはいつだったろう。レシピは内緒。母はそう言うけれど、私は多分このスープの素材を一つだけ知っている。一つだけ。#読むスープ
スープのサラダなのかサラダのスープなのかそれが問題だ。探偵さんはそれはそれは丁寧にスープを検分なさいます。まだですか。ええまだですね。いらいら、 いらいら、いらいら、どかーん。つべこべ言わずに温かいうちにおあがりなさい。貴方が野菜をお嫌いなのは存じていますわ大人げない。#読むスープ
お義姉さんの菜花とれんこんの白味噌汁を味わっていると、お兄ちゃんが起きてきた。「俺あんまり白味噌ってさ」いただきますも言わず飲み干すとごちそうさ まも言わずにいってきますのお兄ちゃん。覚えてる?お義姉さんの田舎、蓮根の産地よね。隠された本音にお兄ちゃん、気づくのかしら。#読むスープ
久しぶりの帰宅。冷蔵庫の中にはまだ使えそうな野菜がいくつか転がっていた。刻んで刻んでお鍋に入れたらしばらく煮込んで出来上がり。一口食べると父は言 うのだ。母さんこの野菜で何を作るつもりだったんだろうなって。残り野菜のスープに温められる残された私たちは……うん。おいしい。#読むスープ
んなはずじゃなかった。温室育ちの私は悪い虫がつかぬよう大切に育てられた。白くスイートなドレスに包まれお嫁にいくはずだったのに突然の転落。傷ついた 私はこうなるしかなかった。だけどね今はよかったと思ってる。私をすくうあの子が言うの。苺より甘いって。やあね、私も苺なのに。#読むスープ
おいしいスープを作るためにはいろんな野菜を入れるといい。それならきっと、おいしい読むスープを作るためにはいろんな物語を入れるといい。コトコト煮込んだスープの話。甘いの苦いのしょっぱいの。すっかりおいしくなってしまった、「#読むスープ」 を召し上がれ。さ、温かいうちにね。