しまい忘れ雛
出しっ放しの雛人形に呆れる。娘が必死の婚活をしているというのにうちの母親ときたら。文句を言えば、「そんなだから結婚できないのよ」って。「自分で片 付けたっていいのに気の利かない子」くっ。「なんでも人のせいにして」くっ。「人形ですら結婚してるのにねえ」く、いやそれは。#twnovel
ふち
不知の病だって医者が言うんだ。そのあと色々と病気について聞かされたところで耳に入らない。入院もしなくていいしとにかく好きなこと楽しいことをしてくださいって、ひでーよな。俺は今、絶望の淵にいる。#twnovel 心配だ。ちゃんと伝わっただろうか。淵の病。絶望の淵に腰掛けたがる奇病。
缶
コンベアを粛々と流れる無機質な文字。その中から必要なものだけを選りすぐり、丁寧に、もしくは勢いよく、もしくは適当に缶の中へと詰めこみます。意味を持つよう調整したなら、ラベルを貼って封をする。ついーと流れて届くでしょうか。だいたい131文字入りの、#twnovel 缶を召し上がれ。
かいたい
店先から往来を眺めていた。世界は変わり異形の生物が商店街を闊歩する。少年と目があう。パッと表情を変えこちらに駆け寄ると彼は母親を呼んだ。「かいたい!」#twnovel 私は飼われるように生きている。けれど肉屋で買われた私にとって、かいたいは解体。生殺しの今が辛くて食べて欲しくて。