卵から女の子
君と二人、体育座りで空を見てた。数日前からピリピリと軋むような音がする君の体が今日は小刻みに震えてる。そろそろかな。君は嬉しそうだけれど僕は気が 気ではない。どうなるの?生まれるんだ。変わらない?さあどうかな。やがて君がパカッと割れて生また少女は、僕に鋭い牙を剥く。#twnovel
クッキー
心を込めて作ったのと手渡されたクッキーは甘くも辛くもなく、込められた心を推測することなどできなかった。けれど一つ判っているのはアイツも同じ物を 貰ったということ。アイツはどんな気持ちで食べるんだろう。僕と揃いの歪んだハート型。サクッ。さっきより甘いのは多分気のせい。#twnovel
幻想
まずは魔王を準備した。それから姫と火を噴くドラゴン。道具屋、武器屋に魔法売り。勇者を揃えた頃には王様は困っていた。唯一揃わぬものがある。それがな ければこの物語ははじまることすらできぬのに。読み手はおらぬか。読み手はおらぬか。古ぼけた本の中、音なき文字がざわめく。#twnovel