破る
約束は破るためにあると、君はいう。ならばと僕は君に小指を差しだした。指切りしよう。破るわよ。約束を破ると約束をしてよ。#書き出し バカねそんなのしないわよ。知ってるだって君はいつでも破りたい約束しかしないよね。驚いた君の顔。さてあと何度揺さぶれば生意気な君は僕の物になってくれる?
言の葉
言の葉の草原を言の葉の少女がかけていく。囁くように歌うように。やがて少女の胸の奥からコトリと恋が落っこちた。落ちたんじゃない捨てたのよ。コロコロ 転がる恋はいつしか言の葉の草原にソウゲンにとけた。いつし恋は花咲くだろう。残されたコトリは小鳥はスッと言の葉の空へ飛んでいく。#書き出し
路線バス二本
君の家まで歩くあいだ、 路線バスが二本、追い越して行った。そんなにバスが通らない道なのになっていうか乗れよ俺。遅れるわけにはいかないのに足が進まない。まさか怖いのかって そうだな怖いに決まってる。煙草を吸って、ポケットの指輪を確かめた。あの角を曲がれば運命が待っている。#書き出し
仕立屋
わたしの気持ちを仕立ててくれませんか、と注文が入った。どんな?と聞いても解りませんって何それいいわ。鋏を入れる。#書き出し 出来たのは素人目にも酷い服。バカにしないでと貴方は言うけどねえ気持ちって解ってた?彼とは仲良くしなさいね。乙女の自暴自棄ってどうせ、好きな男のせいでしょ。
感情
この感情をほぐして紡いで毛糸にしてしまおう。するする解いて種類で分けると案外ピンクが多いみたい。格好いいマフラーにしたかったのに黒も青も思いのほ か少なくて。仕方ないわ。だってこれじゃあ無理だもの。望みじゃないの。やむを得ないの。だからも一度あの感情に、恋心へと編み直す。#書き出し