かおれ
嘘のかおりがしたの。狼が来るだなんてその少年の言葉は嘘よ。けれどその夜、狼はきた。嘘つきめ。村人は私を追い出す。#twnovel 本当にかおりで解るのな。歩いていたなら昨日の少年。信じるよって。狼がきたのは偶然と言う。嘘のかおりはもうしない。私は手を取る。幸せな未来よ、かおれ。
ハロー
少女ロボットの中には二つのプログラムが走る。それ故、ぽつりぽつり。雨音にさえも「ハシロウ」「アマヤドロウ」二つの意識は結論を出せず、錆びては回収される始末。このままじゃいけない。博士はプログラムを変更した。#twnovel 二つの意識に性別をつける。目を醒ます少女と少年、ハロー。
お姫様になりたくて
お姫様になりたくて幼馴染みに相談したら旅に出ろと言われた。ゆるふわなお姫様になれますように。白馬の王子様に会えますように。荒野を越えて魔王を倒し、ああもう、こんなのお姫様じゃない。#twnovel 文句を言いに幼馴染みの元へ。お帰り僕のお姫様。世界は素敵だったでしょって、きゅん。
飴
恋したくなる飴なんてあるわけないと君が笑う。だけどあるよと手渡した飴。信じないわ。信じないならむしろ平気で食べられるでしょう? 何一つ僕と約束しないその唇が飴を啄む。#twnovel 信じないわ。だけど貴方がくれたきっかけ大切にしないワケがない。私、前から貴方のことが。
色彩密室
部屋の中は絵の具でぐちゃぐちゃに塗りつぶされていた。色とりどり、なんて言葉では片付かない鮮やかな混沌の中に女が死んでいる。狂ったか。自殺で事件を処理し、部屋を後にした。#twnovel 大変です。部下のメールに目を見張る。片付けられた部屋。絵の具を落とせばそこに、「犯人はお前だ」