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待っていたやんちゃなトライカラーのチビ

  オスの蓮は、生まれてすぐチェーン展開しているあるペットショップの栃木店に入り、そこから市川店に運ばれた。背中が黒でお腹が白という毛の色がどことなくホルスタインの牛を連想させるが、頬と目の上の茶色の毛が顔つきをきつくしている。小さな子供たちはこの蓮の顔をみると、大概はブレンハイムのメスのラブと比較して「怖い顔」という。本当はラブに比べてずっと臆病なのに、と竹内豊は思う。
  蓮は二〇〇七年の三月二十八日に生まれている。竹内豊と出逢ったのが九月の十五日の土曜日だ。まだ暑い日が続く昼下がり、ペットショップの自動扉を豊は通り抜けた。妻の法子も入っていった。犬の尿と糞のにおいが部屋中に充満している。思わず鼻を押さえたくなるほど強烈だ。
  入り口から見て、一階の右側と突き当たりの壁面に、ペットの入ったガラス張りの箱が並んでいた。ミニチュアダックスフンド、ミニ柴犬、ポメラニアン、コーギー、トイ・プードル、キャバリア、シーズー、チワワ、パグなどの人気犬種が、まだ生まれて数週間ぐらいしかたっていないのに、一匹ずつ入っている。中には複数の子犬がはいっている箱もいくつか見えた。豊はキャバリアの箱の前で立ち止まった。耳の長い茶色のブレンハイムだ。人差し指をガラスにつけると、ガラス越しに舐めてくる。舌はまだ小さくて薄い。

 

  豊はキャバリアが大好きである。何故かといえば、二〇〇三年の七月に出会ったラブというメスのキャバリアに、ぞっこんほれ込んでいるからである。ラブに出逢ったのは当然ペットショップだが、豊の愛娘の理沙と妻の法子がマンションから一戸建てに引っ越したのだから犬を飼おう、と協議していたのが発端であった。最初はポメラニアンと二人は決めていたようだが、いくつかペットショップを回るうちに、その意思はだんだんと崩れていった。
  自宅からかなり離れたところにあったそのペットショップでは、一階に魚や鳥などのペット類、二階には子犬たちが展示されていた。一階のレジの脇を通って大きな階段を登っていくと、突き当たりに二つの箱が置いてあった。右の箱には茶色のキャバリアがよちよちと歩き、豊を見つけるとお座りして見つめてきた。大きな目である。幾分か怖がりながら愛嬌を振りまいているようだ。
  豊の愛娘の理沙は、他の箱に入った子犬たちをしばらく見ていたが、豊のそばに来ると、店員に抱っこしていいかと聞く。やはり愛くるしい顔のキャバリアに魅せられたようだ。少し震えているようだが、手袋をして理沙が抱くと、ぺろぺろと顔を舐めてくる。一人ぼっちで箱の中に入っていて淋しかったのだろうか。「私はあなたに首っ丈」とでも言わんばかりに舐めてくる。豊もそのあとに抱いた。軽くて心臓が動いているのが手に伝わってくる。同じように顔をぺろぺろと舐めた。人懐っこくて、気持ちがやさしく、おだやかな表情をしている。豊は心を動かされた。しかし買う決心はつかなかった。

 

  念のためにもう一箇所のペットショップを見ようということになり、豊は車を飛ばした。今度は大きなショッピングセンターの中にあるペットショップだ。店の中に入っていくとやはり一匹だけキャバリアがいた。前のペットショップと同じブレンハイムのメスである。しかし残念だが幾分か目がロンパリだ。豊は躊躇した。前のペットショップに居たキャバリアの顔が浮かんだ。家族でもう一度そのペットショップに戻ることにした。
 
  ペットショップの階段を登ると、そのキャバリアのチビは体を丸めて眠っていた。豊達がまた箱の中をのぞくと、よちよちとガラス板のところまでそのチビは歩いてきた。小さくて細い足、見開かれた大きな目は性格の良さが現れていて、美しい宝石のようだ。豊は決断した。長い付き合いになるだろう、新しい家族に迎えることを、心の奥で覚悟したのである。

 

  豊が会社で仕事をしていると携帯に妻の法子からメールが入った。
「子犬を引き取りに息子の車で行ってきて、ケージとえさも買ったよ」という文面である。豊は心待ちにしていたチビに逢えると思うと心が躍った。

 

  帰宅するとブランハイムのチビは大きな丸い目を豊に向けた。豊とチビの長い付き合いはその日から始まった。しつけとの闘争と、至福の時が交互にやってくる日々は、キャバリアという犬種への愛着と、ラブと名づけられたそのチビそのものへの強い愛情をつくり出していった。

 

  キャバリアの二匹とそれ以外の犬種を見ると、豊はペットショップの二階に登っていった。二階は一階より尿の臭いが強烈だ。刺激が鼻の奥まで強打するようだ。この二階の部屋は、中央に上がオープンになったゲージと、入り口から見て右奥が二段になったゲージが整然と置かれている。一階の集団より少し月齢が高い子犬が多く、値段も少し下がっていた。突き当たりいっぱいに広がる窓から、まだ弱まりを見せない夏の日差しが部屋に届いていた。窓の下に大きな天井のないゲージが二つ、入り口から見て左手にも同じようなゲージが並んでいた。その中にいる子犬たちは皆、生まれて六カ月前後は経過していて、犬種名と値段の入ったカードが、壁に無造作に貼り付けられている。キャバリアがその中にいた。
  茶色の眉毛と頬、黒い毛の背中、その背中の頭の近くには三角形の白い毛、そして白い毛の腹と、落ち着きのある色がバランスよく配されている。しかしその毛の色とは裏腹のやんちゃな動きが目立つキャバリアだ。思わず豊は手を伸ばした。手をそのチビは舐める。逢いたかったよ、家に連れてってと自己主張をしているようだ。もうすぐ、生後六ヵ月となるからチビも必死なのかな、と豊はかすかに笑った。妻の法子は先住犬のラブがメスだから、できれば同じメスをと探していたので、すぐには首を立てに振らなかった。豊も同意見だから購入することには躊躇した。
  トライカラーという毛並みのそのチビは、自分が売れない日々に決別したいとしきりに愛敬を振りまく。キャバリアはもともと愛想が良いが、何故だかそのチビは、一緒にケージに同居する他の犬種より目だって人懐っこい。豊は不思議に魅せられたが、法子はすたすたと一階に降りていってしまったので、後ろ髪を惹かれる思いでしかたなくそのペットショップを後にした。

 

  衣料品店に向かって車を走らせると、豊の頭の中にはそのトライカラーのチビの顔が浮かんで消えない。意地悪っぽい顔つきだが、本当は臆病で小心者のキャバリアである。生まれてから小さいうちにすぐにペットショップ生活が始まり、ドックフードを食べ、しつけもろくにされていないので、ウンチ、おしっこを小さなスペースの中で繰り返し、不潔な生活にまみれてきたチビ。時々人間がやってきて、抱いたり、なでたりするけれどもどこか落ち着くところに行くわけでもない。面倒を見てくれる販売員も、それほど細やかに愛情を注ぐわけでもないだろう。生後六ヵ月を過ぎてしまえば、商品価値が半減してますます売れなくなって、せっかく生まれてきたこの世の中から、寂しくおさらばしなければならなくなるかもしれない。豊は欲しかったメスのキャバリアではないけれど、チビのことがますます愛おしくなった。
  広い衣料品店の中で、豊はハンガーにかけられたカラフルな半そでや、早めに品揃えされた秋物などを漠然と眺めていた。特に欲しいわけでもないので、チビのことばかりを考えて店内をさまよっていた、というのが正解である。 
法子は考え込んでふらふらしている豊を見つけるとこう言った。
「あのオスの子犬のことが気になっているのでしょう。昔からあなたは欲しい物があるとそんな顔しているものね。図星でしょう」
  豊は何故か心中をさとられて笑い出してしまった。法子も笑った。豊はやっと決心した。オスでもいいからあのチビをラブと一緒に飼おうと。
  法子にやっぱり買うよと告げ、控えてあったペットショップの電話番号を押した。
「まだ、トライカラーの子犬は売れていない?」
「大丈夫ですよ」
  販売員は当然と言うような答え方をする。
「じゃあ買うから予約します。これから向かいます」
  豊は一安心して携帯をポケットに入れ、法子がレジで買い物の精算をするのを待って、店を出た。心は晴れやかであった。

 

  ペットショップに入って二階に駆け上がっていくと、そのトライカラーのチビはいた。家族として迎えてくれることがわかったかのように、尻尾を夢中で振って嬉しそうな仕草をする。販売員に早速欲しいと先ほど電話した旨を伝えると、少し深刻な顔をしてしゃべり始めた。
「実は時々巡回してくるチェーン店専属の獣医が言っていたことですが、このトライのキャバリアは外耳炎の疑いがあるそうです。この点に関して承知の上でお買い求めされますか?」
  豊は少し驚いたが、あまり清潔ではないこのペットショップならありそうな話だと思った。懇意にしている獣医に見てもらうしかないと考えた。もう買いたい気持ちでいっぱいだから、少々の障害はなんともないのである。それでも欲しいと告げると、店員は一階のテーブルのところでお待ちくださいという。二人でトライカラーのチビを携帯で撮影したりして、時間をつぶして一階に降りていった。
  がっちりとした体つきをしたアルバイトの青年が、手続き書類を持ってテーブルのところにやって来た。生体価格と生命保障制度とペット保険の説明があった。生後六ヵ月弱で生体価格は数万円だが、死亡した場合の保障制度ということで、金額が上乗せされ、ペット保険を入れるとやはり十万円近くになる。月齢が過ぎているとはいえ、ラブを購入したときの値段とあまり変わらないのは、不思議なからくりだと豊は思った。原価に対してどれだけ利益を上乗せできるかが商売の基本であり、儲けるためにいろいろな理屈をつけて価格を設定するのは当然だが、度を越すと文句も言いたくなる。豊はちらっと胡散臭ささを感じたがかまわず話を聞いた。最終的には一ヶ月のペット保険と生体価格、そして生命保障制度は最低の価格に設定した。結局ペットの横に張ってあった値段を示す価格の数倍となり、豊は不服だったがしぶしぶ契約した。
  ダンボールの箱に入れられた、チビが豊のそばにやってきた。箱の中で動いているのが判る。豊はその箱を抱えて、駐車場の車に向かった。小さな箱の中でチビが動き回るので、バランスが崩れそうになる。それでも元気な命の鼓動が伝わってくるようで豊の心は弾んだ。家族が増えるということは言葉で表せない喜びがあると思った。暖かい血の通った、息をしている動物が今日からまた増えるということは、家の中がまたにぎやかになるということだからだ。

 

  動物病院の扉を開けると、チャイムが鳴った。先住犬のラブがいつも行っている病院だ。先生と小柄で気さくな女性がいる動物病院である。開院したのはつい最近で、丁寧な対応に固定客は増えており、いつも待合室には誰かと動物が待っていた。箱を抱えながら、豊は先に入った子猫の治療が終わるのを待つ間、手持ち無沙汰の様子であった。しばらくするとまた、子犬を入れたバスケットを持った婦人が入ってきた。知らない人だが、豊は軽く会釈をする。本来無口な豊だが、動物を飼っているという仲間意識があるのか、病院の雰囲気が良いのか、連れてきた子犬のことをごく自然に聞いていた。妻の法子も丸い板と四本の足のついたシンプルな椅子を移動して詰めながら、あれこれそのペットのことを聞く。長い待ち時間があっという間に過ぎていくようだ。
  診察室の扉が開いて、子猫をバスケットの中に入れて、初老の品の良い女性が出てきた。子猫のことを心配してか顔がすこし暗い。重病なのだろうか。豊は会釈をして診察室にチビを入れた箱を抱えて入った。法子が続く。箱を開けると、愛くるしいトライカラーのチビが、病院の消毒液の臭いなどを嗅ぎながらビクビクしているようだ。さっと豊が大人の平均身長の腰より高い位置にある診察台にそのチビを載せた。チビは体を震わせた。
「今日購入してきたのですが、外耳炎の疑いがあるとのことなので診ていただけますか?」
  若い獣医はうなずいて長く垂れ下がった耳を上げて中を覗いた。耳の中はかなり黒ずんで汚れていた。
「きれいにしてみましょう」
  とその獣医は、消毒液のようなものを脱脂綿にしみこませ、耳の穴に入れて汚れをぬぐっていく。
  その時、診察室の中にチビの声が鳴り響いた。鳴くのは獣医の治療の痛さだけではない。今までの頼るものは何もなかったペットショップ生活の悲しさ、愛する飼い主が居ないこれまでの寂しさ怖さを、振り絞るような切ない泣き声で表現しているような気が豊にはした。声を聞いているうちに豊は、この小さな命はどんなことがあっても必ず守る、と自分に言い聞かせていた。
  獣医はぬぐった汚れを見せながら、
「大丈夫そうです。ほとんど取れましたから。来週にでもまた連れてきてください」と言う。
  どうやら今日のところは外耳炎ではないという診断である。豊はほっとして胸をなでおろした。チビは痛かったのか静かにして小さく震えている。豊が頭をなでると舐め返してきた。少し安心したようである。
  また、箱に入れて車に乗せると、豊は千住犬の待つ家に向かった。法子は愛娘と息子に、トライカラーの子犬を買ったことを知らせるために、携帯電話でメールを作成していた。法子も二匹目が欲しいと言っていたので嬉しいのである。

 

  自宅に到着してリビングの中においていた、かなり前に購入していた新しいプラスチックのゲージにチビを入れた。チビは新しいゲージの臭いをしきりに嗅いでいる。豊と法子はゲージの前で新しい家族をにこにこして見ている。チビは、中に間に合わせで置いた食器から、水をピチャピチャという音をさせながら舐め始めた。その音の響きは、生きることへの執着のような強さが豊には感じられた。ずいぶん長いことその音が続いた。時間が止まったようにも豊には思えた。チビが飲み終わると豊はわれに返った。
「さて、これからしつけが大変だね」というと法子が
「ラブの時も苦労したものね」と笑う。

 

  豊の愛娘の理沙が仕事から帰ってくると、早速チビを抱いた。チビはおとなしく理沙の体にへばりついていた。ブレンハイムのラブは少し嫉妬して見上げている。
「名前をつけようか。やっぱりケンとかレオとかゴンとかかな?」と豊が言うと妻や愛娘が一斉に反対してきた。
「とか言ってジョンというイメージじゃないし、コロというと犬っころという感じでばかにしているみたいだし・・・・・・」と愛娘も迷う。法子は、
「バロンはどこかのペットショップの名前だし、ラッキーはちょっと合わないし・・・・・・」と決め手がない。かれこれ三十分ぐらい思いつくものを勝手に三人がしゃべっていた。
「響きの良い名前が良いな。たとえば蓮とか」と理沙が言うと、豊はある種の安堵感をその音の響きから感じた。すっと心の中に入ってきた。
  豊が「良い名前じゃないか」と言ったことで、一件落着した。豊は目の前にいるトライカラーの黒と茶色の子犬が、今まで以上に個性を持ち始めたことに歓喜した。
 
  ラブをしつける際にも家族全員が苦労してきたが、ペットショップでしつけされた形跡はまったく見られないので、一からの出直しであった。まずトイレトレーニング、そして、やっていいことといけないことの区別を教えることから始まった。ハウスの中にペット用ベッドとしてバスタオルを敷き、残りの半分をトイレシートにした。トイレシートでウンチとおしっこをした時は思いっきりほめて、失敗したときは知らん顔して片付ける毎日が始まった。人間から見た無駄吠え、つまり吠えて欲しくない時に吠えない蓮を育てる訓練も始まった。その他甘噛みなどクリアしなければならないことはかなりあった。しかし、しつけの基本は、飼い主がリーダーであり、子犬は守られる存在であることがペットに判れば早い。無駄吠えの場合、二つの理由がある。一つは自分のわがままを聞いて欲しいから、もう一つは自分がリーダーだから家族を守らなければいけないから吠える、というのが犬の特性だそうだ。飼い主がリーダーであれば、わがままをあまり言えないし、守ってもらえるのだから吠える必要もないということを豊は知識として得ていたが、なかなか改善しない現実に、しつけの難しさを痛感する毎日だった。 


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肺炎と拾い食いで死にかかる

  飼い始めてから二週間ぐらいしたある日、豊は軽く咳をする蓮に気づいた。肺の中から何かを吐き出すような苦しそうな咳である。しかも断続的に続く細かい咳だ。蓮の咳ということを知らないで、音だけを聞いていると、人間の子供がしているような錯覚を覚える。豊は嫌な予感に襲われた。子犬のかかる風邪、それとも肺炎、まさか、と心配をうち消そうとするが、気になると止まらない。家族が全員そろったところで、自然にその話が出た。ペットショップでいろいろな子犬と一緒に居たから、病気を持ったものが居れば、たちどころに伝染する、防ぎようがないと誰かの口から出た。最終的にはやはり大事をとって獣医に見せようという結論になった。

 

  曇り空の十月初旬の土曜日、動物病院へ豊は蓮を散歩がてら連れて行った。蓮は何事もなかったような顔をしているが、豊の不安が伝わったのかいつものように陽気ではないようだ。平常はまるでカモシカのように軽快にタッタッと歩く。今日は足が重い。動物病院の扉を開けるとひとしきり結核患者のように咳をした。豊は蓮の背中を軽くさすって治まるように心で願った。

「蓮君、今日はどうしました」と気さくな受付の女性がにこやかに話しかけてくる。

「ちょっと咳をするもので」と豊がいうと、

「今、注射でわんちゃんが入っていますが、すぐ終わりますのでお待ちくださいね」という。

  豊が待っていると、しばらくして法子がラブを連れて入ってきた。豊に任せるつもりだったが、やはり気になってやってきたそうだ。豊は心強く感じた。ラブはいつもと変わらず、おしとやかにちょこんと法子の足元にお座りした。

  診察室の扉がスライドした。ミニ柴の成犬と太り気味の度の強いメガネをかけた婦人が出てきた。ハンカチで顔の汗を拭いている婦人はいかにも暑苦しそうだ。

「蓮君と竹内さん、どうぞ入ってください」と若い獣医は声をかけた。

  豊と法子と蓮とラブが診察室に入った。蓮はいつものように高い診察台に載ると、少しびくびくしている。

「今日はどうしましたか?」と外耳炎の疑いのあった耳を覗き込みながら聞いてくる。

「実は軽い咳をするのですが、風邪か何かでしょうか?」と豊は「何か」ではないことを願いながら獣医の濃い眉毛と長いまつげを見る。獣医は軽く蓮ののどをたたく。蓮は苦しいのか小刻みに咳をする。鶏の鳴き声のようだ。

「風邪だとは思いますが、念のためレントゲンを撮りましょう。よろしいですか?」と聞く。

  豊はそんな大げさにしなくてもと思いつつも、しぶしぶ承諾した。レントゲン撮影が終わるまでの間、外で待つことにした。他に診察で来ている人がいなかったので、ぽつんと法子とラブと豊は待つことにした。奥の部屋で蓮が動いている音がする。機械の操作するような音が不気味に聞こえた。

  若い獣医が診察室に来るよう促した。部屋に入ると、ライトボックスには何枚かの蓮のレントゲン写真が掲げてあった。背面の蛍光等に照らされてぼうっと浮かんでいる。背骨や気管や内臓がフイルムの中に平面的に写ると、まるで踏みつけられてぺちゃんこになった動物のようだ。獣医はゆっくりと説明を始めた。

「気管のところを見てください。少しぼやけたところがありますが、これが炎症を起こしている部分だと思います。外から軽くのどをたたくと咳をしやすいのは、この写真ではっきりわかるのですが、炎症が起きているためです。ですから肺炎だと思います。ペットショップの中で前々から風邪を引いていて、肺炎の状況になりつつあったのでしょう。うつされた可能性もあります」と淡々と病気の中身を暴くように語っていく。

  豊は嫌な想像が的中したので、肩をがっくりと落としてしまった。

「治療方法は?」と聞くと、

「しばらく入院してください。点滴を打ちながら薬を処方しますが、安静にしないと治りません。二週間ぐらいしたらまたレントゲンを撮って見ます。状況がよければ退院してもらいますが、自宅に戻ったとしても安静と投薬は続けて完治を確認するまでは通院を続けてください。時間がかかりますが、完全に症状をなくすことが肝心です。ぶり返したりして病気が重くなると蓮君がかわいそうです」と言う。

  蓮の大きな瞳を豊は見つめ、やっと自宅に慣れたのに、外泊させなければならない寂しさが、ふっと胸に浮かんだ。豊はしばしの別れに辛くなったが、ラブと法子と一緒に病院をあとにした。

 

  次の日、会社が早く引けたので豊は動物病院によってみた。夜の八時位までは開いているので、まだ間に合った。愛娘の理沙が先に来ていた。奥の部屋に入ると手術室がある。その奥に入院中の動物の入ったゲージが二段になって積み重ねられていた。蓮は入り口に近い下の段に入っていて、ブルーの大きな紙のエリザベスカラーを首の周りにつけていた。エリマキトカゲのようで肺炎とはいえ不謹慎にも豊は少し笑ってしまった。

  蓮は豊と理沙が側によると嬉しそうに立ち上がってゲージのプラスチックに足をかけたが、エリザベスカラーが邪魔をしてうまくバランスが取れないようだ。豊と理沙は目を合わせて噴出してしまった。豊が手を差し出してゲージの中の蓮に触って「蓮君が居ないと淋しいよ」と言うと、言葉がわかるかのように「僕もそうだよ」と手を舐めてきた。豊は舐めるに任せた。

  動物病院の中には他にも猫や子犬、大きなラブラドールなども居たので、蓮はそれほど淋しくはないかもしれないが、むしろ自宅の部屋の中に、蓮が居るべきゲージががらんとしていることを感じる豊自身の方が寂しいのだろうか。愛しい人間に対する執着と似た感覚を豊は感じた。獣医は側によってきて病状を再び説明し、薬の投与、点滴をしていることについても触れた。痛々しい姿だが、回復に向かいつつあり、意外と元気なので、豊と理沙は少し安心して獣医に丁寧に看病をお願いすると、家路に向かった。

 

  その後何度か豊は病院に顔を出したが、二週間後、二日連休の最初の土曜日、法子とラブと一緒に、ささやかな期待を持って動物病院のドアを開けて入っていった。今日はレントゲン結果を聞く日だ。午前中早めの時間に訪れたが、もう二組ほど受診する動物が居た。今日、もし症状が軽減していれば退院ができる。豊は期待感を持って待合室の小さな丸い椅子に座わり、向かい側の壁にある丸い掛け時計をじっと見ていた。長い秒針が音を立てずにゆっくりと回って、いろいろな思いやさまざまなでき事を後ろに追いやって行く。

 

  豊の犬との初めての出会いは、実家で飼っていた柴犬である。もう数十年ほど前になってしまう。新潟県の開墾地を切り開いて小さな家を自分で建てた豊の父親は、番犬のために隣部落の生まれたばかりの茶色い柴犬をもらってきて、幼い豊に見せた。豊は気に入って柴犬の食事の面倒を見ることになった。柴犬の名前はコロ。牛小屋の入り口に番犬として飼った。当時は食事といっても残りご飯に味噌汁をかけたというように、人間と同じようなものを食べさせていた。豊の顔を見ると、ご飯と水の要求で吠えるのが常だった。コロの体を触るのはそのときだけで、それ以外コロは一人ぼっちだった。鎖につながれて、家族が来るたびに甘えるが、飼っていた牛と同じように家畜の一部として扱われていた。だから、コロの体の温かみとか、ゆったりとした時間の中で、幸せそうに眠っているかわいい顔を、豊はそれほどまじまじと見ていたわけではない。家の外に居る家族ではなく、一匹の家畜のイメージだったのだろうか。

  豊は大きくなるにつれて時々無抵抗なコロに悪さもした。牛小屋の入り口にいるコロに向かって、小さな石を投げて怖がるさまをいたずらっぽく眺めることがあった。今の豊の飼い犬に対する思いからしたらとんでもない話だが、ある日その石がコロに目に当った。コロはキャンと鳴いたあとうずくまってしまった。その日からコロは片目になった。コロが老衰で亡くなり父親が水葬にするまでの間、ずーっと片目の歳月を送ったのである。豊が上京する前の年に亡くなったが、その当時のコロの記憶がほとんどない。片目のまま死んで水葬にされたという言葉だけが頭の中で今でも豊を責め続けている。豊の今飼っている飼い犬への溺愛は、柴犬コロに対しての仕打ちへの慙愧の念が背景となっていた。豊はコロの悲しそうな顔を思い出すとき、目頭がいつも熱くなった。

 

  診察室のドアが開いて若い獣医がにこにこしながら、豊と法子を呼んだ。診察室にラブを連れて入ると蓮が待っていた。しっぽを左右にびゅんびゅんとふると法子に甘えてきた。獣医はライトボックスにレントゲン写真を貼り付け、説明を始めた。

「二週間前と比べてかなり陰が薄くなりました。この分だと薬を飲みながら自宅での療養ができそうなので、今日は退院して良いですよ」  

  豊と法子はほっとした表情で顔を見合わせた。

「ただし、散歩は厳禁です。完治するまでゲージの中で安静にしてください。できるだけ興奮させないでください。これをしっかり守ってもらわないと、またぶり返すことがありますからくれぐれも注意してください」

  豊と法子はまた顔を見合わせたが、今度は二人とも緊張した表情である。注意事項を何度も確認しながら診察室を出た。二週間分の入院費や薬代など思っても見なかった出費に豊は目を丸くしたが、運よく保険が使えるので胸をなでおろした。豊は蓮を抱きかかえて、法子は一緒に来たラブをリードにつないで引っ張りながら、二人とも足取り軽く家路に向かった。

 

  その日から蓮のゲージ生活が始まった。朝起きての日課は、ウンチとおしっこのついたシートやタオルの取替え作業である。ウンチが予想しないところに排泄されている場合や、下痢気味だと始末するのは大変だった。おしっこもウンチもシートでする確率が低い。豊は病院で誓った絶対に守るという騎士道じみた決意がめげそうになる。それほど排泄物の臭いは強烈だ。まして十月下旬の気温だから、室温を下げないために部屋も閉め切っている。排泄物の臭いは和室の障子や襖にまで染み付いているような気さえした。

  豊が和室に居るとゲージから出してくれとしきりに吠える。絶対安静だから心を鬼にしてゲージから出さない。無視し続けた。でも豊が側に来るとまたしきりに吠える。朝の六時台に吠えるときは、隣近所へ申し分けないと豊は心の中で思った。

  咳の仕方は、日によって違う。細かく咳を断続的にする日と、ほとんどしない日がある。咳をする日は、豊にとっては心臓がきりきりと痛むような気がした。そういえば息子が風邪を引いて近くで寝ているときも、心臓が痛むような気がしたが、それと同じである。

 

  十一月に入って寒い日が多くなったので、小さな暖房器具と、加湿器を豊は購入してきた。肺炎には暖かくすることと、湿り気が必要だと獣医から指導されたからだ。その加湿器のおかげで、朝起きると蓮の居る部屋の和室の障子と襖は湿り気を含んで、伸びきってだらりとした状態になっていた。加湿器を日中止めると、その障子や襖はまたぴんと張り切っている。紙も生き物のように変わるから不思議だと豊は思った。

 

  一月に入ったある土曜日、蓮をつれて動物病院へ検診のために出かけた。入院生活から戻って二ヶ月以上もたっている。豊はそろそろ肺炎からおさらばしたいと、期待しながら病院のドアを開けた。今日は珍しく受診する動物は居なかった。すぐ診察室に呼ばれたので豊は蓮を抱いて入った。診察台の上でおとなしくしている蓮が愛おしかった。蓮はじっと豊を見ている。

「僕は大丈夫だよね」と言っているようだ。

  獣医は蓮ののどを軽くはじいて咳をするかどうか見ていたが、今日はしなかった。聴診器を蓮の胸に当てると、

「かなり良くなったようです。投薬しなくて良いかを見るために、レントゲンを撮りましょう」と言った。

  豊はまた待合室で撮影が終わるまで待つことにした。

  しばらくして、豊は獣医に呼ばれた。獣医はレントゲン写真を見せながら、

「影もなくなり、かなり良くなりました。もう投薬はしなくてよいと思います。散歩を始めても結構です。ただし、興奮させたりはしないで、少しずつならしてください。もし咳をまたするようでしたらすぐ連れてきてください。再発が心配ですので・・・・・・」と説明した。

  豊は期待通りの獣医の解説にほっと胸をなでおろした。良かったこれでラブと一緒に散歩もできるし、ゲージから出すこともできると心から豊は喜んだ。

  支払いを済ますと、陽気に豊は歩き出した。側にはリードにつながれた蓮が豊の顔を何度も見ながら軽快に歩いている。カモシカのように細い足は、地面に触れていないかのように見えるほどすばやく動く。豊は閉ざされたゲージから出た蓮とのこれからの楽しい散歩の日々を想像して軽く笑った。

「蓮、蓮、蓮」と名前を何度も呼んだ。

 

  土曜、日曜、祝日は豊が蓮とラブの面倒を見る。土曜の朝はたいてい八時ぐらいに起床して、散歩に出かけた。二匹を連れての散歩は、最初きつかったが、少しずつ慣れていった。ラブは寄り道が多い、蓮は軽快に先に歩いていく。共通点は二匹とも食欲が旺盛なこと。牛のように草を食んだり、人間の落とした食物を拾ったり、枯葉を食べたり、普段はおすましのキャバリアも貪欲な食欲には勝てない。豊はそのたびにリードを引っ張って口に含んだものを吐き出させる。口を押さえて指を突っ込む。なかなか強情で口を開かないが、無理やり何とか最後には吐き出させた。たいていは葉っぱが多い。吐き出したあとの二匹の目つきは殺気立っているが、無視してまた散歩するのが常だった。

 

  冬の二月にしては暖かい日だった。珍しく豊と妻の法子が二匹を連れて散歩に出かけた。豊は蓮を法子はラブを連れて歩く。豊たちが先に行くと、のんびりやのラブも一生懸命追いかけてくる。自宅から少し歩くと小さな川があり、その岸は両側が高い堤防になっていて、近隣の散歩コースになっていた。アスファルトが敷かれ、水たまりもなく歩きやすいコースだ。一つの橋から次の橋までを歩くとかなりの距離だが、次の橋で対岸に行き、もとに戻って来る。そして川を離れてクリーニング屋の前にたどり着いた。このクリーニング屋でも犬を飼っている。お客が入ってないと、店主の女性が犬を連れておしっこをさせに出てきたりするが、出会ったときはよく立ち話をした。今日も店の外に出てきて、自分の飼っているチワワと、蓮とラブが臭いをかぎあったりさせながら法子と話を始めた。たわいのない噂話が多い。豊は少し離れてその情景を見ていた。クリーニング屋の外壁にはタバコと飲料水の自動販売機が二台ずつ置かれている。その前で話をしていた。

  この自動販売機は結構繁盛している。夜には若者たちが照明器具に集まる虫のように、たむろして話し込んでいることもある。昼間も仕事に出かける人などが、車を止めて販売機から買い物をする。そんな光景を、豊はクリーニング屋の前を通り過ぎるときいつも見ていた。地面にはタバコの吸殻などが無造作に捨てられていたりすることもある。

  法子は蓮のリードを持って話に夢中になっている。蓮は地面に顔をつけて何かを食べているのが豊から見えた。豊は思わず駆け寄って口を押さえた。タバコの吸殻を食べたか定かではないが、もうすでに胃の中に入っているようだった。豊はスーッと悪寒が背中を走り、顔が青ざめるような気がした。蓮はそんな豊には目もくれず、相変わらず地面をかぎまわって、食べられるものがないかなと探している。豊は法子に話を打ち切って帰るよう目配せをして自宅に入った。蓮とラブの足を濡れテッシュで拭くと、リビングルームに入りソファに腰掛けた。二匹とも嬉しそうに豊の膝や腰の横に体をつけて休み始めた。豊は心の中で蓮が異物を食べていないことを願った。

 

  どのくらい時間がたったのだろう。ふっと豊は目を開けた。少し眠っていたようだ。蓮は少し離れたところで人形を振り回して遊んでいた。「蓮」と呼ぶと、人形を咥えたまま走ってきた。空気がピンと張り詰めているような部屋のなかで、蓮は途中からスローモーションビデオのように動きが緩やかになった。ラブは腰のそばに居る。蓮は豊の足元に来ると、白い腹を上にして動かなくなった。蓮の目はうつろである。豊は「死にそうだよ。お父さん。助けてよ」と言って駆け寄ってきたような気がした。あわてて豊は蓮を抱きかかえてひざ掛けを体に巻いて、玄関を出た。庭では法子が草をいじっていたが、豊たちが出てくると、きょとんとした顔をした。

「蓮が倒れたから病院に行ってくる」と豊は言い残し門を出た。

  蓮は意識がないかのように目を瞑っていて、体も動かない。軽い痙攣が足の辺りに出ている。いつも元気な蓮が何か得体の知れないものに体の自由を奪われているようだ。豊は心の中で蓮の快方を願った。道で出会う知り合いへの挨拶ももどかしく、早足に病院へ向かった。

 

  ドアを開けるといつもの聞きなれたチャイムが鳴った。

「蓮がタバコを食べたようなので見てください」と豊が叫ぶと、受付の女性は直ちに診察室に入るようにと促した。

  幸いなことに受診している動物はいなかった。獣医はタバコを食べた話を聞くと、

「どのくらい前に、どれだけ食べました」と言う。

「時間は一時間前ぐらいで、量は恐らく、吸殻だから三分の一くらいだとは思いますが」

  豊もはっきり見たわけではないので、食べたものについては確信がなかった。

「タバコを食べてもすぐにはこのような症状にはならないのですが、とにかく急いで全部吐かせましょう」と言う。

「わかりました。お願いします」

「状況を連絡しますので、いったんお帰りください。私のほうでしっかり対応しますので」と言って、蓮を抱いて奥の部屋に入っていった。

  豊は診察室を出て、とりあえず家に帰ることにした。そう思った時、ガラスのドア越しに法子とラブの心配そうな顔が見えた。入ってきたラブの体を、豊はかがんで思わず抱きしめた。

「お父さん、心配しなくて大丈夫だよ。私がついているから」とラブが豊に言っているようだった。

 

  自宅にたどり着いて豊はソファに腰を下ろした。蓮の顔が脳裏に浮かんでは消えた。蓮は体が強いわけではないが、そのくせものすごく食いしん坊だ。何でも口に入るものは栄養にしようとがんばる。きっとペットショップでの荒い扱いが、食べ方にも現れたのだろうと豊は思う。ただ食べるだけの機械のひとつとして店員は蓮を扱っていたかもしれない。毎日の食事のときの食べ方も猛烈だ。ラブはおしとやかに味わいながら食べるのに、蓮は他の犬に横取りされるのを恐れるかのように、必死にぱくつく。あまりの速さにラブも一匹でいたときよりもかなり早くなった。早く食べた蓮が狙っているので、急いで噛んでいるのだ。あわて者の蓮は急ぎすぎてのどを詰まらせたりもする。人間が背中をさすって「ゆっくり食べな」と言い聞かせているが一向にスピードは変わらない。でも、そんな育ちの悪い蓮でも豊は大好きである。寿命がつきるまで、守ると決めたあの日からぶれることはない。どんなに悪いことをしても、どんなに大変な状況になっても、蓮とラブは豊の宝物だと思っていた。

 

  家で待機していると、電話がなった。動物病院からだろうか。受話器を取るとやはり若い獣医の声だった。

「全部吐きましたので、大丈夫だと思います。つれて帰っていただけますか?」と冷静に話しかけてきた。

  豊はその淡々とした話し方に安心感を持った。法子と一緒に病院に向かった。奥の手術室に獣医に招き入れられ二人が入っていくと、手術台に載った蓮は元気そうな表情をして尻尾を振った。吐き出したものが手術台の隅に置いてある。

「いろいろなものが入っていましたが、問題のタバコは通常の約三分の一の長さがありました。致死量に近いのですが、吐き出したのでもう大丈夫です。通常、たばこの毒性が吸収されて、症状が出るのにもっと時間がかかるのですが、奇跡的に早く症状が出たので助かったのでしょう」と獣医は言う。

  豊は蓮にそっと触った。

「蓮君。これに懲りて拾い食いはやめなよ」と言うと、蓮はクーンと鳴いた。

  良くおしゃべりをする蓮だが、この時も返事のように豊には聞こえた。


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天国の蓮とラブ


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著者 : 三輪たかし
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