目次
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人間関係図 1
人間関係図 2
人間関係図 3
大友家系図
用語集 1
用語集 2
用語集 3
用語集 4
SDさんにんむすめ
中洲門司港今昔物語
中洲門司港今昔物語 1
中洲門司港今昔物語 2
中洲門司港今昔物語 3
中洲門司港今昔物語 4
中洲門司港今昔物語 5
中洲門司港今昔物語 6
中洲門司港今昔物語 7
中洲門司港今昔物語 8
中洲門司港今昔物語 9
中洲門司港今昔物語 10
中洲門司港今昔物語 11
中洲門司港今昔物語 12
中洲門司港今昔物語 13
中洲門司港今昔物語 14
中洲門司港今昔物語 15
中洲門司港今昔物語 16
嵐を呼ぶ姫君襲来
嵐を呼ぶ姫君襲来 1
嵐を呼ぶ姫君襲来 2
嵐を呼ぶ姫君襲来 3
嵐を呼ぶ姫君襲来 4
嵐を呼ぶ姫君襲来 5
嵐を呼ぶ姫君襲来 6
嵐を呼ぶ姫君襲来 7
嵐を呼ぶ姫君襲来 8
嵐を呼ぶ姫君襲来 9
嵐を呼ぶ姫君襲来 10
嵐を呼ぶ姫君襲来 11
豊西戦争 そのはじまり
豊西戦争 そのはじまり 1
豊西戦争 そのはじまり 2
豊西戦争 そのはじまり 3
豊西戦争 そのはじまり 4
豊西戦争 そのはじまり 5
豊西戦争 そのはじまり 6
豊西戦争 そのはじまり 7
豊西戦争 そのはじまり 8
豊西戦争 そのはじまり 9
豊西戦争 そのはじまり 10
豊西戦争 そのはじまり 11
豊西戦争 そのはじまり 12
豊西戦争 そのはじまり 13
豊西戦争 そのはじまり 14
豊西戦争 そのはじまり 15
豊西戦争 そのはじまり 16
豊西戦争 そのはじまり 17
豊西戦争 そのはじまり 18
豊西戦争 そのはじまり 19
豊西戦争 そのはじまり 20
豊西戦争 そのはじまり 21
豊西戦争 そのはじまり 22
豊西戦争 そのはじまり 23
豊西戦争 そのはじまり 24
豊西戦争 そのはじまり 25
豊西戦争 そのはじまり 26
豊西戦争 そのはじまり 27
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 1
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 2
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 3
豊西戦争 北浜野戦と杉の井攻防戦 4
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 5
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 6
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 7
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 8
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 9
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃伊攻防戦 10
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 11
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 12
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 13
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 14
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 15
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 16
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 17
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 18
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 19
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 20
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 21
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 22
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 23
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 24
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 25
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 26
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 27
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 28
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 29
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 30
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 31
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 32
豊西戦争 北浜夜戦と杉乃井攻防戦 33
豊西戦争 別府湾海戦
豊西戦争 別府湾海戦 1
豊西戦争 別府湾海戦 2
豊西戦争 別府湾海戦 3
豊西戦争 別府湾海戦 4
豊西戦争 別府湾海戦 5
豊西戦争 別府湾海戦 6
豊西戦争 別府湾海戦 7
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豊西戦争 別府湾海戦 14
豊西戦争 あとしまつ
豊西戦争 あとしまつ 1
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豊西戦争 あとしまつ 3
豊西戦争 あとしまつ 4
豊西戦争 あとしまつ 5
豊西戦争 あとしまつ 6
豊西戦争 あとしまつ 7
太刀洗合戦
太刀洗合戦 1
太刀洗合戦 2
太刀洗合戦 3
太刀洗合戦 4
太刀洗合戦 5
太刀洗合戦 6
太刀洗合戦 7
太刀洗合戦 8
太刀洗合戦 9
太刀洗合戦 10
太刀洗合戦 11
太刀洗合戦 12
太刀洗合戦 13
太刀洗合戦 14
太刀洗合戦 15
太刀洗合戦 16
戸神尾合戦
戸神尾合戦 1
戸神尾合戦 2
戸神尾合戦 3
戸神尾合戦 4
戸神尾合戦 5
戸神尾合戦 6
戸神尾合戦 7
戸神尾合戦 8
戸神尾合戦 9
戸神尾合戦 10
戸神尾合戦 11
ヴェネツィア共和国十人委員会
ヴェネツィア共和国十人委員会 1
ヴェネツィア共和国十人委員会 2
ヴェネツィア共和国十人委員会 3
ヴェネツィア共和国十人委員会 4
ヴェネツィア共和国十人委員会 5
ヴェネツィア共和国十人委員会 6
あとがき
あとがき 1
あとがき 2
あとがき 3
奥付
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嵐を呼ぶ姫君襲来

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嵐を呼ぶ姫君襲来 1

嵐を呼ぶ姫君襲来

 

 それは、唐突にやってくる春の嵐のように、いきなりやってきた。

「……ここが、あの女の城ね」

「姫様。

 仮にも、これからご厄介になるかもしれぬお方をあの女呼ばわりは……」

 昼の杉乃井御殿の正門前で仁王立ちしている少女が一人。

 傍にたしなめる侍女がいるから身分の高い人なんだろうなととは門番も思ったが、何しろ御殿の主があれである。

 悪さをする様子も無いのでそのまま放置する事にした。

「構わぬ。

 どうせ、閨では取り合うのだ。

 さて、我が君を奪った女に会いに行くとしましょうか」

 付いてきた侍女に言い捨てると、開きっぱなしの門の前であくびをしていた三人の門番娘に言い放ったのだった。

「杉乃井御殿の主に取次ぎを願いたい。

 わらわは、来島通康(くるしま みちやす)の娘、鶴!

 我が君を取り戻しに参ったとな!!」

 

 珠です。

 今、とってもいい笑顔です。

 額に怒マークがついているけどそれは無視の方向で。

「で、わざわざ取り戻しにきたと。

 四郎を」

 お腹をさすりさすり四郎の子がいる事をアピール。

 なお、さり気なく隣に汗だらだらの四郎を座らせてしなだれてみたり。

「うむ。

 元々は、親同士の縁談とはいえ、わらわの所に四郎殿は来る予定だったのじゃ。

 返していただきたい」

 とりあえず、敵の容姿確認。

 年は私より二つ三つ下か?

 船戦を意図したのだろう。黒髪は短く切られ、ほどよく焼けている褐色色の肌が健康的な姿をアピール。

 胸は、うむ。私の圧勝だ。えへん。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 2

「四郎がここに来たのは、四郎の意思であって」

「それも家同士の縁談の方が重たいと存じますが、いかに?」

 わからんではないが、毛利と大友という大大名和議の切り札ともいえる、私と四郎の縁談を反故にできるだけのものが毛利と来島にあるのかしら……おや?

「ちょっと話を逸らすけど、鶴姫って、あの鶴姫?」

 あのがついた事で、彼女も自身のことではないと分かっていたのだろう。

 胸を張って、名の由来を語る。

「姫の言う、『あの』鶴姫とは大山祇神社の大宮司・大祝安用(おおほうり やすもち)の娘の事であろう。

 大内から大三島を守りし姫の名をわらわももらったのじゃ。

 父は先ほどから言うた通り、河野一門の来島通康じゃ」

 あれ?

 その名前どっかで聞いたような…………

 来島通康の娘って???

「あああああああああああああああっっっっ!!!

 あんた、本物の四郎の許婚かぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 立ち上がって指差して叫ぶ私に、鶴姫は呆れ顔でぽつり。

「だから、言うたではないか。

 四郎殿はわらわの許婚なのじゃと」

「し、し、し、四郎!

 なんで婚約破棄してこなかったのよ!」

 かっくんかっくん四郎の首を揺らしながら少女妊婦大立ち回り中。

 神力の無駄遣いでお腹の子は無事なので。あしからず。

「ひ、ひ、ひ、姫。

 そ、そ、そ、それがしも、今聞いた次第で……」

「あんたのとこのチートじじいや、チートブラザースがこんな間の抜けた事する訳無いでしょうがっ!」

「で、ですが、尼子攻めや、兄上の逝去など毛利にも色々あった事もまた事実……」

 とりあえず、四郎を揺らす手を止めて深呼吸を二回。

 すーはーすーはー。

 おーけーおちつけくーるになろう。

 問題なのが、あの毛利一門の不手際なのか、策謀の一環なのか分からない所なのよねぇ。

 ちょっと状況を整理してみよう。

「あのさ、四郎の事は何処で知ったの?」


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嵐を呼ぶ姫君襲来 3

 鶴姫に尋ねると鶴姫もあっさりと口を割る。

「知るも何も、お主らこの間まで伊予で戦をしていたではないか。

 四郎殿が豊後であれだけ派手に元服した上、我らの土地である伊予であれだけ派手に戦をしておいて、分からぬと思っておるのか?」

 あ、なるほど。

 伊予の戦で河野ともやっていたわ。

「で、あんたのこの行動って、あんたの父上に了解とっているのよね?」

「……」

 何故黙る。

 とりあえず、鶴姫が連れてきた侍女の夏を睨んでみる。

「…………」

 あ、二人ともなんかいやな汗でてる。

 こう、やっちゃった感が漂う感じの汗がだらだらと。

 ちょっと、突付いてみよう。

「一応聞くけれども、これ、毛利と大友の戦の理由になるけどいいの?

 一部始終ばれたら、うちの軍勢河野に攻め込むと思うけど?」

 あ、侍女の夏さんがつんつんと鶴姫を突付いてる。

(どーするんですか。これ)

(ぅ……)

 小声で言っているんだろうけど、聞こえてますから。二人とも。

 あ、涙目になった。

「わらわのものなのじゃ!

 ずっと来るのを楽しみにしていたのに、残されたわらわがどれほど思うておったか知らぬじゃろう!!

 うえぇぇぇん!」

 あーあ、泣き出したよ。

 どうしましょう、これ?

 深く深くため息をついて、一同夏が鶴姫をあやすのを見るしかなかったのだった。

 

 で、現在鶴姫は泣き疲れてお休み中。

 後に残ったのは、夏と我々なのだが……。

「本当に、お騒がせをしてしまいまして……」

「いえいえ。

 わがまま姫の扱いは、慣れておりますゆえ」


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嵐を呼ぶ姫君襲来 4

 何故、こっちを見る?

 麟姉に瑠璃姫に四郎よ。

「正直、こんなに応対してもらえるとは思っていなかったのです。

 九州まで来て門前払いになったら姫も諦めがつくだろうと」

 そんな事だろうとは思った。

 それならと疑問が湧く。

「もしかして、別の縁談でも上がった?」

 私の言葉に、夏もこくりと頷いたのだった。

 正確には、鶴姫と四郎は正規の許婚ではない。

 毛利家と河野家の縁組であり、それに選ばれたのが四郎と河野家一門の来島家という事である。

 だから、毛利と河野の名前がつくならば、ぶっちゃけると案山子でも構わないのだったりするのだが、四郎が私をたぶらかす為に畿内にあがる時に来島に寄ってしまったらしい。

 で、自分が嫁ぐ毛利の若君と勘違いするという事に。

「よろしければ、私が河野側に連絡をとりますが?」

 考えている私を、どう穏便に送り返すかと勘違いした瑠璃姫が申し出る。

 おそらく、元主君の宇都宮家を使うつもりなのだろう。

 敵対しているがゆえに、交渉のチャンネルは必ず持っているのがこの戦国の武家である。

 異民族戦をほとんど経験せず、同族間での争いに終始していたから、最後は話せば分かるという信頼が残っているのだった。

 けど、考えているのは別の事だったりする。

「私が奪った……か」

 あながち間違いでもないのがまた困る。

 史実ではこの二人が夫婦になっていたのだから。

 私というイレギュラーがこのような結果となって帰ってくるのは、因果応報としか言いようが無い訳で。

 四郎はいい男だ。

 それは認める。

 だから、彼に惚れる女は多いのだが、四郎は生真面目でもある。

 その上、独占欲がかなり強い。

 で、どうなるかというと、困ったぐらいの一穴主義人間に。

 父上並の淫蕩さを出してくれば、私や遊女総出でハーレム奉仕なんてするのに、あまり興味が無いらしい。

 まぁ、私も遠慮なく四郎の肉欲に溺れたのだからあまり強くいえません。はい。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 5

 本当ならば、四郎をセフレの一人として扱って、母よろしく四六時中男に嬲られる肉欲生活を送る予定だったのだが……。

 神力、特に地母神系統の力を伸ばすのは数多くの男に抱かれるのは必須だし、そもそもそれを目的としたからこその遊郭なのだし。

 また羨ましいというか、困った事になりつつあるのが、替え玉として吉岡長増達が作った恋という遊女。

 私の代わりに大友家若衆に抱かれているのだが、その人気ぶりに嫉妬と危機感があったりする。

 ぶっちゃけると、恋に抱かれた若衆が私ではなく、恋につくのではと恐れているのだった。

 身分の差なんて無かった前世の考えだと、平等であるという事は、誰にでもチャンスがあるという事でもある。

 となれば、そのリードを保ち、守るのは己の才能でしかない。

 私自身、大友珠という存在が大事なのであって、恋がそれに取って代わるならそれもありよねと吉岡長増に釘をさしたし、恋を種違いの妹として準一門で扱う事が決まっている。

 身分というもので己の安泰を図るつもりは無い。

 だからこそ、恋や、こうして何も考えずに飛び込んできた鶴姫に敬意を持つのだ。

 彼女達の思いに、四郎は答えてあげて欲しいと思う私がいる。

 と、同時に彼女達に負けてなるものかと思う私も確かにいる訳で。

 何言っているんだろう、私。

 考えがまとまらない。

「ちょっと、奥に引っ込むわ。

 とりあえず、二人はしばらく滞在してもらうから。

 いいわね」

 奥に一人入って、ふわふわ布団にぼすんと倒れる。

 妊婦だけど気にしなくていいこの神力はかなり便利だ。

 一人、転寝をしつつ考えると、行き着く所まで考えてしまうわけで。

「私、四郎に相応しい、いい女になれているかな?」

 思わず声を出してしまう。

 

「なれていますよ。姫」

 

「ふぁいっっっっっっ!?」

 

 びっくりして飛び起きましたよ。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 6

 で、そのまま四郎に抱きつかれたり。

「いいい、いつからそこに居たのかな?かな?」

「声、かけましたよ。

 しっかり返事を頂きましたが?」

 私のあほぉぉぉぉぉぉ!!!

 何も考えずに返事なんかするなよぉぉぉっ!!

「私は、珠の為にここに居ます。

 いつも言っているのに、不安ですか?」

 優しく耳元で囁かれるのが心地よい。

 ああ、すっかり私、四郎にはまっちゃったなぁ。

「違うの。

 私が、四郎のお荷物になっていないか不安なのよ」

 私も前世は男だった身だ。

 美女よりどりみどりのハーレム願望ぐらい持っている。

 だから、私という鎖で四郎を縛りたくは無いのだ。

「珠は間違っている。

 私は、自ら珠にはまっているんです」

 そして照れくさそうに微笑む四郎を見ると、何を悩んでいたのか馬鹿馬鹿しくなって、噴き出してしまう。

「あははははっ!

 何だ。私達、互いにはまっているんじゃない」 

「今頃気づいたのですか?」  

 そのまま四郎は私の唇を塞ぐ。

 もうこれ以上の言葉はいらないとばかりに。

 私も気づいたら舌を絡めて唾液の交換をしていたり。

 あれ、いつもならここで麟姉か、瑠璃姫が出てきて説教タイムのような気が。 

 私の心を読んだかのごとく、四郎が先回りしてその答えを口に出す。

「珠自身がこの間、『大丈夫』と一同を丸め込んだではありませんか」

 あ……

 神力だけで説明できないから、うちの遊女三千人ほどにアンケートを取ったんだった。

 で、確立と統計を駆使しての説得に一同ドン引き。

 『なんでこのお方はその力を他の所にもっと向けないのか』と麟姉を呆れさせながら、Hの許可を取り付けたばかりだった。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 7

 なお、この確立と統計の概念はしっかり他の部署にも広めるので、大友家は「文書化・データ化・ロジスティック化」の官僚主義の道を驀進する事に。

 さておいて。

 何だか、今日の四郎は凄く積極的なのですが。

 あっという間に、何も纏わぬ姿に剥かれてしまいましたよ。

「あ、あのね。

 四郎。

 今日の四郎、凄く積極的……」

「知りませんでした?

 珠が私を求めるのと同じぐらい、私も珠が欲しいんです」

 うわぁ。

 さすが、七十超えて子供を作ったチートじじいの息子。

 うすうす感づいてはいたけど、やっぱり四郎むっつりすけべだわ。

「もぉ、だから恋とか抱きなさいって言っているのに……」

「それが姫様の命令なら。

 ですが、わたしの子種は全て珠のものです」

「さすがにこれ以上妊娠できないわよ」

 そんな睦み事を言いながら四郎に身を任せる。

 久しぶりに私とお腹の娘は、四郎のミルクをいっぱいもらって安らかに眠れたのでした。

 

 次の日。

「居るのは構わないし、四郎を寝取ってもいいわよ。

 私もこんな体だし、四郎にも性欲の捌け口が必要だと思うし」

 一同の前で言い放つ私に、鶴姫は最初唖然としつつ、次に怒りで顔が真っ赤に。

「先にできたものの余裕じゃな!

 その喧嘩買った!

 絶対に四郎を寝取ってやるから覚悟せい!!」

 うん。

 お姫様の言う台詞じゃないわな。

 私も鶴姫も。

「あ、ちゃんと父上には連絡を取って滞在の許可を貰うように。

 いいわね?」

「…………はぃ」

 こうして杉乃井に新たな住人がやってきたのだった。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 8

「姫様と居ると飽きませぬな……」

 一部始終を聞いた吉岡長増老の一言である。

 最近隠居してここで若者相手に老後の楽しみ学校を開いてもらっているので、これ幸いと相談を持ちかけたのである。

 深い深い老人特有のため息をこれみよがしに見せ付けながら、更に追い討ちをかけるのも忘れない。

「姫様が二人に増えましたな」

 うわ。失敬な。

 私あんな無鉄砲じゃないとガン見してあげたら顔そらしやがった。

「で、どうなさるつもりで?」

 遊びは終わりだとばかりに、吉岡長増の言葉から遊びが消える。

「早馬を府内と門司に飛ばしているわ。

 門司をこんな形で使うとは思わなかったわよ」

 できたばかりの門司の町には、大友と毛利が奉行という形で町衆の自治に参加している。

 とはいえ、自治に発言するのが目的ではなく実質的大使扱いで、行われるだろう毛利との戦の交渉できるチャンネル確保が最大のお仕事なのだが、まさかこんな情けない理由でこのチャンネルを使う事になるとは思わなかった。

「村上水軍を突付いて毛利という大蛇を出したくはありませぬな。

 向こうの応対しだいですが、とりあえずは穏便に」

「わかっているわよ」

 何しろ、戦争前だから、どんな細事で開戦になるか分かったものではない。

 あ、元の好々爺の声に戻った。

「でしたら姫様に使っていただきたい若者がおりまして」

 ぴくん。

 あの吉岡長増が認めた男ですって!?

 この間渾身の土下座で大谷吉房をげっとした後で、由良姉と共にやってきた島井茂勝紹介の野崎綱吉という大当たり人材がやってきたばかり。

 野崎綱吉はまだ若武者という事もあり、四郎の下についてもらって杉乃井御社衆を率いる予定になっている。

 けど、このタイミングでの紹介って、ちょっと調子に乗りすぎたかな?

「監視?

 麟姉と吉岡長増自身が私を見張っているのに、これ以上いるの?」

 私は宇佐衆を旗本に、安宅冬康や田原親宏、佐伯惟教など外様や大友家から外された人間を確保して家臣団を作っていると見られても仕方ない。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 9

 自らの手足の確保は謀反の疑いありと讒言されかねないからだ。

 そのあたりもあって、吉岡長増や田北鑑生老の隠居組に杉乃井に来てもらったのだ。

 もちろん、この二人の経験を次世代に教えて欲しいというのも本気なのだが。

「姫様を見張った所で変わりはせぬでしょうが、流れ者で家臣団を組まれるならば、こちらからも入れておかないと何かあったときに困りまする」

 何かあった時ね。

 その何かって私の毛利への内通なんだろうなぁ。きっと。

 そんな事を好々爺顔で言うのだからこのじじいもチートである。

「まぁとにかく紹介してちょうだいな。

 外様どころか毛利の御曹司すら使わないと訴訟が追いつかないって、どれだけ当事者まかせでやってきたのよ」

 私のいやみにも吉岡長増は顔を崩さない。

「耳が痛いですな。

 入れ」

 入ってきたのは体の細い若侍だった。

「豊後国志賀家に仕える朝倉一玄(あさくら いちげん)と申します。

 なにとぞよしなに」

 彼の挨拶に吉岡長増が言葉を続ける。

「朝倉家は志賀家の分家筋に当たりましてな。

 この老人の暇つぶしに自ら志願してここまで学びに来た数寄者ゆえ、あとは経験を積ませればと姫様にご紹介したまてで」

 採用決定。

 大友家中で謀将系である吉岡長増に教えを請う時点で、こいつの適正が軍師系であるのが分かる。

 こき使ってやろうじゃないの。

「わかったわ。

 今はとりかく人材が足りないの。

 遠慮なく働いてもらうからよろしく。

 とりあえず、鶴姫の件で毛利と話をするからその手駒として動いてもらうわよ」

「はっ」

 大友家の外交を取り仕切っているのは府内に居る臼杵鑑速だ。

 彼も豊後三老(臼杵鑑速・吉岡長増・吉弘鑑理または臼杵鑑速・戸次鑑連・吉弘鑑理)と謳われた出来人だから間違いがないとは思わないが、齟齬は起こしたくないので朝倉一玄を使者として私と臼杵鑑速の連絡を密にしようという訳。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 10

 このあたりは電話もないし、手紙も遅いし届くかどうか分からない戦国の世のたしなみである。

 なお、毛利側もこの顛末は想定外だったらしく、慌てて門司に安国寺恵瓊あんこくじ えけいが飛んできた。

 それに合わせて、臼杵鑑速と朝倉一玄を南蛮船で門司に送り出して顔合わせをしている。

 大友と毛利の間に書簡が行きかい、河野の了解を取り付けて滞在許可が出るまで一苦労があったのだがそれは別の話。

 

「ばーかばーか!」

「ばかじゃないもん!!」

「まぁまぁ。お二人とも落ち着いて」

 もはや杉乃井御殿でもなじみとなってしまった、女の子と長寿丸の喧嘩が部屋の外から聞こえる。

 で、この女の子白貴姉についているので基本的にフリーパスだったのを良い事に、御殿奥にも遠慮なく探検しに来て、私と遊びたくてやってきた長寿丸と仲良く喧嘩中。

 そんな微笑ましい杉乃井の一コマだけど、誰かが二人をなだめている様な。

 顔を出してみると、三人とも似たような背丈で、長寿丸と女の子をなだめている男の子が一人と、見事に返り討ちにあったのだろうぶったおれて泣いている男の子が数人。

 この辺りから、長寿丸にも近習を作る為に同じ年ぐらいの子供をつけるのだけど、その子供達が女の子に喧嘩を売って返り討ちという所か。

 女の子も傷だらけだし、ああ、立派にガキ大将してやがる。

「はいはい。二人とも何やっているのよ」

「あ!姫様だぁ!!」

「あ、あねうぇ……」

 私が出てゆくと、見る見るしょぼんとする長寿丸に、ガッツポーズの女の子。

 既にこの時点で大体の想像がつくのだけど、仲裁に入っていた男の子に話を聞いてみる。

「で、どうしたのかな?」

「はっ。

 実は、小姓の者が『下賎の者が長寿丸様と遊ぶのは良くない』と喧嘩を売り返り討ちに。

 で、事態を知った長寿丸様がこちらに来て、今度は彼女が食って掛かっている次第で……」

 えらく礼儀正しいお子様だね君と、心の中で突っ込みながらため息を一つ。

 女ガキ大将たる彼女は白貴姉つきで私もかわいがっているし、面倒見もいいので半ば傍若無人を許され、強気を挫き弱きを助けるチビ大久保彦左衛門と化した彼女だから年下からの支持も絶大で、今や別府のおてんば娘として子供社会を牛耳っているのだった。


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嵐を呼ぶ姫君襲来 11

 こんな素敵な問題児に叱る側の麟姉や瑠璃御前から、

「彼女が姫様みたいになったら困ります!」

と泣きつかれて目付として小姓を一人つける羽目に。

 そこ、本末転倒って言わない。

 で、その小姓が今えらく礼儀正しい彼なのだけど、確か名前はこの間雇った大谷吉房の息子で紀之介と言った様な。

 何だろう?

 えらく名前にひっかかるんだよなぁ……

「どうなさいました?姫様」

 その礼儀正しい小姓からかけられた声で我に返る。

「え?

 うん。ごめん。ちょっと考え事していた。

 もう、けんかはだめって言ったでしょ。

 長寿丸も小姓に弱いものいじめはだめって言わないと……」

 軽く二人を説教して三人を解放する。

 で、仕事戻ると書類が増えていた。

 ため息を深く深くついてその書類の処理を。

 鶴姫の事もあるし決戦である毛利の事も考えないといけないってのに……ん?

 決戦……違うな。

 天王山?……いや、天下分け目……これも違うな……関が原……あ!!!

 さっきの礼儀正しい小姓がやっと繋がる。

 ゲームでは頭巾かぶった姿ばっかりだったし。彼。

 そりゃ、彼なら女の子の相手もできるだろうなぁ。大谷吉継(おおたに よしつぐ)ならば。