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じつに彰の「草加小話」:神輿の作法

 夏の祭りシーズンだ。7月13日(土)と14日(日)は草加駅の東側の旧道で八幡神社祭礼が行われた。

 知り合いの高校生が祭りのはっぴを着ているのに出会った。これから初めてお神輿を担ぐのだと笑っている。子供神輿ではない。本物の大人の神輿だという。だがひょろっと背が伸びてしまって筋肉が追いついていない彼の立ち姿を見ると、これはお神輿の重量に耐えられそうにないな、と判断せざるをえない。


「今回は様子を見るだけにしておきな。草加のお神輿がどんな動きをするかよく観察して規則を把握して、危険を避けられるようになってから担いだほうがいいよ」と忠告した。


 草加の神輿には草加独自の作法がある。その作法は「草加もみ」と呼ばれ、独特の掛け声に合わせて神輿が動く。


「ながせ!」「ながせ!」「ながせ!」「ながせ!」というコールアンドレスポンス。


このときは神輿はまっすぐ進む。


「まわれ!」「まわれ!」「まわれ!」「まわれ!」


このときは時計回りに方向転換。


「やんわれ!」「やんわれ!」「やんわれ!」「やんわれ!」


神輿がぐらんぐらんと振り子のように左右に揺れる。


「これらの動きは、草加宿が舟運の盛んだった頃に舟頭の使っていた掛け声や動作が由来とされています。」(草加市ホームページ<歴史ある神輿担ぎ「草加もみ」を受け継ぐ>)

 地面すれすれまで落としたかと思ったら、一気に高く投げるように神輿を高く掲げて両手を目いっぱい伸ばして支えるという荒業もある。これなど予備知識なしに参加したらかなり危険だ。


※<歴史ある神輿担ぎ「草加もみ」を受け継ぐ>

http://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1002/a11/a07/PAGE000000000000029003.html


「草加もみ」は草加独自の神輿作法だが、神輿を揺らしたり回したりするスタイルは全国に多くあるようだ。いや、もっとユニークで激しいものもたくさんある。


※Wikipedia「神輿」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E8%BC%BF


 千葉県市川市の行徳の神輿は極めてダイナミックだ。「行徳担ぎ」と呼ばれていて、全員で腰をかがめたまま神輿を上下に揺らす。そのまま回る。そして背を伸ばし両手を突き上げて神輿を掲げる。ついに上にひょいひょい投げ上げる!


※「平成24年 浦安三社祭 <豊受神社>宮神輿・西組=行徳担ぎ披露」

http://www.youtube.com/watch?v=aJg3Tj0VCbE


 小田原の神輿は走る。複数台が並走する。その重量と速度から生まれる運動エネルギーを想像すると、危険の予感が漂う。


※「龍宮神社2基合体 小田原駅突っ駆け 4社例大祭」

https://www.youtube.com/watch?v=3YyjVH7FVuw


 そして、しばしば神輿は喧嘩する。

 愛媛県松山市の秋祭りの、神輿同士が正面からぶつかり両陣営の群集がもみあう動画は、まるで暴動のドキュメンタリーだ。


※「2010 松山秋祭り 喧嘩神輿 日之出町」

http://www.youtube.com/watch?v=qmDDaJjMMHg


 岸和田だんじり祭りの映像を見ても思うが、勇猛な男たちが重兵器を全力で運ぶような、古代の戦争のような荒々しさを神輿からは感じる。


 破壊にまで至る祭りもある。長野県宮田村の祇園祭では、神輿を石段から放り投げ、柱一本になるまで破壊する。

 神輿とは神様の乗り物なのだが大丈夫か? と心配になるが、神様を津島神社にお届けして降りていただいたあと破壊するらしい。


※「宮田村津島神社祇園祭あばれ神輿破壊2010」

http://www.youtube.com/watch?v=E4oyqzOQ-Lk


 草加の神輿はそこまで極端なことはしない。

 だが、肉体の限界の感覚や、仲間との一体感や、個人を超えた何か大きな力を感じることは十分できる。

 だから、いつもは堅気な経営者や陽気な学生さんも、祭りの日は強面の祭り男に変身して神輿に挑むのだ。


奥付

草生人メールマガジン2013年7月号
http://p.booklog.jp/book/74874

発行元 : ASYMOS
編集・発行責任者:ASYMOS 染谷洋子 someiyoshino@asymos.com
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© 2013 soseijin ASYMOS.INC
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