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洋画部門

エンド・オブ・ホワイトハウス

2013年7月5日鑑賞
***  時代の流れを映画で読む   ***
観終わったあとで、ズシッと重量感が残るアクション大作ですね。この作品のすごさは、
「もしかして、これって、今、起こっても不思議じゃないよね?」
と言う、映画だけの話に終わらない、真実味があることです。それがズシリと響くのです。
ホワイトハウスが襲われる。そして陥落する。人質になった大統領達を、一人の元シークレットサービスの男が救い出すと言うお話です。
今の時代、超高層ビルに飛行機が突っ込む時代です。何が起こったって不思議じゃありませんね。
映画を観ていて勉強になる事の一つに「時代の流れがわかる」と言う事があります。
かつてのアメリカが目の敵にしていたのはイラクなどの中近東、石油の利権が絡む問題がそのベースにありました。ところが、本作ではついに北朝鮮の脅威がストーリーの背景になっているんですね。

北朝鮮と思われるテロリスト達によって乗っ取られた、アメリカ空軍の AC-130。この殺戮マシーンがホワイトハウス目掛けて襲いかかります。これ、ミリタリーマニアにはたまらない設定でしょうね。本来は輸送機のC-130なんですが、それを対地上戦用に改造した機種なんですね。もちろん実在のレアもの兵器です。機体の左下側にはズラリとバルカン砲が並んでいます。機体は左旋回しながらホワイトハウス目掛けて、雨あられの如く弾丸の雨を降らせてゆきます。この機体、地上の目標物一カ所を連続射撃によって、敵に逃げる隙を与えず、徹底的に叩き潰すために開発されてるんですね。
いや、この銃撃の凄まじさ、迫力は半端ではないです。
「プライベートライアン」のあの有名な冒頭30分の戦闘シーンにも匹敵すると思います。
まあ、この攻撃によってホワイトハウス地上防衛部隊は全滅。大統領とその側近達はテロリスト達によって、地下の核シェルターに連れ込まれます。
ホワイトハウスの危機を知った、元シークレットサービスの男。彼が一人、ホワイトハウス内に入る事に成功します。彼は無事、大統領達を救い出せるのか?
ハラハラドキドキの極上アクション、サスペンス劇が展開されてゆきます。
だけどまてよ、どこかでこのシチュエーションってなかった?
そうです。Yahoo映画レビュアーの皆さんもご指摘の通り、これ、まんま、あの傑作アクション映画「ダイハード」のパクリなんですね。
だけど、そこは目をつむって、あえて、どの様にうまく「パックてくれるのか?」を楽しむのも、この手の映画の楽しみ方ではないでしょうか?
また、本作では名優モーガン・フリーマンが、米下院議長役で実にシブい演技を見せてくれています。僕も彼の大ファンなので嬉しくなります。先日観た「オブリビオン」でのモーガン・フリーマンには、正直ずっこけましたがね。
(^_^;)
さて、救出に向かう主人公。
彼には苦い経験がありました。大統領を警備中、事故で大統領夫人を救えなかったのです。
彼は大統領とも、家族の様に親しい。大統領の息子なんか、タメ口を交わし合う、自分の甥っ子みたいに親しい間柄。すでに彼にとって大統領一家は、親族も同然だったでしょう。しかし、彼はその命を守れなかった。彼は傷つきました。
「あの時の自分の判断は正しかったのか? 自分はなぜ任務を遂行できなかったのか?なぜ命を救えなかったのか?」
彼は自分自身を責めます。
のちに彼は「やり直せばいいんだ」という言葉をある人から贈られます。その言葉は彼を救います。

僕もかつて会社勤めをし、ひとつの店を任されていた時があります。営業成績は伸び悩んでいました。そのとき社長から
「間違えたのなら、最初に戻ってやり直せばいいんだよ」と声をかけられ、涙が出るほど嬉しかった事を覚えています。
そういう経験値をもってこの作品を観ると、また違った味わいがあると思うのです。
なお、テロリストの主犯格を演じた役者さん、この人の演技も注目したいですね。
なお、いつもこういうアクション、戦争映画を観て思うことですが、大量に殺されてゆくエキストラの皆さんもそれぞれに、人生があるんだよねぇ。主人公、ヒーローの命も、エキストラの命も、命の重さに変わりはないということを肝に命じて、映画を楽しみたいものです。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆☆
演出 ☆☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆
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作品データ

監督   アントワーン・フークア
主演   ジェラルド・バトラー、モーガン・フリーマン、
               アーロン・エッカート
製作   2013年 アメリカ
上映時間 120分

予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。


http://www.youtube.com/watch?v=-xAANNb2SNs


コン・ティキ

2013年7月10日鑑賞
*** ちっぽけなイカダと人間が見た大きな夢  ***
  誰もが、子供の頃、一度は聞いたことがある「コンティキ号」の冒険のお話。いままで、何で映画化しなかったのか? むしろそれが不思議なぐらいだ。もっとも、実際の航海の時に撮ったフィルムがあり、それがドキュメンタリー映画としてアカデミー賞に輝いている。いまさら、脚本を書いて、物語としてリメイクするというのは、それ自体がかなりの冒険だ。
主人公ヘイエルダールはもちろん実在の人物。彼は研究のためポリネシア諸島に奥さんとしばらく滞在した。その時から彼には、ひとつのアイデアが頭から離れなくなった。
この島に住む人たちの身体的な特徴や、崇拝する神の象徴。それらが、南米に住む人達と極めて似ているのだ。彼は自分の想像力にとりつかれてしまう。もし、古代の人達が海を超えて、この島に移住したとしたら?  南米からポリネシアまで、その距離8000kmをだ。
誰もが行けるはずがないと思う。だけど彼の研究者としての執念は凄まじい。
古代の人達と同じイカダを作ってみよう、大海原を渡ってみよう、実験すればいいんだ、と。
彼はスポンサーを探し、乗組員を探す。やがて彼の熱意はコンティキ号というイカダと、乗組員を得ることになる。
イカダはタグボートに引かれて外洋に出る。
そしてうまく貿易風と潮流に乗ることに成功する。この流れに乗りさえすれば、後はポリネシアまで、風と潮の流れがイカダを運んで行ってくれる。実際、この航海は船で航海したというよりも、あくまで、何もせずに漂流することによって、ポリネシアまでたどり着けることを証明したのである。
ただ、この漂流実験が行われたのは1947年である。その後の研究によって、ポリネシアの人達が、必ずしも南米から来たという証明にはなっていない、ということが分っているらしい。いまはハイテクによる研究ができる。人のDNAも調べることができるようになった。そこから、冷徹で、予想もつかない意外な真実が明らかになる事がある。科学というのはそうやって進化してゆく。
この作品はドキュメンタリータッチではなく、観客が観て楽しい、ファンタジーに近い味付けがなされている。
航海の途中、針路に迷ったり、サメに襲われたり、仲間割れしたり、大波に飲み込まれそうになったりと、観客を飽きさせない工夫がなされている。
この作品を観て改めて思うのは、あまりにスケールの大きい大自然だ。その巨大な大自然に挑もうとするイカダと人間達の姿は、滑稽なほどちっぽけだ。
本作に登場する巨大なジンベイザメや凶暴なサメ、天空に轟く稲妻や嵐。それらはすべて自然界が生み出したものだ。それに比べ、小さなイカダの上でさえ、いさかいを起こす人間は、何とちっぽけで頼りない存在なのだろうか。
西洋の人達には、その心情の根底に、自然を征服する事への強い意思を感じる事がある。
だが、古代のペルー人やポリネシア人達の自然観は、きっと近現代の西洋人の自然観とは違うはずである。
そのあたり、主人公ヘイエルダールはどう考えていたのだろうか?
僕は作品を観ながら、改めて自然への畏怖の念を抱いた。それは自然と共存する事を好む、東洋人の自然観なのだろう。自分のカラダに染み込んだ、この感覚。ああ、自分はどうしようもなく東洋人なのだ、と強く感じた。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆
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作品データ

監督   ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ
主演   ポール・スヴェーレ・ヴァルハイム・ハーゲン、
     アンドレス・バースモ・クリスティアンセン
製作   2012年 イギリス,ノルウェー,デンマーク,ドイツ
上映時間 113分

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http://www.youtube.com/watch?v=arVeYKFRk9U


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