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絵本『時鳥と百舌』

別の話もあります。

 

むかし、モズはホトトギスの金を預かって、仏壇の仏様を買って来る約束をして置きながら、その金で酒を飲んでしまいました。ホトトギスが「本尊掛けたか」と鳴くのは催促をしているのです。

 

モズの顔が赤いのは酒を飲んだからとも言いますが、きまりが悪いからかも知れません。


中扉

 

 

 

漢文調

『時鳥と百舌』


漢文調 『時鳥と百舌』

昔々、時鳥、沓を作る職人なり、と云う話有り。

其の頃、百舌、馬方なりと云う。

 

百舌、時鳥に頼みて、毎度馬の沓を打たしむとも、其の代金は、払うこと無かりけり。

其れを覚えているが故、時鳥は何時迄も「沓の代は如何や」と言いて、啼くという。

而して、百舌は面目なき故、時鳥の出て啼く頃、何処かへ隠れたりて、少したりとも顔を出さず。

然りて、色々の小虫を木の小枝等へ刺し置きて、時鳥の機嫌を取ると云う。

(紀州那賀郡)

 

但し、次の話、有るが故、何れが正しきか不明なり。

 

昔、百舌、酒好きに因りて、時鳥の金を預かりて、御仏壇の仏様を買いたる約束を成し置き乍、其の金で酒を飲み終わりぬ。

時鳥、毎年、其の時期なれば「本尊掛けたか」と言いて啼くは、催促の為と云う。

百舌、其の如く言上せらるる由、困るが故、成る可く黙りて、出て来る処、無きが如し。

百舌の顔の赤しは、飲酒が為と雖も、事に因りては、決まりが悪し故と、知らざる可し。

(紀州有田郡)



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