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オブリビオン

2013年6月7日鑑賞
*** 100万回地球が滅んでも君を愛してる***
トム・クルーズとモーガン・フリーマンが出演している作品と言うことで、アクション映画苦手な僕も観に行ってきました。
トム・クルーズ氏は、ご承知のとおり、たいへんな親日家で19回も来日しているとのこと。
「僕はこの後、19回来てもいいね」と言うぐらい日本大好きなんですね、彼は。
いつも爽やかな笑顔で人に接し、とてもフレンドリー。「ナイスガイ」と言う言葉は、正に彼の為に存在すると言ってもいい、なんて思ってしまいます。

そう言う彼の人柄に引きずられて、僕のように映画館に足を運ぶ人は多いと思います。
まあ、彼の人柄を褒めちぎる所から、映画レビューを始めると言うのは、実は、作品自体はそんなに面白いわけではない、と言うことの裏返しなわけですね。はははo(^▽^)o
舞台は異星人に滅ぼされた地球。(もうやめてよ、こういう設定。見飽きてるんだよ。今まで百万回は死んでるよ、地球なんて)人類はすでに他の惑星に移住していると言う設定です。
貴重な資源である水はまだ地球に残っている。それを吸い上げるプラントがあるんですね。
それを異星人から守るプロジェクトチーム、その隊員の一人が、主人公ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)なんですね。
彼は同僚の女性と二人でこの任務に当たっている。
地球にいる異星人は神出鬼没なわけです。それをやっつける武器が、丸っこい形をした無人攻撃機「ドローン」
これが荒廃した地球のあちこちに配備されてます。
主人公は故障したドローンの整備点検なんかをやっているわけです。
ある日彼は、故障した宇宙船が墜落するのを目撃。
脱出用カプセルには、人類の女性が入っていたのでした。
この事故処理を巡って、プロジェクト本部と、彼の間に対立が生まれます。やがて彼は、このプロジェクトそのものの大きな欺瞞に気づくのでした……
と言う具合なんですけどね。

アクションがお好きな方には、そこそこ楽しめるシーンがちりばめてあります。
僕がいいなと思ったのは、彼がちょっとした隠れ家にしている場所があるんですね。そこにだけは緑がある。湖の畔の小さなログハウス。
そこで、大昔のアナログレコード盤を聴きながら、救い出した女性(オルガ•キュリレンコ)と語り合っている静かなシーン。
やがて二人は愛を確かめあってゆくのです。
これ、なかなか詩情溢れるシーンに仕上がっております。
モーガン・フリーマンは、超大御所のご登場ということで、本作を権威づける、ちょっと重みを持たせるためにキャスティングした、というのが、もうミエミエなんですね。
かつて大コケした邦画の実写版「スペースバトルシップヤマト」の山崎努さん的な、役者の使い方と理解してください。

最近のハリウッド系SF、アクション物があんまり面白くもないというのは、やはり、脚本が面白くないということに尽きると思います。
それから、ハリウッド映画の脚本メソッドそのものを、そろそろ疑ってかかった方がいいということです。
「かもめ食堂」「めがね」などのヒット作で知られる荻上直子監督は、このハリウッドメソッドを現地の映画学校で、徹底的に叩き込まれた監督さんです。
その彼女が、作り上げた作品は、そのハリウッドメソッドをほぼ全否定するに等しい物でした。
「何も事件が起こらない」
「主人公は特に重要な使命を持っているわけではない」
そういう作品をあえて作って、多くの観客の共感をよびました。
また、今や世界の大御所、宮崎駿監督の代表作「千と千尋の神隠し」
あの作品では、一体誰が悪役なのか? はっきりしません。コトの善悪は程度問題、あるいは、善悪という概念そのものを、いったん置いて、世界観を一から手作りで作り上げているようなところがあります。
娯楽作品として「生産」「消費」するには、映画というのは時間もお金も、また、様々な環境負荷もかける産業である事を、肝に命じておくべきでしょう。
そういう本質的なところを棚上げして置いて、
「美しい地球を守りたいんだ」
なんて、いけしゃあしゃあとメッセージを送るのは、傲慢と欺瞞に満ちた、ハリウッド流エゴイズム以外の何者でもありません。
ちなみに荻上監督は「めがね」のなかで主人公に
「地球なんか無くなっちゃえばいいのに」
とボソッと言わせております。
この「ボソッとした」一言でハリウッドを、ぶった切っちゃったんですね。
宇宙人の侵略から地球を守ることよりも、じゃぶじゃぶエネルギーを使う、乾燥機を止めて、洗濯物を天日干しするところから始めるのが、アメリカに課せられた義務でしょう。きっと、原発もシェールガスも、そんなには使わなくていい世の中になるんじゃないでしょうかねぇ。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆
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作品データ
監督   ジョセフ・コシンスキー
主演   トム・クルーズ、モーガン・フリーマン
製作   2013年 アメリカ
上映時間 124分
予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。



http://www.youtube.com/watch?v=TgH_Kf3wpBw



ローマでアモーレ

2013年6月26日鑑賞
***  幸せ色の交差点、それはローマ***
ウディ・アレン監督の新作です。前作の「ミッドナイト・イン・パリ」から、こんどは舞台がローマに変わりました。
いつもは神経衰弱気味のウディ・アレン監督も、ローマが舞台の本作では、さすがに楽天的なタッチで映画を作ってますね。やっぱりイタリアという幸せを感じさせるお国柄がそうさせたのでしょうか?
それにしても、なんとも贅沢なスター達の饗宴ですね。僕の大好きなロベルト・ベニーニさん、アレック・ボールドウィン、「JUNO」で、一躍脚光を浴びたエレン・ペイジ、それにお色気ムンムンのペネロペ・クルス。

お話は四組の登場人物達が繰り広げる、パラレルストーリー。もちろんウディ・アレン本人も、オペラ演出家役で出演しています。
先にローマ旅行に出かけた娘が、まるで映画の様な恋に落ちます。父親であるウディ・アレンは、逞しい奥さんと一緒に、娘のいるローマへ向かいます。行きの飛行機の中で、ちょっとした乱気流で恐怖に怯え、奥さんにすがりつくウディ・アレンの軽妙な演技。
軽妙な、といえば、もちろんこの人、ロベルト・ベニーニさんの演技も絶対見逃せません。この人、フツーのサラリーマン役なんですが、ある時、素人からかい番組に引っかかってしまい、突然有名人に「させられてしまう」という設定です。いきなり、取材陣が押し寄せ、カメラの放列に囲まれ、フラッシュの嵐。慌てふためく彼は車に乗せられると、なぜかテレビ局に。そこですぐさま、イタリア全土へ生放送。
「今日の朝食は?」
「えーっと、トーストだね」
「トーストに何をつけましたか?」なんていうどうでもいいことを、大スクープの様に放送されてしまいます。街へ出かければ、突然有名人になった彼はサイン攻め。
さて、ローマについた演出家のウデイ・アレンは、そこで天才的な歌唱力を持つ葬儀屋と知り合いになります。彼の演出家の血が騒ぎだします。
「この才能を世に送り出したい」
ただ、その葬儀屋が美声を発揮するには、ちょっとした「仕掛け」が必要なんです。これはもう、映画を観て笑ってもらうしかないんですが。
ウデイ・アレン監督の作品は、自分を投影した人物像をよく登場させますね。本作ではその役回りを、ウディ・アレン本人が演じるのではなく、若いエレン・ペイジの演技力を認めて、信頼して任せた様に感じましたね。ウディ・アレンに認められたエレン・ペイジとしては、大変なプレッシャーだったでしょうがね。
彼女の役どころは、まだ、ぜんぜん売れていない女優さん。やや神経過敏で、不眠症。精神安定剤を飲みながら仕事をしている。おまけに失恋したばかりで、その心の傷を癒そうと、ローマの友達の家に遊びに来た、という垢抜けないイマイチな女優を巧みに演じています。
さて、これらの人々が織りなす群像劇が、とてもしなやかに描かれてゆきます。
「ローマの道は全てに通じる」と言われますが、登場人物達の交差点、そこがローマなんですね。

部屋の窓をあけて、眼下に見えるローマの街を眺めてみましょう。いろんな人たちが行き交うのがみえます。彼らは交差し、様々なドラマを演じていきます。ただ、どんな街よりも、ローマという特別な街で演じられるドラマは、どこよりも幸せな色に染まっている様に僕には思えました。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆☆
演出 ☆☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆
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作品データ

監督   ウディ・アレン
主演   ウディ・アレン、アレック・ボールドウィン、
                ロベルト・ベニーニ
製作   2012年 アメリカ、イタリア、スペイン
上映時間 111分

予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。



http://www.youtube.com/watch?v=anetXoE3pRI

華麗なるギャツビー

2013年6月18日鑑賞
*** ゴージャスはケチっちゃいけない ***
舞台も衣装も、もちろん、俳優達も豪華絢爛。1920年代アメリカの社交界、まるで時代絵巻の様なきらびやかな映像。だけど、いまいち、僕の心に響くものがなかったなぁ〜、というのが正直な感想です。
何よりがっかりしたのが、これだけ豪華絢爛なお膳立てをしている作品、おまけに3D。当然すごい映像だろうと思うじゃないですか。違うんです。
なんと、掟破りの「なんちゃって3D」
ここまで金をジャブジャブ使った映画なら、3Dも贅沢してよかったんじゃない?、こんなところでケチるなよ、と突っ込みを入れたくなりました。

まあ、そんなわけで、3Dメガネをかけながら、しぶしぶ「なんちゃって」映像を見て参りました。
原作はスコット・フィッツジェラルドの「グレートギャツビー」僕は、原作未読で本作を鑑賞しました。
だから、余計ストーリーの展開がよく分からなかった面もあります。なお、原作のある作品に付いて、よく「原作」対「映画作品」の比較を議論しておりますが、僕が思うにそれは「野球」を観ながら「サッカー」の解説、批評をしている様なものだと思っております。つまり、競技そのものが違うんだという事ですね。原作と映画作品は何の関係もなくて、全然OKなんですよ。映画作品として面白ければそれでいいんですね。
そう言う見方で本作を鑑賞してみたんですが、さっぱりおもしろくない。ただ、スクリーンで派手な衣装に身を固めたレディース・アンド・ジェントルマン達が、パーティーばっかりやっている映画というかんじです。
ギャツビーと言う、謎の富豪。彼の生い立ちに興味を持ち、彼の底なし沼の様な内面に迫ろうとする主人公、ニック・キャラウェイ。だけど、観客に提示されるのは、謎解きでもなんでもなく、さらに、さっぱり訳が分んなくなる、という感じで、物語が終了します。これは僕の感性のなさなのかな?
ただし、映画で使われる舞台装置、衣装デザイン等、ビジュアル面では、これぞハリウッド映画、と唸らせるものがあります。

そのゴージャスさを楽しむ作品、と割り切って観れば、それもありなんではないかな? と思わせてくれる作品でした。
最後に、主演のレオナルド・デュカプリオも、ギャツビーのような大物、影のフィクサーという様な役を演じる年齢になって来たんだなぁ、とちょっと感慨にふけるものがありました。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆
映像 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆
総合評価 ☆☆☆
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作品データ
監督   バズ・ラーマン
主演   レオナルド・デュカプリオ、トビー・マグワイア
製作   2012年 アメリカ
上映時間 142分 
 予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。


http://www.youtube.com/watch?v=ejl5-Win7VM

奇跡のリンゴ

2013年6月10日鑑賞
*** 咲いたよ、命いっぱい、リンゴの花***
その花が咲くまでに11年。一つの家族が笑顔を取り戻すまでに、11年かかった。
その花を咲かせるために、全財産をつぎ込んだ。
小学校に通う三人の娘は、一つの消しゴムを三つに切り分けて使った。学校ではクラスメイトにバカにされた。その花のために光熱費も払えない。家の電気は止められた。
もうこれまでだ、家族はお終いだ。首をくくろうと覚悟した。
そこまでして、ようやく咲いてくれた花。
それはリンゴの花だった。
だけど、それは普通のリンゴの花とはちょっと違う。
世界中のリンゴ農家が不可能だと思っていた。
「完全無農薬」のリンゴの花なのだ。
その花を咲かせたのは、木村秋則さんと、その家族。
この映画は「完全無農薬リンゴ」の栽培に世界で初めて成功した、木村さんの実話を元に映画化したものだ。

映画で語られるが、もともと木村さんは、リンゴ農家になるつもりはなかったそうだ。
子供の頃のエピソードが面白い。
彼は機械の分解マニアだったのだ。
興味があるものは何でも分解してみないと気が済まない。
おもちゃ、時計、テレビや友達から借りたバイクまで分解してしまう。
この辺りは結構コミカルに演出されていて、楽しいエピソードである。
木村少年は、物事がどんな仕組みで出来上がっているのか? その探究心が人一倍強かった。
後にその性格が、日本の農業に奇跡をもたらす。
また、そんな木村少年を暖かく見守り、
「物事がわかるまで、失敗し続ければいいんだべ」
と失敗することの大切さを教えたのが、木村少年のお母さんである。
やがて木村青年(阿部サダヲ)は、生まれ育った青森を離れ、都会の大企業へ就職する。
彼は本当に農業が嫌いだったのだ。
そんな彼に縁談が持ち込まれる。
相手は高校の同級生。しぶしぶ見合いした。
彼は格段に美しくなったその同級生(菅野美穂)に、ほとんど一目惚れする。奥さんの家はリンゴ農家。木村さんは入り婿となった。そして、嫌いだったリンゴ農家を継ぐことになる。
義理のオヤジさんを名優、山崎努が演じる。
本作ではひさびさに、山崎努の渋い演技を、じっくりと堪能できるのが大きなお楽しみだ。
リンゴ農家である奥さんは、実は農薬アレルギーを持っていた。
リンゴを育てるのには、一年に何回も農薬を散布しなければならない。それがリンゴ栽培の常識とされている。奥さんも当然、農薬散布の作業を手伝う。しかし、その直後、奥さんの皮膚はただれ、嘔吐を繰り返し、寝込んでしまう。
愛する妻のためだ。木村さんは決断する。
「無農薬でリンゴつくればいいんだべ」
彼本来の好奇心と、探究心も手伝って、彼は無農薬リンゴ栽培の方法を探り始めるのだった。

 最初、この「奇跡のリンゴ」が映画になると聞いたとき、耳を疑った。と同時に「一刻も早く観たい」と待ち望んだ。
何らかの形で農業に関心を持ち、無農薬だとか、自然栽培というキーワードで探ってゆくと、必ず出くわす名前がある。
それが「木村秋則」である。
彼は日本の農家や、農業に関心を持つ人にとって、スーパースター的な、超有名人なのだ。
「ローマ法王に米を食べさせた男」として、一躍脚光を浴びたスーパー公務員、高野誠鮮さんも、木村秋則さんを「先生、師匠」と仰ぐ。
最近のTPP参加へ、という国の大きな舵取りもあり、日本の農家は、かつてない危機感を持っている。もはや日本の農家は、世界を相手に戦わざるを得ないのであろうか?
かつて、日本人はアメリカ軍のB29相手に、竹ヤリと精神力でたたかおうとした。
それと同じことを、また性懲りも無く、政府は国民に押し付けようとしているのである。歴史の失敗から何か学ぼうという気持ちはサラサラないようだ。言語道断である。

TPPの絨毯爆撃を受けたら、それこそ日本の農業は、無条件降伏するしかないだろう。
そんな日本の農家に、微かな希望の光を照らしてくれたのが、高野さんのPRした、ローマ法王ご用達「神子原(みこはら)米」であり、木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」である。
人が生きるには食べなければならない。食べることは生きることに直結している。食べ物を作ると言うことは、とても尊い行為なのだと言うことを、そして、失敗から学ぶことの大きさ、大切さ、家族の絆を、改めて教えてくれる映画である。
なお、中村義洋監督作品では「ちょんまげぷりん」を観たことがある。劇場であんなに笑いが起きたのは、久しぶりであった。本作では笑わせ、泣かせ、そして、ラストでは大変な感動を味わせてくれる作品になった。
溢れ出る涙をハンカチでぬぐいながら、ぜひ、劇場でじっくりと味わっていただきたい逸品。オススメです。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆
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作品データ
監督   中村義洋
主演   阿部サダヲ、菅野美穂、山崎努
製作   2013年
上映時間 129分

予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。


http://www.youtube.com/watch?v=pUPNxZwpx5Y

奥付



映画に宛てたラブレター2013•7月号


http://p.booklog.jp/book/72560


著者 : 天見谷行人
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/mussesow/profile


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