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まえがき

 

 

まえがき

 

 

 世の中には数多くの書籍が出回っているのに、なぜかトランプの「大富豪」に関する書籍はありません。オンライン通販のamazonで「トランプ 大富豪」と検索しても、まったくヒットしない。近年ではオンラインの対戦ゲームとして、わりと気軽にふれる機会があるにもかかわらず、なぜか「大富豪」に関する詳しい書籍はないんです。誰か隙間商売を狙って、書いてもよさそうなものなんですけどね。不思議なことに、誰も目をつけていません。
 その理由の一つはローカルルールの多さが原因だと思います。ざっと調べてみたところ、「天変地異」や「エンペラー」(詳細は省く)といったルールが複雑かつ、数多く存在するんです。これらをすべて網羅し、なおかつ攻略に踏み切るとなると、膨大なページ数に膨れ上がり収拾がつかなくなる。だから誰も手を出さない。手を出そうにも作者の許容量を越えてしまうのが一因だと思います。
 そこで本作はルールを限定して、アメーバーピグで行われている「大富豪」に的をしぼって攻略法を書いていきます。一見シンプルに見えるトランプゲームですが、これでなかなか奥が深い。「大富豪」というゲームを攻略するにあたって、本書を手元に置いてもらえたら幸いです。

 

 


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最終更新日 : 2014-07-17 04:09:56

もくじ

 

 

 まえがき

 もくじ

 「大富豪」の専門用語(あいうえお順)

 

 

 第一章_ルール

 

 ルール

 ローカルルールの説明
 各ルームの説明
 各ルームの特徴

 

 

 第二章_基本

 

 「大富豪」は大富豪を落とすゲーム
 手札を推測されることが必ずしもマイナスにならない
 四枚目の2のカードにジョーカーを切る
 各ポジションの立ち回り方
 攻め手による立ち位置
 大富豪のカードはしばらない
 初手でペアは出さない

 

 

 第三章_登場人物の紹介

 

 登場人物の紹介

 

 

 第三章_応用_アシスト編

 

 1‐1 ペアにペアを重ねる技術
 1‐2 カードはせこらない
 1‐3 カードの受け取り
 1‐4 情報の連係プレイ
 1‐5 カード管理
 1‐6 攻めの合図

 

 

 第三章_応用_技巧編

 

 2‐1 記憶力
 2‐2 しばり
 2‐3 ハッタリ(詐術)
 2‐4 上がれる手札作り(正攻法)
 2‐5 死に札
 2‐6 読み(考える力)

 

 


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最終更新日 : 2014-07-17 04:10:02

「大富豪」の専門用語(あいうえお順)

 

 

 ~ア行~
 アシスト。上がり役を助けること。
  ・フォロー。アシストに同じだが、ニュアンスは補う。
  ・サポート。アシストに同じだが、ニュアンスは支援。
  ・サポーター。サポートをする人。
 受け取り。大富豪を挟んでカードを受け取ること。

 

 

 ~カ行~
 カード交換。それぞれの順位に従ってカードを交換すること。
 階段。同じマークで連続した数字の三枚以上のカード。
 革命。四枚以上のカードを出すこと。
 革命返し。革命中に革命して通常状態に戻すこと。
 革命中(または革命時)。カードの強さが逆転している状態。
 壁役。(○→大富豪)の席順。
 ○○崩し。必要に応じてペア以上のカードを崩すこと。

 

 

 ~サ行~
 差し込み。意図的にカードを切って(大富豪以外の)誰かを上がらせること。
 jk。ジョーカーのこと。
 Jバック(イレブンバック)。Jのカードで疑似的な革命状態を作ること。
 J回し。大富豪を挟んでJバック(イレブンバック)でカードを回すこと。
 死に札。スペ3が見えてない状況での、jk含み残り三枚の手札。
 しばり。同じマークのカードでしばること。
 捨てJ。攻め役にとって邪魔になる、処理してほしいJのカード。
 スペ3返し(たんにスペ3とも)。ピンで切られたjkをつぶすこと。
 スリーカード。同じ数字で三枚構成のカード。
 スルーパス。あえてカードをパスすることで、状況をよくすること。
 セオリー(または定石)。理に適ったカードの切り方。
 セオリー外し。あえてセオリーを外して、相手の裏をかくこと。
 攻めの合図。攻める人の攻撃する合図。

 

 

 ~タ行~
 大富豪越し。(大富豪→○)の席順。
 ○○釣り。2やjkなどをはったりで引っかけること。

 

 

 ~ハ行~
 8切り。8のカードで強制的に場を流すこと。
 反則上がり。反則になるカードで上がること。
 ピン。一枚のカード。
 振り込み。大富豪に上がられてしまうカードを切ること。
 ペア。同じ数字で二枚構成のカード。
 ペア誘い。ペアを嫌っているふうに見せかけてペアを誘うこと。

 

 

 ~マ行~
 間。カードを切るまでの時間。
 水増し。カードを水増しして勝負所を悟らせないこと。
 都落ち。負けた大富豪が大貧民に没落すること。

 

 

 ~ヤ行~
 野戦。なじみの薄い人との試合。
 野戦切り。野戦に合わせたカードの切り方。

 

 

 ~ワ行~
 jk割れ(または割れ)。富豪と貧民にそれぞれ1枚ずつjkが渡ってること。

 

 


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最終更新日 : 2014-07-17 04:10:07

第一章_ルール

 

 

ルール

 

 

 まずは基本的なルールの説明からです。すでに知っている方には退屈かもしれませんが、ピグの「大富豪」は四人で行うトランプゲームです。性質は「ばば抜き」と同じような感じで、配られた手札をなくした順に順位が決定します。
 ゲームの開始はダイヤの3を持っている人からで、二戦目からは大貧民(四位の人)からスタートですが、ゲームがはじまる前に以下のルールでカード交換を行います。

 


 一位:大富豪
 大貧民へ好きなカードを二枚渡す
 二位:富豪
 貧民へ好きなカードを一枚渡す
 三位:貧民
 富豪へ最強のカードを一枚渡す(自動交換)
 四位:大貧民
 大富豪へ最強のカードを二枚渡す(自動交換)

 


 カードの強さは他のトランプゲームとは少し違って3のカードが一番弱く、2のカードが一番強いカードになります。あらゆる状況で最強のカードであるジョーカーの説明は後述。

 


 3~2<ジョーカー

 


 またカードのマークにも強さの序列があり、スペード<クローバー<ダイヤ<ハートの順に強くなります。こちらの強さは主にカード交換に適用されます。たとえば貧民でスペードの2とハートの2がある場合は、優先的にハートの2が富豪に渡されるということですね。つまり貧民からスペードの2を渡されたら、貧民はもう2のカードは持ってません。「ジョーカーにも優先順位があり爆弾<悪魔、絵柄によって区別がつきます。ジョーカーを持ってない状態で貧民から爆弾の絵柄のジョーカーが送られてきたら、確実に大富豪が悪魔のジョーカーを保有しています。貧民の手札に悪魔のジョーカーがあることはありません。(2013/10/16_加筆)」
 次はカードの出し方ですが、すべての手札をなくさないと勝利にならない以上、手札を減らさないといけないですよね。手持ちのカードは場に一枚から出すことが可能で、同じ数字のカードは二枚以上出すことができます。その場合は、次にカードを出す人は前に出した人と同じパターンで、より強いカードでないと場に出せません。たとえば本書では同じ数字の二枚構成で出されたカードはペア、三枚構成で出されたカードはスリーカードと表記しますが、33のペアが場に出された場合、それより強いペア――44だと出せるという仕組みです。同じマークで連続した数字のカードは三枚以上で出すことができて、それを階段といいます。ピグの「大富豪」では345の階段が出された場合、678などの頭が6以上の三枚階段でないと出せません。

 


 
 (345→678○)

 ×
 (345→567×)

 

 

ローカルルールの説明

 

 

 1・階段
 上記で説明。
 2・革命
 四枚以上の組み合わせで出されたカードは革命として成立します。革命が発生するとカードの強さが逆転し、3のカードが一番強くなります。後述するしばりは階段にも適用されますが、革命の階段はしばりの対象外です。また革命中に革命することを革命返しと呼び、革命返しすると通常状態に戻ります。
 3・都落ち
 二戦目以降で大富豪以外が上がった場合、大富豪だった人はその時点で負けが確定し、次戦から大貧民になります。
 4・スペ3返し
 ジョーカーが一枚だけ場に出された場合、スペードの3をジョーカーより強いカードとして出すことができます。
 5・ジョーカー
 通常時には2のカードより強く、革命時には3のカードに優る最強のカードです。ジョーカーはあらゆるカードと組み合わせて出すことが可能で、たとえばペアの場合、本書では2jkと表記します。またQjkjkと出した場合は、階段としては扱われずスリーカードとして扱われます。組み合わされたジョーカーのマークはオールマイティーで、後述するしばりに利用できます。ただし、同じマークの4jkに7jkを被せてもしばりは発生しません。
 6・しばり
 場に出されたカードと同じマークのカードが出た場合、場が流れるまで同じマークのカードしか出せません。
 7・8切り
 8のカードが場に出されると、自動で場に出されたカードが流れます。その場合、8切りで場を流した人からスタートとなります。なお階段に含まれた8のカードでは8切りは発生しません。
 8・Jバック(イレブンバック)
 Jのカードが場に出されると、カードが流されるまで革命の状態になります。こちらも8切りと同様に、階段に含まれてもJバックにはなりません。
 9・反則上がり
 ジョーカー、2(革命中は3)のカードで上がると反則負けになります。8切り、Jバックの発生する特殊カードで上がっても反則負けになります。また複数枚出したカードにジョーカーがまじっていても反則になります。階段に含まれる8とJのカードは特殊状態が発生しないためか、反則上がりにはなりません。
 10・バグ
 ピグの「大富豪」には多数のバグがあります。その中には戦術にも組めるほどの致命的なバグもあり、対処策を講じなければなりません。詳細は以下のとおりです。
 10.1・バグ返し
 2以上の扱いでjkが含まれる階段の革命は、3456などの本来返せるはずのない革命を返します。基本的にジョーカーは革命中であっても、高い数字にカウントされ、678などの階段は45jkでは返せません。しかしこのバグを使えば、たとえ革命中の345の階段であっても、A2jkで返せます。返したA2jkの階段は普通に革命中の階段として扱われ、再び678などの階段で返せます。
 10.2・反則上がり
 非革命中にJバックの状態だと、3のカードで上がれます。逆に革命中のJバックでは2のカードで上がれません。スペードの3のスペ3切りは革命中でも反則上がりになります。ただし、革命中のJバックでjkに対してスペ3切りを行った場合、反則負けにならないので注意が必要です。
 10.3・カード交換
 カード交換のときに渡せないカードがあります。富豪のカード交換バグはわりと頻度が高く、発生条件はイマイチわかりません。大富豪のカード交換バグは前試合で誰かが反則負けをしたときなどに見受けられる傾向にあります。
 10.4・8とJの革命
 8888の革命は8切りが発生するのに対し、JJJJではJバックが発生しません。

 

 

各ルームの説明

 

 

 ピグの「大富豪」は部屋によってルールの設定が異なります。適応ルールは以下のとおりです。

 

 

 1・白い椅子の部屋(次からホワイトと表記)
 階段、革命、スペ3返し、反則上がり
 2・青い椅子の部屋(次からブルーと表記)
 上記のルールプラス、8切り
 3・茶色の椅子の部屋(次からブラウンと表記)
 上記のルールプラス、しばり
 4・赤い椅子の部屋(次からレッドと表記)
 上記のルールプラス、Jバック

 

 

各ルームの特徴

 

 

 ・ホワイト
 クセのない基本的なルールが揃っている部屋です。「大富豪」をはじめる人にとってホワイトは入門書的な存在ですね。カードを切る感触をたしかめるのに適していますが、なれてくると他の部屋よりできることが少なく、かえって難しく感じるようになるかもしれません。このホワイトで、はじめて「大富豪」にふれたときの感覚を覚えていれば、自分はどういうカードの切り方を好むのか、今後の成長の指針にもなります。

 

 

 ・ブルー
 ホワイトのルールに8切りが追加された部屋です。8切りの特徴は、場を流した瞬間に自分のターンが回ってくることです。ホワイトの場合、3のカードからスタートしても引っかかりがないため、上の数字のカードを出していくしかありませんが、8切りのあるブルーでは8切りによって強制的に流れを止めることができます。2のカードや革命中の3のカードを温存しなくても、8切りを利用すれば88→6というように上がることが可能なので、ゲームの展開はホワイトより若干スピーディーな傾向にあります。

 


 
 (88→6上がり)

 


 ・ブラウン
 ブルーのルールにしばりという制約が加わった部屋です。同じマークでしばられたカードは、たとえ2のカードであろうと違うマークでは出すことはできません。

 

 

 ×
(4→しばり9→2×)

 


 非常に強い制約力があるため、しばりを利用した連携は強力です。本書の攻略は、このブラウン以降がメインとなります。

 

 

 ・レッド
 ブラウンのルールにJバックのルールが加わった部屋です。8切りとしばりは自分にも恩恵をもたらせる明確なカードですが、Jバックは場にJのカードを出した瞬間から疑似的な革命状態がはじまり、その恩恵を受けるのは順番的に一番最後となります。

 


 
 (Jバック→4)

 


 使用者にとって即効性のないカードで、なれないうちは戸惑うかもしれません。初心者の反則上がりが一番多いのも、この部屋の特徴といえますね。

 

 


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最終更新日 : 2015-04-01 16:12:03

第二章_基本

 

 

「大富豪」は大富豪を落とすゲーム

 


 勝負事の常は自分が勝つことですよね。七並べやポーカーなどの同種のトランプゲームは言うに及ばず、花札やマージャン、はてにはテレビゲーム、アーケード(ゲームセンターのゲーム)、あらゆる対戦ゲームは最終的に自分が勝つことを目的にした遊戯です。競技人口が多く、戦術的に多様性のあるマージャンには「差し込み」や「アシスト」といった他者を利用する技術もありますが、けっきょくは自分が勝つための布石です。
 もちろん「大富豪」も自分が勝つことを目的としたゲームであることには違いありませんが、まったく別の要素で楽しむことができます。
 発想としてはTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)に近いのかもしれませんが、ヒール役となった大富豪を落とす、

 

 

史上初の三対一で対戦するゲームです。

 

 

 視点をかえれば大富豪が、群がる勇者ご一行を蹴散らすストーリーですね。TRPGと違って手間暇のかかる下準備はいらないし、「大富豪」は早ければ一分かそこらで一試合が終わります。わずかそれだけの手間暇で、重厚なストーリーを何度も体験できるのです。カードで語る言葉は、千の言葉に優るのです。
 「大富豪」はまだそれほど認知度が高くはありませんが、広く知られたマージャンにも優る要素があります。では、この世で唯一無二と言っていいTRPG型の対戦ゲーム独特の戦術を見ていきましょう。

 

 

手札を推測されることが必ずしもマイナスにならない

 


 本題に入る前に少し捕捉があります。実際、ピグの「大富豪」は協力プレイが成立しているかといえばそうではありません。むしろ、それどころか富豪は今ある自分の地位を確保しつつ立ち回るし、富豪以下の貧民、大貧民は大富豪を落としにいくリスクを避けてワンランク上の地位を狙おうとします。
 大富豪は都落ちのリスクがあるのでカードを出し惜しみする必要はありません。負ければ即最下位の大貧民まで没落ですからね。
 大富豪が100%自分のためにカードを出せるのに対し、富豪は下の者に今の地位を狙われないように警戒し、貧民、大貧民はカードを温存して下克上を計ってきます。
 自分が勝つことを主眼とした従来のゲーム進行では、富豪以下が勝手に争うので大富豪にはカード交換以上の有利があります。
 たとえば大富豪の手札が、こうだとします。

 

 

 
 (3467881010K222jk)

 


 3467881010K222jkはどれも階段には使えず、マークはバラバラ。一見すると2のカードが三枚もあるので強そうに見えますが、3467の下のカードを処理するのに2のカードを使わなければいけないですよね。
 しかし実戦では往々にして(大貧民→大富豪)、こういう席の並びで8以下のカードがあたりまえのように出てきます。もし大貧民が意識的に8以下のカードを切らなかったら、大富豪は2のカードを使わない限り、下のカードを処理するのが難しくなります。
 大貧民が大富豪に対して、徹底的に壁役となり8以上のカードを切る。そうすれば大貧民の手札は8以上のカードがどんどん削られていき、自らの上がりは遠のきますが、こうなってくると大富豪も相当に厳しい。大貧民が壁役に徹している限り、大富豪の持っている8切りの88は宝の持ち腐れ。大貧民の働き次第で、大富豪は落とせるんですが、ここで富豪が現在の地位に甘んじていては大貧民の働きも無駄になってしまいますよね。
 市民は数で優るので、一致団結すれば時の権力者にも勝てる力を秘めていますが、意思がばらばらではそれも叶いません。
 まずは誰かが率先して損な役回りを受け持たなくては協力プレイする場には発展しません。協力プレイの流れに持って行けるかどうかは、プレイヤー一人一人の判断に委ねられます。そのうえで本書は協力プレイよりに解説していきますが、先に紹介した(大貧民→大富豪)、この並びの大貧民を壁役としたように、大富豪を落とすという意思で統一された場では、ある程度の法則が生まれます。
 たとえば(大富豪→富豪)、こういう並びで大富豪の出したAのピンを全員がパスするとします。富豪以下は2のカードを持っていれば基本的に出すので、富豪は貧民と大貧民に2のカードはないと判断できるのです。
 従来の自分が勝つための対戦ゲームでは、自分の情報の漏洩はマイナスに繋がりますが、こと協力プレイにおいては大富豪を落とすリーダー役である富豪に情報を伝えることは、非常に重要な意味を持ちます。

 

 

四枚目の2のカードにジョーカーを切る

 


 「大富豪」はトランプカード54枚あればどこでもでき、ルールのほうも、ばば抜きのように手札をなくせば勝ち。とてもシンプルかつお手軽で、一度ルールを覚えたらそれほど難しくはないゲームです。いくつかのセオリーを覚えて、場に出されたカードをひたすら暗記していけば、それだけでかなり有利に立ち回れます。
 たとえばセオリーですが、四枚目の2のカードにジョーカーを切れば、主導権を握る手段が奪われて困難になるといった具合です。瞬間的に行う暗記は個人の資質によるところが大きいですが、セオリーは経験を通して、また知識体系としてじっくり時間をかけて覚えることが可能です。
 はじめはカードの枚数を覚えられなくても、ゲームをやっていくうちに戦術的にしばり(カードのマーク)などを利用するようになり、カードの数も体感的に何枚くらい残っているかわかるようになっていきます。

 

 

各ポジションの立ち回り方

 


 ポジションとはプレイヤーの席順ですが、「大富豪」において席順を意識した立ち回りはかなり重要です。協力プレイに必須である連携はプレイヤー一人一人が自分の役割を意識していないと成立しません。下記の図は、典型的な連携プレイを生み出す席順です。

 


 →
 ↑

 


 ・大貧民
 壁役。大富豪に対して厳しいカードを切る。上述でも少しふれましたが、大貧民が8以上のカードを切る限り、大富豪はAや2のカードを消費しないと下のカードが処理できません。一見、壁役は大富豪を上がらせないための役回りで、守備的なイメージをもたれそうですが、大富豪の主力カードを削るという意味では非常にオフェンシブな立ち位置にいます。いうなれば攻撃型の要塞ですね。
 守りから攻めに意識改革できるようになってくると、初手でKのカードを切るなど守り側から大富豪に対してプレッシャーを与えられるようになります。しばりを利用した連携は後述。

 


 →
 ↑

 


 ・貧民
 トス役。大貧民の出したカードを受け取る。大貧民の出すカードはその役割から非革命中なら8以上が多く、それを富豪が受け取っていては富豪の手札も8以上のカードが削られていきますよね。そこで貧民がトス役となって大貧民のカードを受け取り、次の自分のターンで富豪に援護する。大富豪のカードを押さえて富豪に援護することも重要ですが、それ以上にこのポジションで大切なのはスルースキルです。
 スルーとは何もしないこと。少し考えればわかることですが、大富豪の出したカードにカードを被せると、富豪はそれ以上高い数字のカードを出さなくてはいけません。具体的には大富豪が4のカードを出して、貧民が9のカードを出す。

 


 (大富豪)→9(貧民)

 


 こうなると富豪は10以上のカードを切らないといけないですよね。かといって何もしなければまったく富豪の援護にならない。場の流れを読んでカードのマークをかえたり、しばりを利用してペア→ピンなど大富豪の待ちをかえたり、その立ち回りは微妙なさじ加減を必要とします。(○→大富豪)の壁役ほど明確なカードの切り方がないため、なれないうちは窮屈に感じるかと思います。しかしなれてしまえば、カードの切り幅は段々と広げられます。

 


 →
 ↑

 


 たとえば一度貧民が富豪の後ろで(貧民→富豪)、4のカードを切って援護をしたとします。このとき富豪がしばりなしのAのピンを切れば(4→A)、4からAの間のピンがないのだと推測できます。
 ならば上記の例でいえば、大富豪が4のピンを切ったなら、貧民は富豪の手札に浮いたピンはないと予測し、自分の手札から9のピンを出せるという仕組みです。このとき切る9のピンは大富豪の嫌うマークだと、さらに良し。(大富豪→○)のポジションは非常にデリケートなため、詳しくは追々説明していきます。

 


 →
 ↑

 


 ・富豪
 遊撃。大富豪の対面にあたり、上記で説明した二つのポジションのちょうど中間の性質を持っています。壁役が苦しそうなら(○→大富豪)、壁役にかわって高めのカードを出す。トス役が攻めているのなら(大富豪→○)、しばって援護するなど柔軟な立ち回りが要求されます。
 壁役やトス役のような制限がないため、精神的には一番楽なポジションなのかもしれませんね。富豪は大富豪を落とすリーダー的な存在ですが、必ずしも自らが攻める必要はありません。

 

 

攻め手による立ち位置

 


 本書で紹介する「大富豪」は協力プレイを前提にしているので、大富豪対三人という性質上、富豪、貧民、大貧民にそれほど明確な区別はありません。富豪が弱ければ周りに頼っていいし、大貧民の手札に攻め手があるのなら、大貧民を中心に大富豪を落としにいけばいいのです。

 

 

 ・○→大富豪
 たとえば壁役が攻め役となった場合、下図の席順だと富豪は貧民と大貧民からサポートを受けられますよね。

 


 →
 ↑

 


 富豪は全力を出し切って、最終的に5のピン待ちになっても貧民か大貧民に3のカードを出してもらえば(3→5)と上がれます。
 大富豪の後ろの壁役は攻め役になると、途端にその性質は一転して、非常にアグレッシブなものとなります。攻守が明確に分れたポジションで、二人分のサポートが受けられる、もっとも奇襲が成功しやすいポジションともいえます。
 富豪以下の貧民、大貧民が壁役でありながら攻めるということはアシストをさえあれば上がれると合図を送っているようなものですが、

 


 →
 ↑

 


 上図のように富豪が壁役のポジションだった場合、大富豪が前にいるので8以下のカードをどう処理するのかが課題になります。対策の一つになりますが、富豪の後ろの者が(○→富豪)、Jバックを切る。タイミング次第では邪魔になってしまうこともありますが、それはそれで、その情報を周りに知らせることが可能です。

 カードの支配率が四分の三にも及ぶ富豪サイドにとって、他者に情報を伝えるということはことさら重要です。

 

 

 ・大富豪→○
 自らが上がりにくい席順。

 


 →
 ↑

 


 大富豪の前に富豪がいると(大富豪→富豪)、貧民もしくは大貧民の援護がすべて大富豪越しになります。この席順で富豪が自ら上がろうとした場合、当然大富豪に阻止されますよね。そこで富豪は貧民、大貧民の力を借りなくても上がれる手札を作る必要があります。
 手札作りの方法は二通りあって、一つは強いカードで押さえてから弱いカードを捨てて上がる。「大富豪」のオーソドックスな上がり方の一つですが、非革命中に2jkなどで押さえてから、3のカードを出して上がるといった感じです。大富豪がいくら妨害しようと、2jkに割り込めるカードはないので、確実に上がれるというわけです。
 もう一つは、弱いカードを持たずに強いカードのみで上がる方法です。仮に富豪の手札が残り一枚で、Aのピンだとしましょう。大富豪の手札がいくら強くても、革命もなく、浮いているピンのカードがある限り、富豪はAのピンを出して直接上がれるといった具合です。
 2jkで上がる方法は手札に余裕があるときですが、AのピンやKKのペアで待たなければならない状況というのは、たいてい戦力的に不利な状況です。
 この席順での富豪は(大富豪→富豪)、自ら上がる手札作りだけではなく、貧民や大貧民の「攻めの合図」を見逃してはいけません。貧民と大貧民も、このポジションの富豪は辛いのだと認識して、いつでもヘルプに入れるように注意して見てなくてはなりません。
 たとえば富豪が弱い場合、わざと大富豪の出した4のカードをパスするなどして、貧民と大貧民のどちらかを能動的に攻めさせる工夫も必要です。

 


 ・大富豪→△→○
 大富豪を攻めるうえで理想的な席順。

 


 →
 ↑

 


 上図では大貧民が壁役となり、貧民がカードを受け取って援護する。富豪にしてみれば理想的な環境ですが、必ずしも富豪が強いとも限りません。貧民が強いのならお互いにカードを出し合って、つぶし合わないようにする。大貧民が強いのなら、いったんカードを受け取って、下のカードを処理しやすいようにJバックを出したり、8以下のカードをしばらせたりする。
 先に紹介しましたが、大富豪を落とす三対一というゲームの性質上、富豪、貧民、大貧民にそれほど明確な区別はありません。
 基本は富豪を中心にした攻め方ですが、大切なのはどこのポジションが「上がり役」か。いち早く、上がり役を察知し、三者がバッティングしないようにカードを切ることが協力プレイのコツです。そのためにはスピーディーに上がり役を見つけるためのスキルが必要不可欠で、そのあたりの技術は次の章から紹介します。

 

 

大富豪のカードはしばらない

 

 

 しばりはたとえ2のカードであろうと、同じマークでない限り出すことができない強力無比な制限です。しばりを利用した連係は大富豪にとって、やっかい極まりないものですが、それゆえ逆に利用してくるケースもあります。

 


 →
 ↑

 


 たとえばこの席順で富豪がダイヤの4を出したとします。富豪はダイヤのAと2のカードを持っているので(富豪→大貧民)、大貧民にしばってもらえばAのカードで受け取れるんですが、ここでハートなどにマークをかえてしまうと、富豪はAのカードで受け取れないどころか、

 

 

 ハートの9(大貧民)→ハートのA(大富豪)

 


 大富豪にしばられてターンを奪われてしまうというわけです。特に勝負所ではマークを揃えて出してくることも多く、大富豪のカードは無闇にしばらない、反対に富豪のカードは、ときには999などのスリーカードを崩してでもしばる必要があります。これら一連の流れを「しばり連係」といい、詳しくは次章で紹介します。

 

 

初手でペアは出さない

 


 初手とは大貧民のスタートから切られるカードのことで、ペアスタートはあまりお勧めできません。そのあたりは手札と相談なのですが、理由としては単純に富豪がカードを受け取りにくいということ。

 


 →
 ↑

 


 もちろん富豪が初手でペアが欲しいときもありますが、「大富豪」というゲームはいわば弱点の探り合い。富豪がペアに弱い場合、大富豪につけ込まれる可能性があります。戦術的にペアの流れになったとしても有利に進められる手札なら、初手でペアを切るのも大いにありということです。
 逆を言えば初手で大貧民がペアを切るということは、手札がなんらかの形になっており、富豪はそのことを計算に入れて立ち回ることができる。逆に大富豪は大貧民の動きにも警戒しなければならない。劇薬も少量なら薬になるのと同じで、効果的に使えば有効です。
 今ここで紹介した「初手のペア出し」に限らず、このように攻め役が増える合図を意図的に送ることを「攻めの合図」と呼びます。

 


 基本的なことは以上で終わります。これまで紹介したルール並び基本は若干硬めの文体だったので、次章の応用ではガラリと様相をかえて、もう少しわかりやすく解説していこうかと思います。

 

 


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最終更新日 : 2014-07-17 04:10:22


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