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 【田島】 そうなんだよ。多いよ、こういうの。
      で、「60分テープを3日で起こしてください」って
      言うと、通信教育を修了しただけで、実務の経験は
      ないから、なるべく短いテープにしてくれとか平気で
      言うの。

 【館林】 弱気なんだか強気なんだか、わかんないな、それ。

 【田島】 <ファッションとしてのテープ起こし>ってところ。
      もちろん、そうじゃない人もいるけどさ。
      小さい子がいても、ちゃんと仕上げてくれるの。
      本当に助かります。

 【館林】 ヘルプを頼むのは女性って決めてるの?

 【田島】 ううん、男の人にも頼んだことはあるよ。
      でも、思いっきり懲りた。
      例によって通信教育修了者で、2級(*2)だったけど、
      納品ファイルが穴だらけで、修正するのに9時間
      かかった。これ、60分テープの話だよ。
      
 【館林】 最初から自分で起こしたほうが早かった?

 【田島】 うん。「でも頼んだ以上、意地でもこの納品ファイルを
      使ってやる!」って思って、延々と直した。
      
      この人、添え書きもすごかった。反省ゼロ。
      「よく聞こえないところが多かったです。
      僕は耳が悪いのかなあ?」だって。信じらんない。      

 【館林】 あんた、テープの録音状態、確かめて渡してる?

 【田島】 あったり前じゃない。自分が聞きづらいものを
      人様に頼んでどうすんのよ。
      だから余計にびっくりなんじゃない。

      ヘルプになんでもかんでもバラまいて、
      「音の悪いテープがいった人は、運が悪かったと
      思ってあきらめてください。それも勉強のうちです」
      なんて、シレッと言ってるグループリーダーもいるけどさ。


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 【館林】 グループリーダー?

 【田島】 うん。わりとグループ化してるらしいのよ。
      講座を修了して、1年も仕事をすれば<先生>っていう
      未成熟な世界だから、ボスもすぐに出てくるというわけ。

 【館林】 1年で<先生>って、そんなのアリかよ。

 【田島】 アリみたいよ。
       まあ実務2年で、もう確実に<先生>ですね。
       恐ろしい話ですけど。
 
      でさ、「テープ起こしの講師」とか言って、
      ちゃっかり教える側に回っちゃうのが、
      きっと一番儲かるんだよ。

      基本的には自分で起こす派、
      いきなりブイブイ言って教える派、
      テープ起こし屋の指向って、
      この2つに分かれると私はみたね。


 <解説>
 (*1)ヘルプ→お手伝いの人をこう呼ぶ。テープ起こしは圧倒的に
   女性が多いので、水商売の言葉が移ってきたのかも。
   決して<アシスタント>でも<ヘルパー>でもない。    
        
 (*2)テープ起こし2級→通信教育各社で独自に定めた級。
   珠算2級のような、普遍的なものではありません。



最後に、余計なお世話だとは思うが、
頼まれたら短い文章の一つや二つはササッと書けるに越したことはない。
テープ起こしとはいえ、無意識の部分での作文は必要だ。
このことに気がついていない人間が多すぎる。


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