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どのレベルまでデジタル化するかで違う

 一口にデジタル教科書といっても,色々なレベルのデジタル化がある。そして,どのレベルのデジタル教科書にするかによって,そのメリットの大きさも質も,だいぶ変わる。

 電子辞書を少しグレードアップしたものにするのか,インターネットに接続できるようにするのか,先生用のデータベース(クラウド)で子供たちの学びの履歴を管理できるところまでやるのか,どういうデジタル化をするかで,メリットは全然違う。もちろん,かかるお金,いわゆる「コスト」も全然違う。

 その議論をごちゃごちゃにしてしまうと,わけが分からなくなる。そこで,私は,デジタル化のレベルをはっきりと次のように分けてみた。


デジタル化の5段階のレベルのどこを目指すのか

 文字,写真,音声,動画など,載せる内容(コンテンツ)と,LANやインターネットにつなげるのかどうかという観点で分けると,次の5段階にデジタル化のレベルを分けることができる。
 このどの段階を指向するかで,実現の難しさも,予算も,得られるメリットの大きさが変わるのだ。

レベル1 文字と写真がデジタルになる(普通の電子書籍のイメージ)
      ネットにはつながない。また,それぞれが,ネットワークで結ばれていることもない。
      いわゆる「スタンドアローン」という状態である。
      コンテンツはPDFレベル。単に紙の教科書がデジタル化したもの。

レベル2 文字と写真に加え,動画と音声が加わる
      ネットにはつながない。それぞれが,スタンドアローンである。
      コンテンツは,リッチコンテンツが入る。つまり,音声と動画が加わる。
      それによって,教科書の中の情報量は格段に増える。
      また,簡単な書き込みができる。

レベル3 教室内の端末同士がつながる
      LANでつながって,教師の提示用デジタル黒板と情報のやり取りができる。
      外部のインターネットに出ることはできない。
      教室内のサーバーに蓄積されたコンテンツにはアクセスすることができる。
      LANでつながっているので,児童の学習履歴や成績を管理することができる。

レベル4 インターネットにつながる  
      フィルタリングのかかる状態で,外部のインターネットに接続できる。
      

レベル5 家庭からもつながる
      教育クラウドに成績や学習履歴が蓄積され,家庭と連携しながら学習を進めることができる。

(1)動画と音声が加わるだけで大きなメリットが

 もし,デジタル教科書が実現する場合,4ページで示した5段階のレベルでいうと,最低限のレベルは「レベル2」になるだろう。
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レベル2 ネットにはつながない。それぞれが,スタンドアローンである。
      コンテンツは,リッチコンテンツが入る。つまり,音声と動画が加わる。
      それによって,教科書の中の情報量は格段に増える。
      また,簡単な書き込みができる。
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 つまり,コンテンツが,「文字」「写真」「音声」「動画」となるということだ。
 動画は,「ビデオクリップ」と「フラッシュコンテンツ」のようなものになるだろう。
 このときの紙に比べてのメリットは,以下の通りである。
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1 教科書が,一冊で済む。

2 音声,動画が学習効果を高める。
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 2について,少し詳しく触れよう。
 例えば,英語では,繰り返しネイティブの音声に触れながら,また,背景となる知識を得ながら,自分のペースで学習をすることができる。一文で書いたが,この中には,4つのよさが含まれている。

1つは,ネイティブの音声。
2つは,繰り返し聞ける。
3つは,背景となる知識を得られる。
4つは,自分のペースで学習ができる。

 このどれもが,今の「英語活動」の授業では,なかなか実現できていないことである。音声や動画は,その気になれば,テレビやCDで流すことができる。しかし,それは教師の計画によって流されるときしか聞くこと,見ることができない。
 手元にあるデジタル教科書ならば,見たいとき,聞きたいときに,何度でも見られるし聞ける。これは,決定的に大きな違いである。
 つまり,一番の違いは,「動画や音声を繰り返し視聴して自分のペースで学習を進められるようになる。」ことである。このメリットは,とても大きいということは,お分かりいただけることと思う。

(2)LANでつながるとどんなメリットがあるのか

 では,レベル3のように,無線LANで教室のデバイスをつなげることができれば,どのようなメリットがあるのか。

 メリットは2つである。

 1つ目は,教師の提示したいものを手元に提示したり,子どもの書きこんだものを電子黒板に投影したり,その場で,アンケートをとったりと,授業でのかかわりを増やせるという点。

 2つ目は,子どもたちの評価テストや,学びの成果物などをサーバーで管理できる点。

 これらができると,子どもたちの学びを把握しやすくなり,その結果を受けて授業改善にフィードバックしやすい。

 教師にとって,子どもたちの学びを具体的に把握することはなにより重要である。個々の課題を明確に把握することで,手立てを打てる。
 確かな個の見取りなしに,個々への適切な支援は難しい。その点で,LALでデバイスがつながり,子どもの学びの履歴がデジタル化されるということはかなりメリットの大きなことである。

 ただ,この仕組みを実現するには,相当なコストがかかる点を指摘しておきたい。

(3)インターネットにつながるとどんなメリットがあるか

「インターネットに接続できるといろいろなことが分かって便利だな。」ということは,なんとなく分かるだろう。
 いちいち用意されたコンテンツではなく,一般に公開されているホームページの情報が学習に生きるということは,社会科の授業や総合的な学習の授業などで実感している教師も多いだろう。

 インターネットのよさは,いくつもあるが代表的な良さをあげると,2つの良さがある。
 一つは,知りたいテーマに応じた生の情報が手に入るということ。
 もう一つは,子どもに問題解決力が身に付くということだ。

 ただ,インターネットにつなぐことは,多くの教師が不安に感じるだろう。
 毎時間,いつでも自由にアクセスできたら,様々な問題が起こるのではないかという不安である。

 それへの対応は当然必要である。
 第1に,怪しいホームページはつながらないようにするというフィルタリングである。
 第2に,教師の管理下のみでのアクセスにするというアクセス制限が簡単にできるしくみである。
 そして,第3に情報モラルの指導である。
 例えば,誰かを誹謗・中傷するような書き込みをした場合,それは,特別な方法でたどることで,どのパソコンからいつに書きこんだものか証拠が残ることになっているということは,特にしっかりと伝える。もし,児童用のデジタル教科書が,ネットに接続されることになった場合,このような情報モラル指導を確実に指導するようなカリキュラムが必要である。

 こういった点への対応をしっかりとした上であれば,インターネットへの接続は,有効であると思うがいかがだろうか。
 無論,そうなると,コストの問題や,技術の問題がでてくるのは当然であるが。

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最終更新日 : 2010-08-19 10:07:38


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