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はじめに

「草生人」とは

「草生人」は埼玉県草加市に密着したフリーペーパー、いわゆるタウン誌です。
2012年6月に創刊以来、ほぼ隔月刊のペースで発刊。インタビューを基本とし、お店の紹介だけではなく、生活に密着したテーマに沿った記事や、市内のイベント、出来事などを掲載しています。
合い言葉は「草加再発見」。
部数は現在2500部。ご協力店舗で配布させていただいています。


「草生人 電子版」について
「草生人」の本誌より、その主なテキストと写真を掲載したデジタル版です。WebサイトからダウンロードできるPDFファイルは、元の大きさと同じA4ファイル大での表示となるため、パソコンやタブレットでは問題ありませんが、スマートフォンでは読みにくいという欠点がありました。電子版では、快適に読むことができます。ePub版もあるので、おもな電子書籍リーダーでも読むことができます。

※広告、いくつかの写真、「そうか小ばなし」は収録しておりません。
※今回の特集記事については、講演内容をまとめた「2012防災講演会レポート」も掲載しておりません。


草生人関連URL


特集
大地震に備える
〜キーマンに聞く草加の防災〜

 東日本大震災から2年がたった。地震、津波、火災、そして原発事故という複合災害であり、2万人近い方が亡くなった未曾有の災害。しかし、被害が少なかった私たちは、次第にその災害について忘れつつある。時々テレビの特番を見て決意を新たにしても、目の前のこと、日々の暮らしを優先してしまう。
 
 「防災特集」は、創刊前からの企画だった。いろいろな人にインタビューをもとに情報をまとめる予定だった。が、講演会に参加し資料を読むにつれ、「そんな時間は無い、ともかく今、伝えられることは伝えよう」と方針を変更した。つまり、今回の特集は取材途中とも言える。
 しかし、もしかしたら、まとめられた情報よりも、人が話した事をそのまま載せた方が、ずっと印象に残るのではないか。そういうふうに考えたのだ。
 実際に防災の現場に携わる人々の言葉は、重い。
 
 大地震はいつくるかわからない。今、この後すぐかもしれない。あの警報を聞いて慌てる前に、「準備」をしよう。

地域にもっと 関心を持って欲しい

草加市の防災対策と「自助・共助」
 草加市市長室 危機管理担当 マネージャー:黒須 俊之 氏


 「市長室危機管理担当」は、草加市全体の災害に対する対応をするところだ。黒須さんはその代表にあたる。防災講演会などでお顔をご存じの方も多いのではないだろうか。
「地震などの災害が起きたときにはどうするのか、また、平時からどのような準備をしなければならないかを考えています。実際の具体的な対応、予防するための計画や震災の応急対策など、さまざまなことを想定して『草加市地域防災計画』を作っています。『震災対策編』24年版を2月に配布しました(※1)」

※1 草加市地域防災計画(震災対策編)


 前回の版の後に「東日本大震災」があり、被害想定の見直しに伴う変更や、帰宅困難者の対応などが追加された。

避難所を役割別に振り分ける
「草加市では今まで避難所という形で54施設(現在は55施設)としていましたが、東日本大震災の時、高年者とか障がいをお持ちの方がいっしょに体育館に集められてしまうと、うまく対応できないということがありました。そこで、32の小中学校の体育館を第1避難所、公民館・コミュニティセンター・文化センターを第2避難所として設定しました。まず第1避難所に入っていただき、高年者や障がい者の方、授乳をする小さなお子さんをかかえているお母さんは第2避難所に入っていただく。公民館などには畳の部屋や小さい部屋がありますから、プライバシーや居心地の面で配慮ができます」

震災後も自宅で生活するための「自助」
 まず、「建物の耐震化/家具の固定/水・食料の備蓄」だけはして欲しいとのこと。
「これは自宅で生活できることが大事ということなんです。避難所の目的は、あくまでもできるだけ多くの方を受け入れ、最低限の寝る場所と食料を提供すること。そこに居心地のよさとか、快適さとかプライバシーを求めないものであるということです。ちゃんと準備しておけば自宅で生活できますよ、それがベストですよと」
 また外出先では、「自分のおかれた場所で地震が起きたらどのような危険があるのか常に考える」ことが「自助」だという。
「先日アコスホールで防災講演会やったとき、まず上を見て下さい、何がありますか?と質問しました。天井には照明器具がぶら下がっています。今、ここで大きな地震が起きたら照明が落ちてくる危険性がある。その時どうやって自分自身の身を守るかを考え行動する、それが自助なんです」

市役所の耐震工事を進める
 市内の小中学校の耐震工事はすでに終わっているが、市庁舎はこれからだ。この点については「広報そうか3月20日号」にも説明がある(※2)。以前は市役所などの公共施設の耐震化は後回しにされがちだったが、震災後に大きく変化した。

※2 つよい市役所を目指して」広報そうか2013 年3 月20 日号

「震災があると災害対策本部を立ち上げます。これも危機管理担当の大きな役割ですが、東日本大震災で、自治体が根こそぎもっていかれ災害対策本部が立ち上がらないところがあって、そういうところが路頭に迷っちゃったんです。救援物資の要請や配布、自衛隊・警察・ボランティアの人の手配などは、司令塔である草加市の災害対策本部がきちっとコントロールしなくちゃいけない。震災で市役所がべちゃっとつぶれたら、何もできなくなりますから」

防災拠点と防災行政無線
「避難所の中でも、11校ある中学校は防災拠点として位置づけされています。全国から救援物資が集まり、それを配給する場所です。そして、今どこに避難所が開設され、どの中学校に物資が届いています、取りに来て下さいと知らせるのは、防災行政無線を使います。スピーカーは全市に122箇所あります。ふだんは6割くらいの音量。災害時になったら100%ボリュームアップしますから必ず聞こえます。重要なことは繰り返します。ただ、家の中だと聞こえにくいので、何か鳴っているなあと思ったら窓あけて顔出して聞いてください。停電時でもバッテリーがあるので100回ほど放送が可能です。また、震度7の揺れにも耐えられます」

避難所は地域で運営する
「避難所の開設訓練は毎年しています。ただ、市の職員は約300名、避難所は校で、1校あたりにすると10名、大震災が起これば半分くらい。避難者の想定は全部で5万人ですから、2000人対5人になってしまいます。そこで町会、今準備しているのは実はそこなんです」
 「避難所の運営を自治会・町会にお願いする」、草加市では今、その形を進めているが、問題は町会・自治会に入っている草加市民が6割を切っていることだ。
「『道普請』というものがありました。自分達で使う道路に穴があったら、自分達で砂利や砂を使って直す地域の取り組みです。そうやって地域のコミュニティができて、近所の人の顔を見る機会があった。今はそれが無くなってしまいました。昔は町会の役割が大変大きかったんですよね」

 最後に一言。
「ともかく、地域に関心を持って欲しい。自分の住んでいるところに。町会というと、会合や清掃活動のイメージしかないけれど、今はいろいろなことを企画していますから。防災講演会(※3)もたくさんやっています。地域に目を向けて、防災を考えていきましょう」

※3 防災に関する「市役所出前講座」
 


草加市全体の訓練にぜひ参加を!

これからの防災訓練
草加市消防本部 消防防災課主査※ 森 淳一 氏
(※現 草加市消防署西分署係長)






森さんは、防災訓練を企画し、実施する仕事をされている。前回の西町小学校で行われた防災訓練の時も、現場で指示を出されていた。おもに草加市の防災訓練と、地域防災組織についてお話を伺った。

草加市全体の防災訓練と九都県市合同防災訓練
「ブロック毎の防災訓練が一巡し、今は「第1回草加市総合防災訓練」という形を進めています。構想はかなり前から少しずつ考えていました。平成26年度に行われる「九都県市合同防災訓練」(※1)で、埼玉県の中央会場が草加市になりましたので、1年前の25年度はそれに準じた訓練ができればと思っています」

※1 九都県市合同防災訓練

 全市訓練は10月20日に行われる。
「訓練に先だって、草加市民全員でシェイクアウト訓練を行うことを考えています。サイレンを鳴らして、ぐらっときたらなんでもいいんで隠れましょう、身をかがめて避難姿勢を取りましょう、という訓練です。詳細は決まっていませんが、防災行政用無線を市全域に流して、草加市民全員を巻き込んだ訓練をやりたいっていうのが趣旨です。全員やってくれるといいんですけど」
 「シェイクアウト訓練」というのは、2008年に米国で始まった防災訓練。様々な人たちが様々な場所で同時に行うのが特徴。詳しくはサイトを(※2)

※2 The Great Japan ShakeOut2013

全市訓練では3つの会場を使う
「企画にあたり第一義に考えたのが、訓練形態を3つの会場を作るということ。全体を指揮する中央会場が1つ。それから街中訓練会場。計画では草加小学校の前を通行止めにして街中の災害訓練会場に。そこを災害現場にして町会の方や、消防隊が出動する訓練を考えています。もう一つは、まだ場所が決定していないのですが、帰宅困難者誘導訓練を行う予定です」
 中央会場は訓練本部になり、いろいろな訓練を予定。各ライフラインの業者、協定を結んでいる各企業など「草加市に関わる団体の多くに出ていただく」とのこと。
「中でカッパを着て嵐を体験できる『降雨体験車』や『日本捜索救助犬協会』にも予約入れています。ワンちゃんが探してくれて、消防や自衛隊が救助する防災訓練。草加市の登録業者、防災関係企業に防災用品の見本ブースを作ってもらう予定です」
 今回、自衛隊にも出動を依頼している。
「第32普通科連隊から救助と炊き出しをお願いしています。九都県市防災訓練には、自衛隊、消防、警察を中心としたあらゆる救助隊が来るんですよ。それを考えてお願いしました」

町会・自治会での訓練にぜひ参加を
 身近な防災訓練といえば、町会・自治会単位で単位で行われているものだ。
「町会・自治会をベースとした自主防災組織が134団体あります。訓練を必ずやってくださいという条件で補助金を出していますので、ほとんどの町会は1年に1、2回、訓練をしています。月に必ず1回は集まって、防災倉庫にある機材の点検をやられている熱心な町会さんもあります。が、町会自治会単位で内容がバラバラなんです」
 しかも、市民のうち4割は町会に加入していない。
「道具を用意するのも重要ですが、結局は人なんですよね。たとえばジャッキ。一人では作業できないし、車を輪留めして動かないようにするなどの安全確認は必要。そうでないと逆に崩れて、二次災害が起こる。そういう連携も必要なので、日頃から町会単位で訓練して、みんなが使えるようにしないといけないのですが」

常に防災を意識することの大切さ
「みなさん勘違いされているのは、自分が自分の家にいるときに地震が起こると思っている。それを前提に質問されている方が非常に多い。そうじゃないですよ。どこで被災するかわからない」
 東京にいる、帰省している、スーパーにいる、もしかしたら駅の公衆トイレにいるときかもしれない。
「私子供のときから古武術をやっていますが、先生から言われた言葉を覚えています。『君たちは道場に来たときだけじゃなくいつでも武道家になってないといけない』。よく時代劇で、森の中で手裏剣が飛んできても侍がカーンとよけますよね。あれは『襲われることを意識している、ここで斬りかけられたらまずいなと思っている、だから飛んでくるものが避けられるんだ』と」
 災害も同じだという。意識するだけで違ってくる。
「常に思ってなさいというのも酷ですが、ある程度は備えてくださいと。シェイクアウトもそうなんですけど、訓練をやることによって、防災の意識が生まれれば大成功です。今回、草加市全体の訓練ということで、いろんな会場で参加してもらって、啓発活動ができればいいなと、思っています」

 2012年11月11日に西町小学校で行われた防災訓練の様子



共助をめざす地域の防災と町会

「防災」のキーワードである「自助・共助・公助」の「共助」にあたる部分、地域の防災について、草加市では町会での防災活動に参加するよう勧めている。市の防災計画でも、町会・自治会による自主防災組織が重要な役割を果たす。今回、市の「みんなでまちづくり課」に意図を伝え、紹介していただいた二つの町内会の会長さんにお話を伺った。

松江北町会:ダイキン工業との合同訓練
松江北町会長新田東部ブロック長 上手 一雄 氏

ダイキン工業との合同防災訓練
 松江北町会では、平成12年に周辺5町会と市役所、ダイキン工業の3者で『地域防災協定』を結んでいる。
「草加市も含めた大規模な合同防災訓練を2010年から実施しています。訓練はだいたい5月。今年は5月19日。ダイキン工業のグラウンドに避難して、さまざまな訓練を行います」
 問題は、「防災訓練だから避難してください」といっても人が来てくれないこと。そのため、できるだけ目玉となるイベントを行っているという。去年は消防署から、カゴがついていて上の階の人を助けるバケット車を出してもらった。
「防災会で持っている手押しポンプでの一斉放水もしました。ただ、実際に火事があったとき、水源が無くて使えませんでした。川は遠いんです。そういうことをひとつひとつ確かめながらやっています。また、消防署から貸与していただいている防災器具、ポンプや発電機、電動のこぎりなどの点検もしています」
「今年の目玉は『自衛隊』」。まだどういう形で訓練に参加してもらうか決まっていない。町会の訓練に自衛隊が参加するのはめずらしいが、ダイキン工業との合同訓練ということで来てくれるのではないかとのこと。
「『九都県市防災訓練』には自衛隊も来ます。今年実施される草加市の全体の防災訓練にも来ます。だからプレのプレという感じで」

嬉しかった震災時の若者の自主活動
 防災で大事な「共助」の基本単位となる町会だが、その重要性をどうやって伝え、町会に入ってもらうかは、それぞれ大きな悩みのようだ。町会ではひとつ自慢したいことがあると、嬉しそうに語ってくれたのは、若い世代の会員達の行動。
「震災の時、電話がすぐに繋がらなくなっちゃったでしょ、若い子はインターネットの回線で話できたんだってね。それでみんなに連絡とって、地元にいる人と一戸一戸全部回ってくれた。自主的にやってくれたんですよ。前もって決めておいてくれたらしいんです。震度いくつかになったらそういうふうにしようと」
 指示をしなくても部下が自主的に行動してくれる、そんな組織を作ることは町会でなくても理想的だ。秋口にも訓練避難主体のものを行っている。
「毎年2回は必ず行ってるんですよ」
 地域の方はぜひ参加して欲しい。

瀬崎第一町会:街なか防災訓練で参加しやすく
瀬崎第一町会長 谷塚東部ブロック長 浅古 八郎 氏


「市民会議」で町会と共にまちづくり
 浅古氏は、瀬崎第一町会を含む谷塚東部ブロックのブロック長でもある。このブロックが特徴的なのは、中心となる「瀬崎コミュニティーセンター(以下コミセン)」を、「谷塚東部ブロック瀬崎まちづくり市民会議」が市から委託を受け自主運営していることだ。市民会議の事務所ともなっている。この形で運営されているのは市内でもここだけだ。2か月に1回「瀬崎まちづくりニュース」という新聞を発行(3月で102号)、これは町会とは関係無く配布されており、地域の情報を地域住民全員に知らせることができる。

安心カードと「街中防災訓練」
 「安心カード」は、「瀬崎まちづくり市民会議」で提供されている、名刺大の三つ折りのカードだ。
「財布にこれを入れておけば、急に震災が起きて何かあった場合、すぐに医療関係者に見せれば状況がわかります」
 また、市内ではここだけと強く話されたのが「街中防災訓練」。毎年一つのところだと来る人が固定してしまうが、移動すればその近くの住民が来てくれる。
「要するに出張するんです。1つの場所でやれば来る人決まってますよね。我々は3つか4つにわけて、毎年そこに移動しちゃうんです。これがとても好評なんです」
 訓練をちゃんとやっておかないとパニックになる。「いざというときだけやる」のは無理、とっさに体が動かないだろうと話す

草加市初の「参集訓練」も実施
 参集訓練とは、避難所の設営・組織運営の訓練。町会が避難所の運営を担う想定のもと行われ、去年初めて瀬崎第一町会が行った。ただ、現在町会が避難所を運営することはおろか、第1、第2という種類があることも知らない人がほとんどだ。
「学校が避難場所だって知らない人多いんですよ。近くのコミセンでいいと。でもコミセンは第2避難場所ですからここはいったん閉鎖される。このことは誰も知らないですね。これを地域の人にわかってもらえないとね」
 防災だけではなく、自分の住んでいる地域のことは自分達でやっていく、ここはその意識がとても強い。
「自分達の町は自分達で作ろうと。この町はそういう人が多いです。今までも行政と話し合いながら、町をどんどん変えてきたんですよ。安全カードもぜひ全市に広めたい」
 



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