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きっと、ネオスも知っていたんだろう。
ユイリの本心を。

―あの夜、ネオスが家に来た晩。
ユイリが、ネオスとどんな話をしたのかはわからない。
しかし、ネオスもきっと気づいたのだろう。
ユイリの病気が治らないことに。
そして、自分に残された残りわずかな時間を、少しでも長く、ルギと過ごしたいということに。

だが、ネオスはルギに、何も言わなかった。
ルギが、自分で気づかなければいけないことだったからだ。
だから、彼が盗賊団に現れた日、追い返さずに迎え入れ、そのまま見守っていた。
いつか必ず、妹の想いが伝わる時がくるように。

―そして、妹の死を、受け入れることが出来ると信じて―。


―――ルギが、ネオスと決闘を行った次の日の朝。

ラシェルの治癒術の力で傷が癒えたルギは、ラシェルの部屋を訪れ、治療のお礼を言った。

「ええっ!そんな、当然のことをしただけだよ」

と、わざわざお礼に来たルギに驚き、ラシェルは慌てた。
しかし、ルギは、

「…あんたには、これからも世話になる。……よろしく頼む」

というと、頭を下げた。


―――そして、朝食時。
皆が食事を取り終える頃に、ルギは立ち上がっていった。

「ネオス――いや、頭領――」

その時、ルギは初めてネオスを『頭領』と呼んだ。
そのまま、ネオスをまっすぐ見つめて、言った。

「――俺を、これからもここにおいて欲しい。どうか、頼む」

そういって、深く頭を下げた。
それを見た団員たちは、一瞬沈黙したが…
すぐにその後。


「あったりまえだろ! もう何年一緒にやってんだ! ガハハ!」

とダインが言う。

「ちょっとダインさん、まだ2ヶ月くらいですよ…!」

とシーマが突っ込んだが、

「それでも、修行やら訓練やら、色々一緒にやった仲じゃねぇか。いまさら出て行くのも、水臭いぜ!」

と、ダインが明るく笑った。
そんな皆の表情をみて、ネオスも頬を緩ませ、

「……ああ、よろしく頼む」

と、ルギに言った。
そして、ルギは

「ありがとう…」

と言い。

―初めて、
団員の前で、笑顔を見せた。

皆が、明るく歓声を上げる中で、ルギは、目を閉じて、思い出す。

―――『お兄ちゃん、はい、あげる……!』―――

幼い頃、笑顔で花冠をくれた彼女。
これからは、心の中の彼女が、いつまでも笑ってくれるように。

―――俺は、生きる。
―――これからは、俺のために。

窓の外を見ると、何処までも青い空が、遠く遥かに続いている。
ルギは、その空に誓うのであった―。

        =fin=


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最終更新日 : 2013-04-21 04:55:43

この本の内容は以上です。


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