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MUGA 第6号
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例外者たちの詩     那智タケシ
季節の詩     rita
「人間には、自分で自分を治す力がある」 菊地久幸×那智タケシ
世界中の人に自慢したいよ~忌野清志郎のうた
《無我的観照》第2回 『白痴』(ドストエフスキー著)から読み解く現代のキリスト像
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々―
★編集後記
MUGA 第7号
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『例外者たちの詩』  那智タケシ
『季節の詩』  rita
歌うも舞うも法の声~「AKB48」に寄せて
《無我的観照第3回》 霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々―
★編集後記
MUGA 第8号
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『例外者たちの詩』  那智タケシ
『季節の詩』    rita
編集会議 「AKBは無我的か否か」
川の流れのように~秋元康にみる「無我的表現」
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々― 
★編集後記
MUGA 第9号
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例外者たちの詩     那智タケシ
『季節の詩』    rita
「何もしない時間の大切さ」 菊地クミユキ
無我表現としてのAKB前田敦子
無我的観照第4回 『マイネームイズハーン』に見る愚直な愛の表現
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々― 
★編集後記
MUGA 第10号
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『例外者たちの詩』  那智タケシ
『季節の詩』     rita
「土も人間も健康にする内城菌の力」 瀧 芳人(ヤマイチシステムプロデュース代表)
AKB48仲谷明香『非選抜アイドル』にみる無我表現
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々―
★編集後記
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アラスカ便り―北の果てに暮らす日々―

「光のコラージュ」

 

 長岡マチカ(文化人類学を学び、現在、アラスカ在住)

 

 西の空の太陽が辺りを紫色に染める頃、両手いっぱいにケーブルを抱え外に出る。等間隔に小さな電球の並ぶその白いケーブルを、軒下にいくつか突き出す釘にひっかけていく。右の端から左の端まで白い管が家屋の輪郭をなぞる。子ども達は電球のついた杭を雪の中に突き刺す。杭を繋ぐ黒いケーブルが紫がかった雪の上をまっすぐ這っていく。白と黒の管の先端を玄関脇のコンセントに差し込むと、闇に覆われつつある視界がパッと照らされる。眠りかけていた空気が一気に踊り始めたようにも見える。冬至近くのアンカレッジは一日のほとんどを暗闇の中で過ごす。家々を飾る色とりどりの小さな光がそんな闇の中の街をほのかに照らしてくれる。

 

 11月の感謝祭が終わると、窓際にクリスマスツリーの電飾が輝く家も多く見られ始める。メディアからはクリスマスキャロルが流れ、店先にはサンタやトナカイのモチーフが赤と緑のオーナメントに彩られている。クリスマスには毎年ネイティブ・アメリカンの友人から電話をもらう。「メリークリスマス!キリストの光が世界を照らしますように!」明るい真摯な友人の声を聞きながらクリスマスという行事の由来を思う。近所には馬屋でのキリスト生誕の情景を描いた蝋人形を並べライトアップする家々もいくつか見られる。今はほとんどがクリスチャンのネイティブ・アメリカンの友人にクリスマス・イブのミサへ連れて行ってもらったこともある。祭司の立つ教会の祭壇にはたくさんのろうそくが揺れ、透き通った賛美歌が響き渡っていた。

 クリスマス一色の店先。それでもよく目を凝らすとここ何年かは青色を基調としたユダヤの祭ハヌカの飾りが並べられた小さなコーナーがちらほらと設けられようになった。よく知らない相手に対しては「メリークリスマス!」でなく「ハッピーホリデイ!」という言葉をかける人々も増えてきている。子ども達も公立の小学校でクリスマスキャロルの他にハヌカの歌や、アフリカン・アメリカンの祭クワンザについて習ってきたりする。

 ユダヤ暦にのっとったハヌカ、毎年ちょうど街がクリスマスムードで盛り上がる時期に8日間続けて行われる。日の入りと共に8日間毎晩ろうそくに日を灯すことから「光の祭」とも呼ばれている。ユダヤ人の友人宅でハヌカの祝いに参加させてもらったことがある。ろうそくの炎がゆれる中、2000年以上前の出来事、エルサレムの寺院に残されたほんの少しの油で8日間ろうそくの炎が燃え続けたという奇跡のストーリーが語られる。玉ねぎとポテトを揚げたものやドーナッツなどの油を用いた料理に舌鼓をうちながら、ヘブライ語の文字の書かれた独楽を回しチョコレートのコインをやりとりするゲームを楽しむ。隣で友人が言う。「周りには奇跡の光が溢れているのよ。私達が今こうしてここにいるのも奇跡」

 12月の街の賑わいを離れ、山の中に自身で家を建てランプやろうそくの炎で生活する友人宅でホリデイを祝ったこともある。暖炉の薪がパチパチと音を立て、手の中のグラスには手作りのベリー酒が揺れていた。祭の名前には触れずとも、ゆったりと静かに年の終わりの空気に身を浸す。ランプに油を差しながら友人が言った。「私はこの冬至の時期が好き。溢れる光と闇のコントラスト。闇に覆われているからこそ光の源が分かるのよ」

 

 ささやかなライトアップを終え、すっかり暗くなった屋内へ戻る。ダイニングテーブルの真っ白なろうそくに火を灯す。闇の中に子ども達の顔がオレンジ色に照らされている。「部屋を一瞬の内に隅々まで満たすものって何か分かる?光なんだよ」長男がどこかで聞いたのだろうなぞなぞを口にする。様々な場を様々な形で満たす光を想う。窓へ目をやると、半月が雪の表面を青白く照らし出していた。


★編集後記

 あけましておめでとうございます。今月号は、新春対談と称して、ウルトラリンパ開発者の菊地久幸氏にインタビューを試みました。最近はスピリチュアルな業界に苦手意識が生まれていましたが、「本物」のスピリチュアルは別です。それは人類の叡智として人類の意識を底上げする力を持つように感じます。苦難に満ちた時代ですが、「無我的」観点から新たな表現を模索、提出し続ける場として「MUGA」を続けていきたいと思っています。本年もよろしくお願いいたします。(那智)

 


目次

MUGA 第7号

 

◆目次

 

◇アート

 

・詩

『例外者たちの詩』  那智タケシ

 

『季節の詩』     rita

 

◇評論

 

・評論

 

歌うも舞うも法の声 ~「AKB48」に寄せて(たかみな編)

 

高橋ヒロヤス

 

・《無我的観照第3回》

 

 霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論

『トリコロール/赤の愛』クシシュトフ・キェシロフスキ監督

                        

那智タケシ

 

◇エッセイ

 

アラスカ便り―北の果てに暮らす日々― 

『オーロラ』   長岡マチカ

 


『例外者たちの詩』  那智タケシ

★詩

 

例外者たちの詩     那智タケシ

 

 

★時が終わる時

 

蒼白い雪が凍っていた

 

真夜中の大気も

 

花も

 

車も

 

思考も、夢も

 

誰かの微笑みさえ

 

時間を置き忘れたように氷結していた

 

しかし、空を見上げると

 

僅かに星だけが瞬いていて

 

我々が

 

永遠の生命の中に生かされていることを

 

こっそりと教示していた

 

一切の生の営みが止まり、

 

時間が止まり、

 

騒々しい思考や、乱痴気騒ぎが止まってもなお

 

動いているものがあった

 

それはあの星と大地の間に

 

街並みを多い尽くすように

 

透徹し、充満していた

 

それは今

 

彼の手に届かないものではなく

 

手を伸ばせば触れることもできたし

 

目を閉じると、体の中に入り込んできて

 

自由に浸透し、

 

呼吸のように行き来した

 

すべてが可視化し

 

目に見えるものが目に見えないものを隠してしまっても

 

人は、この目に見えないものを感じることができる

 

内部にある固形物を

 

そっくり放り出してしまったら


『季節の詩』  rita

★詩

 

季節の詩     rita 

 

   【・冬枯・】

 

冬の枯草は白茶けて

抜け殻みたいに つまんないの

冬の山は枯木を被って

白髪頭みたいに さみしいの

 

草も木も根っこの中で

死んだように

 

眠っているんだね

 

春、成長して

夏、働いて

秋、燃え尽きて

 

疲れちゃったね

冬、ゆっくり眠りたいかも

 

根っこでおやすみ

 

そのあいだ

所在ないぼくは想像しているよ

 

草木の君たちが

冬日和には夢に目覚めて

光と戯れてる快活な姿を

 

 

   【・チョコレート・】

 

呪文を唱えてかきまわす 魔女の気分で鍋の前

 

ミルクチョコレートは温まり

君へのチョコレートは口ずさみ

銀河のように渦をまいたの

 

そうしたら 窓の外から

北に提がる北斗七星 ひしゃくを拝借

すくいあげて

冴えた星空をたっぷり流し込もう

 

森羅万象のエキスを注ぎ込もう

 

もだもだする気分を 地吹雪のような気分を

溶かしてしまう

魔法のチョコレートが香り立つ

 

ちまたで評判の高級チョコレートより

おいしいよ

 

宇宙に浮いているような 解き放たれた心地を

君にプレゼントしたいんだ

 

 

   【・りんごうさぎ・】

 

赤いりんご 赤いお耳の

うさぎが跳ねた

 

跳ねてぴょんぴょん 口の中

しゃきしゃき鳴らして 胸の中

 

りんりん運ぶよ しあわせを

 

鈴の音色は宙返り

りんごうさぎが鼻の先

 

 

   【・冬三日月・】

 

耳をすまして 月が鳴る

眼の奥より呼びかけている

 

舟形の月に乗り

夜雲の岬を悠久の流れへと漕ぎ出た

 

青光りする漆のような闇を

砂子となって埋め尽くし 千々の魂が浮かんでいる

 

焼け爛れるほどの熱さや

切り刻まれるほどの冷たさの

未だ静まることくなくうねる想いが

さんざめき執拗に煌めいていた

 

ときおり喚声の尾を引いて

流れ星のように地上へ向かう後ろ姿を

 

この世に産み落とされようとする ひとつの希望を

静かに見送っていたの



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