目次
第1章(1) 公権力の実働部隊として機能するYAKUZA
第1章(2) 国家本質とは暴力本質である
第1章(3) ファシズムの美学も矜持もない
第1章(4) 外圧によって社会は荒廃した
第1章(5) 過激な搾取により過剰な資本を蓄積する
第1章(6) 格差がもたらしたカースト制度
第2章(1) 99.9%の国民は自国のキャッシュフローを知らない
第2章(2) 国内外から多層的に搾取されている
第2章(3) 増税は植民地の実行ノルマに過ぎない
第2章(4) 売国が投資パフォーマンスを最大化させている
第2章(5) 眼前にあるコロニーの悪夢
第2章(6) ジャーナリズムの私欲が事実を歪める
第3章(1) グローバリズムへの反逆者として
第3章(2) 国家の存続より外国人の利益が優先されている
第3章(3) 実現されたユートピアはディストピアへ向かう
第3章(4) プレカラティ(労働と生活の不確実性)が最大化した
第3章(5) 思考を他者に委ねる「知力放棄の文化」
第3章(6) グローバル企業という不可視の世界帝国
第4章(1) フリードマンの教条は暴力と親和する
第4章(2) 法案は市場取引されている
第4章(3) 「2+2は5である」と絶叫する個の放棄
第4章(4) この国の報道とはテロリズムである
第4章(5) 米国というディストピア
第4章(6) メディアはプロパガンダ組織として生き残る
第5章(1) 脅威とは国家を触媒とする対外膨張エリート
第5章(2) アジア通貨危機を上回るユーフォリア
第5章(3) 国民経済と石油経済が解体される
第5章(4) 知識の多寡によって異なる現実を見ている
第5章(5) 国会は形式的な認証機関に過ぎない
第5章(6) 第三世界レベルに荒廃する日本
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第1章(1) 公権力の実働部隊として機能するYAKUZA

この国は①ソマリアなみに荒廃した無政府状態であり、事実上の内戦下にあると考えるべきでしょう。官吏、政党、報道あるいは企業群という軍閥が跋扈し、国民は翻弄され、頭上には米国という猛禽が旋回し、死肉を窺っています。

 

ガレキの搬送により放射線が拡散されているのですが、その本質が需要創造活動であることは明白です。②TPPを強行に推進する経済団体は、米国を本拠地とする多国籍企業群によって編成されているのであり、この構造において彼らは市場の絶対化を目論んでいるわけです。 

 

西日本に至るまで汚染ガレキの搬送が策定されたとおり、それが残された避難地と食料生産地の壊滅を意味することは語るまでもないでしょう。世界市場はカーギル社やモンサント社を筆頭とする、極めて少数の穀物メジャーあるいは種苗メーカーによって寡占されているのであり、国内の③水源と農地の汚染が加速的に自給率を引き下げ、食料だけでなく医療・保険市場までもが多国籍企業に侵食されるのは必然であり、むしろ一連の現象は緻密なプロットの発現であると言えます。

大震災と原発事故という未曾有の大惨事は、TPPにより市場参入を目論む企業群にとっては僥倖なのであり、あらためて我々は、食料自給を絶たれ存続し得た国家はないという歴史事実を認識すべきでしょう。 

軽薄に反知識主義が礼賛され、胡乱にナショナリズムが喧伝されているのですが、愛国者は売国者であり、報道者は扇動者であり、経済者は欺瞞者であり、統治者は剽窃者であり、洞察すべきは過剰にシュールな二律背反性というこの国の核心に他なりません。

原発事故が近代国家の首都圏で勃発しながら、圧政者は賠償回避のため国民を放射線に晒し、メディアは擬似像で現実を隠蔽しているのであり、生存権も財産権も法体系までもが消失し、社会は崩壊からカオスへ突入するのだと思います。

暴対法の改正により、社会現場における闇勢力の追放が策定されているのですが、原発の復旧作業が指定暴力団の二次あるいは三次団体による人材派遣へ依拠していることは周知のところです。つまり暴力組織は国家の下部構造として純粋に機能しているのであり、むしろ権力と暴力は相互依存しつつ、共棲関係にあると言えるでしょう。

法理の建前として、暴力組織との関係性が推定された段階で事業者は公共入札から排除され、無条件に融資が引き上げられるのですから、実態は癒着により電力企業が超法規的に特権待遇を享受している証左に他なりません。それにもかかわらず生活困難者は被曝地に作業者として徴収され、なんらの保障もされず虫けらのように殺されて行きます。


この国はすでに貪婪たるプリデター(捕食者)と被捕食者に二分されているのであり、公権力の実働部隊として機能するYAKUZAと市民が対峙するという、「ニューロマンサー」さながらの荒廃した超世界が眼前に現出しているわけです。

あらゆる混乱の変遷を経て、社会資本も産業資本も略奪され、隣接する二つの超大国がこの国を分割統治する蓋然性は極めて高く、歴史法則に倣うのであれば、次世代は④原発労働奴隷として、あるいは下層売春婦として、あらたな宗主への従属が運命づけられています。 

(注釈)
 

①ソマリアでは1991年に勃発した内戦から無政府状態となり、2012年にハッサン・ムハマドが大統領に就任するまで正式な統治機構や外交機能は存在していない。この間には平和維持軍や多国籍軍が介入するが、部族対立が激化するなど事態は混迷し、治安の悪化が追い討ちをかけ100万人以上が難民となった。それ以前からアデン湾は海賊の多発海域だったが、2005年頃から軍閥が外貨獲得手段として誘拐を産業化したことから、周辺海域は世界で最も危険な航路に位置づけられている。
 

飢餓人口の増大は内戦による農村経済の破壊とされているが、実際は外圧による経済構造の変化であるという見方が強い。もともとソマリアは牧畜や農業が盛んな地域であり、輸出の70%以上を畜産品が占めるなど完全な食糧自給国だった。80年代に入り債務返済のためIMFの構造調整プログラムが推進され、関税障壁の撤廃とともに補助金漬けの安価なコメやトウモロコシ、その他の雑穀などが大量に流入し、生産農家の多くが壊滅状態に陥る。さらに灌漑農地の集約政策が実践され、自国消費向けの穀物生産からモノカルチャー(輸出向け高付加価値作物生産)へシフトしたことから食料自給率は加速的に悪化した。
 

また畜産省が無料で供給していたワクチンが廃止され、IMFの指導により遊牧民は有料のワクチン購入を迫られたが、通貨切り下げにより価格は高騰、飼料の輸入価格までもが高騰し、相次ぐ生産コストの上昇によって食糧生産は完全に破綻。そのうえ安価な工業製品の流入が相次いだため、国内製造業も壊滅状態となり経済システムは破綻した。90年代に入ると公衆衛生や教育予算は70年代と比較し80%近くも削減され、就学率は40%以上も減少し、25%の学校が閉鎖に追い込まれた。90年代に入り国家は分断状態となり内戦へ突入するが、その最中においてもIMFはさらなる輸入障壁の撤廃、民営化、投資自由化などを求め構造調整プログラムを強行している。
 

内戦下において児童らも軍隊組織への加入を義務付けられたため、2000年以降の就学率は10%、識字率は30%台という惨状だ。ケニアやエチオピアなど周辺国で暮らす難民は未だ40万人を超え、また食糧価格高騰により国民の約30%に相当する260万人が緊急支援を要する危機的状態にある。
 

②産業主体となるロビー団体が主導的にTPPを推進し、総力的に日本市場獲得に臨んでいる様相が浮き彫りとなっている。
 

「TPP推進団体一覧」

 

NFTC(全国貿易協議会)、Advanced Medical Technology Association(先進医療技術工業会)、American Apparel & Footwear Association (米国アパレル及びフットウェア協会)、American Automotive Policy Council (米国自動車政策協会)、American Business Conference (米国事業会議)、American Chamber of Commerce in New Zealand(ニュージーランド米国商工会議所)、American Chamber of Commerce in Singapore(シンガポール米国商工会議所)、American Chamber of Commerce in Vietnam (ベトナム米国商工会議所)、American Chamber of Commerce in Vietnam (ベトナム・ホーチミン米国商工会議所)、American Council of Life Insurers (米国生命保険産業協議会)、American Forest & Paper Association (米国森林・製紙協会)、American Import Shippers Association (米国輸入運送業協会)、American Soybean Association (米国大豆協会)、Association of American Publishers (米国出版社協会)、Association of Equipment Manufacturers (設備製造業者協会)、Biotechnology Industry Organization (バイオテクノロジー産業協会)、Coalition of Service Industries (サービス業連合)、Corn Refiners Association (トウモロコシ精製者協会)、Council of the Americas (米国評議会)、Distilled Spirits Council of the United States(米国国蒸留酒会議)、Emergency Committee for American Trade (米国貿易緊急委員会)、Express Association of America (アメリカ速達便協会)、Footwear Distributors & Retailers of America (米国履物配給者・小売業協会)、Fashion Accessories Shippers Association (ファッション・アクセサリ配送協会)、Grocery Manufacturers Association (食料品店製造業者協会)、Information Technology Industry Council(米国情報技術工業協議会、International Intellectual Property Alliance (国際知的財産連合)、Independent Film & Television Alliance(インディーズ映画&テレビ連合)、 Motion Picture Association of America(米国映画協会)、National Cattlemen’s Beef Association(全米牧畜業者牛肉協会)、National Association of Manufacturers (全米製造業者協会)、National Center for APEC(アジア太平洋経済協力会議にむけた全米中央センター)、National Confectioners Association(全米菓子協会)、National Foreign Trade Council (全米貿易協議会)、National Music Publishers Association (全米音楽出版者協会)、National Pork Producers Council(全米豚肉生産者評議会)、National Retail Federation (全米小売連合)、Outdoor Industry Association(アウトドア工業会)、Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (米国薬品調査・製造者協会)、Recording Industry Association of America (米国レコード協会)、Retail Industry Leaders Association(小売業指導者協会)、Securities Industry and Financial Markets Association (証券業・金融市場協会)、Society of Chemical Manufacturers and Affiliates (化学製造業者・関連者協会)、Tech America(米国高度技術産業団体)、U.S. Association of Importers of Textiles and Apparel (米国繊維アパレル輸入者協会)、Travel Goods Association(旅行用品産業協会)、U.S.-ASEAN Business Council(米国ASEAN事業協議会)、U.S. Chamber of Commerce(米国商工会議所)、United States Council for International Business (USCIB)(米国世界ビジネス協議会)、US-New Zealand Council(米国ニュージーランド協議会)。

 
③1999年、ボリビアのコチャバンバ市水道サービス公社は世界銀行の主導によって民営化され、米国ベクテル社の子会社であるIWL社(インターナショナル・ウォーター・リミテッド)へ上下水道事業の運営権を譲渡した。競争入札が行なわれたものの、応札者はIWL社のみであり、数百万ドル相当の価値が見込まれる上水道の権利は、2万ドル以下という不当な安値で譲渡される。これに先立ち世界銀行は債務返済にむけた構造改革プログラムを勧告し、ボリビアにおける水道料金の公的補助を廃止するよう求めていた。
 

その後IWL社はダム建設の資金調達を事由に、水道料金の大幅な値上げを行う。月収100ドル以下で暮らす貧困層が多い地域において月額20ドルを超える水道料金を設定したため、市民生活はたちまち窮乏し大規模な抗議活動へ発展。2000年1月、労働者同盟や左派指導者らの先導により、4日間連続のストライキへ突入する事態となり、コチャバンバ市の経済活動は停止を余儀なくされた。混乱により水道使用料を元に戻す措置がとられ、いったん抗議行動は収束する。

 
その後の世論調査でも、水道事業は公社に戻すべきであるという意見が趨勢を占めた。4月に入りデモは再燃し市内は大混乱に陥るが、行政府は抗議者集団が「コカ絶滅作戦」に対抗する違法な生産農家であるとして鎮圧。4日目に入り戒厳令が公布され、鎮圧部隊は反乱指導者たちを急襲、地元ラジオ局などメディアを封鎖した。これにより抗議活動はさらに大規模化し暴動が多発、デモ隊と警察が衝突を繰り返すなか死傷者は200人近くに達し、混乱はボリビア全域の都市に拡大する。4月12日、IWL社はついに水道事業からの撤退を宣言。これを受け世界銀行は対外債務返済にかかわる支援停止を表明したが、事態は収束に向かった。


アフリカのドルフィン・コーストでは1998年に水道事業が民営化され、水道料金は140%ちかく高騰した。世界銀行は同国においても構造改革プログラムを発動し、水道料金を払わない利用者には供給を停止するよう勧告を行う。これにより貧困層は請求に応じることができず河川水を飲用した結果、2002年にはコレラが蔓延し20万人を超える住民が感染、うち多数が死亡する事態となる。近年は日本国においても外資による水道事業への参入が活発化し、2012年4月には世界最大の水道会社である仏ヴェオリア・ウォーター社が、愛媛県松山市から水道事業の運営業務を一時委託された。
 

④原発労働において以下の問題が指摘されている。A. 給与の中間搾取(元請け企業から1人当たり日当30,000円が下請けに支払われた場合、作業者が受領するのは10,000円前後であり、斡旋者が20,000円近くを中抜きする)。B. 労働災害(被曝した場合において賠償請求を行わない、などの念書を求められる。また線量計のバッジを外され、被曝状況を告知されないまま作業を求められる)。C. 安全配慮の欠如(現場管理者の安全意識が低く、放射線教育も実施せず作業者を配置するなど、熟練者の消耗から作業に支障をきたし二次的な事故を頻発させている)。
 

関係筋によると、原発は13カ月に1回の定期保守のため、通常の10倍に相当する千人規模の作業員が必要となり、建設会社は人員確保のため8次から9次まで下請けを重ねるため、恒常的に暴力団が介在するという。これについて捜査担当者は「電力企業は下請けが重なる構造によって暴力団の関与を隠蔽し、責任回避を行っている」とコメントした。
 

慶応大学の藤田祐幸教授によると、原発の点検や清掃作業にホームレスや放浪者を募ることは、30年以上にわたる業界の慣習であり、70年代より推計30万人以上が作業に従事し、最大で約1000人の作業者が死亡、さらに数千人が癌に罹患したという。路上で徴収された作業者らは安全教育を施されることもなく、国際協定で定められた最大値の1万7000倍もの放射線を浴びていると指摘されている。また、就労者が原発周辺の医療施設に診断を申し出た場合は「適性」の診断が下され、業務に復帰させるなど人権侵害が著しいという。健康被害が顕在化しても斡旋業者である暴力団が賠償請求を断念させるシステムであり、つまり国策という暴力が原発労働者の生命を消費し続けている。

 


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