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スタート

 

AM7:30、"小鳥"はカギを閉めて階段を降りた。

この日はアパートからの初出勤。"赤鬼"が用意してくれた原付バイクでさっそうと飛び出す。
 
( テーブルが欲しい、テレビも見たい、炊飯器、シャンプー、トイレットペーパー、ビール、冷蔵庫・・)
 
必要な物がアレコレ浮かび、
 
( 一気に揃えるのは無理だなぁ・・)

譲ってもらった布団とバッグひとつ分の荷物しか無い6畳間。すぐには手に入らなくとも、その空間を埋めるアイテムを想像しながら通勤という時間を楽しむ。

部屋の西側と南側にあるどちらの窓からも外壁を這う様に付く階段が見えて、それは外からも中を覗けてしまう事を裏付けていたが、それでも間借り暮らしと比べてしまえば良しでしかない。
 
 

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帰宅

 

仕事が終わってからは、

「 お先に失礼します 」

帰宅と言う新たな日常を手に入れ、原付バイクで会社の敷地を飛び出すと敢えて知らないルートで新居を目指した。

( こんな所にお店があったのかぁ・・)

気まぐれな進路には人生でたった一度だけの初めてが待っていて、スピードに乗ってやって来る新鮮な感覚に肌寒さも気にならない。

しかし、アパートに辿り着き、暗い部屋の電気を点けると、

( あぁ、飯かぁ・・)

こんな独り言を呟く事になった。

外から薄明かりが差し込む6畳一間のアパートは、野放しのテレビが音を出していた茶の間とは違い、そこに座っていれば台所に立つ母親が夕飯を運んで来てくれる訳でも無く、自分が動かなければ何一つ形を成さない孤独な解放区なのだと気付く。
 
 

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