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大学受験の定性分析

大学受験の定性分析Ⅰ 

 

無機化学・沈殿生成(基本編)

 無機化学での勉強は暗記事項が多く、覚えにくい部分です。しかし、膨大な暗記量を要するのではなく、入試にとって必要な箇所を重点的に暗記していくことが大切です。例えば、酸化還元によく出てくるマンガン(Ⅱ)イオンは淡桃色クロム(Ⅲ)イオンは緑色として知られています。また、亜鉛は両性元素であるということも基本事項です。このような基本事項は必ず必要です。しかし、化学を学習し始めたばかりの人はどの部分が入試にとっての基本事項なのかは、わからないかもしれません。

 この冊子は、無機化学の沈殿(水に溶けない物質)生成について基本事項のガイドラインとして作成しました。この冊子に出てくる事項は入試にとっての基本だと考え、必ず暗記するように心がけてください。また、この分野は比較的取り組みやすく、体系的に暗記することにより必ず得点力が身につきます。

 

沈殿物生成によるイオンの分離

 

 物質が水に溶けるかどうかの判断は重要です。ここでは陰イオンを中心に共通的な性質を押さえて整理することにしています。

 

第1節. SO42- (硫酸イオン) による白色沈殿

 

アルカリ土類金属のイオン鉛(Ⅱ)イオンは硫酸イオンにより白色沈殿を生じる。

  

ゴロ: キャー(Ca2+なにを す(Sr2+るの バ(Ba2+カヤロー  なまり(Pb2+ は 硫酸イオン で  白色沈殿

(問1)希硫酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Fe2+  Cu2+  Ba2+  Al3+

(問2)希硫酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Ca2+  Zn2+  Mn2+  Na+

(問3)希硫酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Mg2+  Cu2+  Pb2+  K+

(問4)希硫酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Be2+  Ba2+  Co2+  Fe3+

(問5)希硫酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Fe2+  Ca2+  Cu2+  Al3+

(解答:順に ③ ① ③ ② ②)

第2節. Cl- (塩化物イオン) による白色沈殿

 

下記、3つの陽イオンは塩化物イオンにより白色沈殿を生じる。

 

Hg22+   Hg2Cl2 (白色沈殿)

Ag+   → AgCl  (白色沈殿・この沈殿はNa2S2O3に溶ける)

Pb2+   → PbCl2  (白色沈殿・この沈殿は熱水に溶ける)

 

ゴロ: えん( Cl- あって、 す(Hg22+ ) ぎ(Ag+ ) な(Pb2+  しろ(白色沈殿)

(問1)希塩酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Fe2+  Cu2+  Ba2+  Ag+

(問2)希塩酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Ca2+  Zn2+  Pb2+  Na+

(問3)希塩酸で白色沈殿を生じ、その沈殿が熱水に溶けるものはどれか。

 

Mg2+  Cu2+  Pb2+  Ag+

(問4)希塩酸で白色沈殿を生じるイオンはどれか。

 

Be2+  Ba2+  Co2+  Hg22+

(問5)希塩酸で白色沈殿を生じ、その沈殿がチオ硫酸ナトリウムにとけるものはどれか。

 

Fe2+  Pb2+  Cu2+  Ag+

(解答:順に ④ ③ ③ ④ ④)

第3節. S2-(硫化物イオン) による沈殿

 

硫化物イオンの沈殿は水溶液の液性が関係するので、金属のイオン化傾向と一緒に覚える方が効果的です。

 

Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Hg > Ag > Pt >Au

1.スズ以下の金属はその液性が酸性・中性・塩基性で硫化物イオンと沈殿生成

2.亜鉛・鉄・ニッケルはその液性が塩基性・中性で硫化物イオンと沈殿生成

 

硫化物イオンの沈殿物の色は、基本的には黒色です。ただし、以下の例外が存在します。

  CdS(すべての液性で黄色) ・ ZnS(中・塩基性で白色) ・ MnS(中・塩基性で赤桃色)

 

金属のイオン化列 Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Hg > Ag > Pt >Au

ゴロ: り  か(そう) か  な  ま   あ   あ  て  に   す  な   ひ   ど  す   ぎ(るは) はっきん

   

両性元素は、酸にも塩基にも反応する元素で、Al,Zn,Sn,Pbの4つの元素のことです。

ゴロ: あ(Al)  あ(Zn)  す(Sn)ん  な(Pb)り  と 両性で反応する。

(問1)硫化水素によって、酸性溶液中で沈殿するものはどれか。

 

Fe3+  Cu2+  Ni2+  Zn2+

(問2)硫化水素によって、酸性溶液中で沈殿するものはどれか。

 

Ca2+  Zn2+  Pb2+  Na+

(問3)硫化水素によって、塩基性溶液中で沈殿するものはどれか。

 

Mg2+  Fe2+  Pb2+  K+

(問4)硫化水素によって、黄色の沈殿を生じるものはどれか。

 

Be2+  Ba2+  Cd2+  Hg22+

(問5)硫化水素によって、白色沈殿を生じるものはどれか。

 

Fe2+  Pb2+  Cu2+  Zn2+

(解答:順に ② ③ ② ③ ④)

第4節. 鉄イオン

  

①鉄の沈殿生成を考える場合、鉄には二価と三価の二種類のイオンがあると考えます。Fe2+(淡緑色)  Fe3+(黄褐色)

 

②鉄イオンと水酸化物イオンとの沈殿

鉄イオンはそれぞれ水酸化物イオン( OH- )によって、 Fe(OH)2緑白色沈殿 、  Fe(OH)3赤褐色沈殿 を生じる。

 

③鉄の錯イオンの価数の判別

・ヘキサシアニド鉄()酸カリウム・ K4[Fe(CN)6]  と Fe3+ で 濃青色沈殿 ができる。

・ヘキサシアニド鉄()酸カリウム・ K4[Fe(CN)6]  と Fe2+ で 白青色沈殿 ができる。

・ヘキサシアニド鉄()酸カリウム・ K3[Fe(CN)6]  と Fe2+ で 濃青色沈殿 ができる。

・ヘキサシアニド鉄()酸カリウム・ K3[Fe(CN)6]  と Fe3+ で 暗褐色水溶液 ができる。

・チオシアン酸カリウム・KSCN と  Fe3+ 血赤色水溶液 ができる。

 

 

第5節.  OH-(水酸化物イオン) による沈殿

 

水酸化物イオンにより、Cu2+ ,Ag+ ,Zn2+ ,Al3+ ,Sn2+ ,Pb2+ の6つのイオンはすべて沈殿します。しかし、その状態変化を暗記することが必要です。 

 

錯イオンとは、非共有電子対を持つ分子やイオンが、配位してできたイオンのことです。

 

NH3 と 錯イオン

 

銅、銀、亜鉛のイオンは次のように段階的に、少量のアンモニア水溶液により沈殿し、多量のアンモニア水溶液により錯イオン化する。

Cu2+ (青色) は 少量のNH3 Cu(OH)2 (青白色沈殿) 。 多量の NH3 [Cu(NH3)4]2+ (濃青色)。

Ag+ (無色) は 少量のNH3 Ag2O (褐色沈殿) 。 多量の NH3 [Ag(NH3)2]+  (無色)。

Zn2+ (無色) は 少量のNH3 Zn(OH)2 (白色沈殿) 。 多量の NH3   [Zn(NH3)4]2+ (無色)。

[Cu(NH3)4]2+ : テトラアンミン銅 (Ⅱ)イオン

[Ag(NH3)2]+ :  ジアンミン銀 (Ⅰ)イオン

[Zn(NH3)4]2+ : テトラアンミン亜鉛 (Ⅱ)イオン

ゴロ: ど(Cu) を すぎ(Ag)て あ(Zn)えなく溶かすアンモニア

 

NaOH と 錯イオン

 

両性元素のイオンは次のように段階的に、少量の水酸化ナトリウム水溶液により沈殿し、多量の水酸化ナトリウム水溶液により錯イオン化する。

Al3+  (無色) は少量のNaOHで Al (OH)3 (白色沈殿) 、多量のNaOHで [Al (OH)4]- (無色)。

Zn2+ (無色) は少量のNaOHで Zn(OH)2 (白色沈殿) 、多量のNaOHで [Zn (OH)4]2- (無色)。

Sn2+ (無色) は少量のNaOHで (白色沈殿) 、 多量のNaOHで (無色の錯イオン)。

Pb2+ (無色) は少量のNaOHで (白色沈殿) 、 多量のNaOHで (無色の錯イオン)。

[Al (OH)4]-  : テトラヒドロキシドアルミン酸イオン

[Zn (OH)4]2- : テトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)酸イオン

スズと鉛の沈殿と錯イオンの化学式について入試問題での出題が少ないため、状態変化のみを暗記事項としてください。

ゴロ: あ(Al)  あ(Zn)  す(Snん  な(Pbり  と 両性で反応する。

 

(問1)アンモニア水を過剰に加えることによって、濃青色溶液になるものはどれか。

 

Fe3+  Cu2+  Ni2+  Zn2+

(問2)アンモニア水を加えることによって、褐色沈殿を生じ、無色の溶液になるものはどれか。

 

Ca2+  Zn2+  Pb2+  Ag+

(問3)ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウムを加えると、濃青色の沈殿を生じるものはどれか。

 

Mg2+  Fe2+  Fe3+  K+

(問4)水酸化ナトリウムを水溶液を加えると沈殿を生じ、過剰に加えると溶解するものはどれか。

 

Be2+  Ba2+  Al3+  Hg22+

(問5)水酸化ナトリウムを水溶液を加えると沈殿を生じ、過剰に加えると溶解するものはどれか。

 

Fe2+  Cu2+  Zn2+  Ag+

(解答:順に ② ④ ③ ③ ③)

第6節. CrO42- (クロム酸イオン・黄色) による沈殿

 

下記、3つの陽イオンはクロム酸イオンにより、下記の有色の沈殿を形成する。

 

Ag+  Ag2CrO4 (クロム酸銀・赤褐色沈殿または暗赤色沈殿

Pb2+ → PbCrO4  (クロム酸鉛・黄色沈殿)

Ba2+ → BaCrO4  (クロム酸バリウム色・黄色沈殿

 

クロム酸イオンに酸を加えると二クロム酸イオンに変化する。逆に、二クロム酸イオンに塩基を加えるとクロム酸イオンに戻ります。この変化の時には、それぞれのイオンの色に注意するようにしてください。

2CrO42-  + H+      Cr2O72-   + OH- 

(黄色)             (赤橙色)

 

第7節. その他の出題されるイオンの色

 

Cr3+ (緑色)  ,  Mn2+ (淡桃色) ,  MnO4- (赤紫色)

 

(問1)クロム酸カリウム水溶液を加えると、赤褐色の沈殿を生じる。

 

Fe3+  Cu2+  Ni2+  Ag+

(問2)クロム酸カリウム水溶液を加えると、黄色の沈殿を生じる。

 

Ca2+  Zn2+  Pb2+  Ag+

(問3)過マンガン酸イオンの色はどれか。

 

赤色  褐色  黄色  赤紫色

(問4)クロム(Ⅲ)イオンの色はどれか。

 

赤色  青色  黄色  緑色

(問5)二クロム酸イオンを塩基性にすると何色に変化するのか。

 

赤色  褐色  黄色  赤橙色

(解答:順に ④ ③ ④ ④ ③)

第8節. 総合問題

 次の問について、最も適するイオンを①~⑤から①つずつ選べ。ただし、イオンはすべて水溶液中で存在し、反応は示してあるイオンについてのみ考えることとする。

 

(問1)アンモニア水を過剰に加えても、生じた沈殿が溶けずに残っている。

 

Ca2+  Zn2+  Cu2+  Al3+  Cd2+

(問2)硝酸を加えても沈殿しないが、硫酸を加えると沈殿を生じる

 

Cd2+  Pb2+  Ni2+  Cu2+  Zn2+

(問3)過剰のアンモニア水を加えても沈殿しないが、過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加えると沈殿する。

 

Zn2+  Fe3+  Ag+  Al3+   Pb2+

(問4)過剰のアンモニア水を加えても沈殿しないが、塩酸を加えると白色沈殿ができる。

 

Al3+  Ag+  Zn2+  Ni2+  Cu2+

(問5)硫化水素を通じると、酸性では沈殿しないが、アルカリ性では沈殿する。

 

Cu2+  Hg2+  Fe2+  Ca2+  Mg2+

(問6)硫化水素を通じると、黒色の沈殿が生じるが、この沈殿を生じた溶液をさらにシアン化カリウム水  溶液を過剰に加えると溶解する。

 

Ag+  Zn2+  Cd2+  Al3+   Mn2+

(問7)アンモニア水を加えても沈殿しないが、硫酸ナトリウム水溶液を加えると沈殿する。

 

Zn2+  Co2+  Cu2+  Ba2+  Fe2+

(問8)硝酸銀水溶液を加えると白色の沈殿を生じる。この沈殿を生じた溶液にさらに過剰のアンモニア  水を加えると溶解する。

 

I-   Cl-  S2-  CrO42-  SO42-

(解答:順に ④ ② ③ ② ③ ① ④ ②)

 


この本の内容は以上です。


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