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―――その日の夜は、大宴会だった。

ルギとラシェルが見つけた財宝で、しばらくは、黒烏団の財源が潤うということで、アジト中が活気づいた。
いつもなら、節約節約と煩いルークだったが、今日だけは、どんな贅沢も許可してくれた。
それに便乗し、ダインやシーマは、浴びるように酒を飲んでいた。

ルギは、アジトに帰ってから、もう一度左腕をラシェルに治してもらい、細かい傷やふさがらなかった部分は、包帯を巻いておいた。
宴会の最中、疲れたから、と先にルギは退席した。

宴会が終わり、ルークに褒められたので、ラシェルが良い気分で部屋にもどって、しばらくしたころ。
コン、コンと扉を叩く音がした。

「はーい」

楽しい時間の余韻に浸り、ベッドに突っ伏してゴロゴロしてたラシェルは、少しだけドアを開けた。

「あ…」

そこにいたのは、先に寝たはずのルギだった。

「…今日はお疲れ」

ルギがいう。

「…お疲れ様」

ほろ酔いのラシェルは、少し上目遣いでルギを見た。
先に休む、といっていて、今頃部屋を訪れて来られて、せっかくの余韻が少し冷めてしまった。

「どうしたの?」

ルギは、唐突にポケットに手を入れ、小さな箱をラシェルに差し出した。
無地の包装紙で包まれただけの、手の平にちょこんと乗る四角い箱。


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最終更新日 : 2013-04-03 00:46:40

「……?」

訝しげるラシェルに、ルギは言った。

「今日の訓練の労い…と、…先日の…詫びだ…」

暗い廊下の、揺れるランタンの明かりに照らされ、ルギの頬が少し赤い。


「えっ、いらないよ」

ラシェルは首を振る。

「今日はお仕事だったから、お互い全力を出したはずでしょ…? この間のことだって、もうやらないって言って貰ったから、もう済んだことだし」

と、ラシェルが慌てて言う。
しかしルギは、黙ってラシェルを見つめた。

「……いいんだ、俺があんたに、何かをあげたかっただけだ…。いらなかったら、売るか捨ててくれ」

と言って、ルギは小さな箱を、部屋の奥へと投げ入れた。

「あっ…」
「……おやすみ、……ラシェル」

そういって、ルギはバタンと扉を閉める。
ラシェルは慌てて、コロコロと転がる箱を拾い上げる。

綺麗に包装された、とても軽い箱だった。
そして、ふと気づく。

(…今日の労いって、今日は遺跡から真っ直ぐアジトに帰って来たから、買い物には行ってないし…)

今日買ったんじゃないなら、いつ…?
箱を胸に握りしめたまま、バタンとドアを開けたが、廊下にはすでに、ルギの影はなかった―。

* fin *

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最終更新日 : 2013-04-03 00:46:19

この本の内容は以上です。


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