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12月31日

 「お前の夢、って・・・何だっけ」

デッカい会場でライブ?全国ツアー?・・・女優の真似事してドラマ?映画?

「・・・じゃあなりすと。あっちこっち・・・飛び回って、色んなトコロを・・・見て」

めぐみは、クスリの後遺症で喋りにくそうにしながらでも・・・ハッキリと自分の口からこう言ったんだ。何だ、ちゃんと覚えてたんじゃないか。

「今からでも、まだ遅くないよ」

そう言った俺に見せた涙は、どっちなんだろう。そのまま、めぐみはかすかな吐息を漏らして落ちるように眠っていた。

 ──── 夢見ようぜ、また・・・俺と一緒に。

1月1日

 ・・・初夢って、確か今日の夜に見るやつじゃなかったっけ?何か、ヤな感じだったなー。だってさ、朝だと思ってめぐみを起こそうとしたら

冷たくなって、硬くなってたんだ。

口元に顔を近づけても、息を感じない。体揺らしても、何の反応もないから・・・俺ってば、手と足の縄を解いてやってるのね。『ああ・・・死んだんだ』って納得してるっていうか、夢だからあんまり悲しくなかったのかな。

この日記もまた書かなきゃ。

 ──── だって、目が覚めたら消えてるはずだもん。

1月4日

 変だ。もう三日も経ってるのに、ぜんっぜん夢から覚めない。めぐみも、俺のそばでずっと“死んだまま”だし。正月に書いた日記だってそのまま残ってる。一体何がどうなっちまってるんだ?

・・・まさか

本当に、めぐみは死ん・・・?

めぐみ・・・起きてくれ。めぐみ・・・めぐ・・・

1月5日

 神様も、間違う事ってあるんだな。俺が叶えてほしかったのは、めぐみの夢だった。なのにどうして

本当に、めぐみを人形なんかにしてくれたの

確かにあの時、『ホントに人形だったら』って言ったけど・・・そんなの俺の夢でも、願望でも何でもねえよ!

俺の願いがあるとしたら・・・魂を。この人形に、明るく笑ってた頃の鳴瀬の魂を宿らせてくれよ。

 ──── こら、ネボスケめぐみ。いつまで寝てるんだ?・・・早く、早く起きろよ。

2月14日

 たぶん、これで“人形遊び”も、日記も終わりかな。色々とニオイがきつくなってきて、周りの視線も痛いし。

バレるのも、時間の問題だから(笑)。

せっかく三つ目のバイト先から余った氷もらってきても、間に合わないや。

「なあ、めぐみ。狭いけど我慢してね。・・・もう少しの辛抱だからさ」

また、こうやってあの木箱が役に立つなんて思ってなかったけど・・・俺は

氷漬けの『箱入り人形』

に、最後のキスをした。
 


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