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12月4日

 俺が焦ってたって仕方ないんだ。だから、昨日ここに書いた言葉を彼女に伝えてみた。でも、画面には何も映らない。何も打とうとはしなかった。

俺には一言もないんだと!

「なんで黙ってるんだよ・・・何とか言えよ」

俺には責める気なんてなかった。・・・ひょっとして、彼女は怯えてるのか?

「頼むよ・・・俺だって必死なんだよ!!」

口の利けないお前のココロを知るのに。お前の本当の幸せを見つけるのに。

 ──── お前を、取り戻したいから。

12月7日

 今度は、俺のほうがおかしくなっちまいそうだ。毎日毎日、まるで人形(フィギュア)に向かって話してるみたいな気分だ。せっかくパソコンで会話できるようになったって

“声”

が聞こえなきゃ同じだろ?ますます彼女の目からは生気が感じられなくなっていた。こんなんじゃ・・・どうすりゃいい?コイツにとって、このまま生きていくとしたら

何が希望なんだ。

俺の自業自得だって事は分かってる。分かってるけど

 ──── やっぱり俺のやった事は、間違いだったのか?

12月16日

 今日は、アイツが久々に喋ってくれたよ。

かえして

「・・・何を」

わたしをかえして

・・・なのにさー、こんな事言われりゃイラつくの分かるかな。一体どこに?誰に返せばいいって言うんだ。こんなになっちまったお前を拾ってくれる“ヤサシイヒト”なんかいるわけねーだろーが!!

「自分じゃ何も出来ねえくせに、エラそうな事言ってんじゃねえよ!!」

・・・って思わず怒鳴っちまった俺に、アイツの頬を伝う一筋の涙だけがまだ、しぶとく抵抗を続けていたんだ。

12月22日

 あのまま、六日が過ぎた。俺たちの間には何となくギクシャク、ピリピリした空気が漂っていた。アイツも、ずっとご機嫌ナナメ。何も話そうとしないし、何聞いたってダンマリ。おまけにメシもろくに食わなかったから、無理やり口に押し込んだら・・・むせて吐き出すし。だって、ずっとボロボロ泣いてんだもん。ティッシュで拭いてやるのもバカらしくなっちまうくらいだった。

 ──── ホントに人形だったら、さぞ楽だったろうな。

12月24日

 巷じゃあ、クリスマスだ何だって浮かれてるけど、俺たちはそれどこじゃねーっつーの。

ああ、あの記者に全部ぶっちゃけても面白かったかもしんねーな。

アイツ・・・鳴瀬とは、連絡がつかねえだけで俺はまだ“終わった”なんて思っちゃいないからね?『あー、大学で勉強頑張ってんだなー』『忙しいのかなー』って俺は・・・恋人を思うあまりの優しさで!

・・・そっとしといてやっただけなんだよ。そしたら

あ、前に鳴瀬がテレビに出ててビビッたっつったよね?・・・いや、ビビッたっつーか。何かこう、アイツがあんまり楽しそうにゲラゲラ笑ってんの見たら・・・この、胸のあたりが異常に熱くなってさ、次の瞬間だ。ホントに一瞬だけこんな気持ちになったんだ。

 ──── いつか、殺してやる・・・って。


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