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9月24日

 『風呂、入りたいだろ?』いつものようにタオルで体を拭きながら、聞いたんだ。やっぱり何も言わなかったけど、それが、俺には余計に辛かった。フッと、

コイツも年頃のオンナなんだ

そう思ったら、何かもうまともに見れなくなって。慌てて服を着せた。

「ゴメンな」

そのまま買い物に出かけた俺を待っていたのは・・・

いつもありがとう

 ──── もう戻れないのかな、俺たち。

10月2日

 なるべくいっぱい会話するようにしてたら、だいぶスムーズにキャッチボール出来るようにはなってきた。もう、トイレの心配もない。だって、漏らしそうになったら

といといといといといといといといといといといといとい

『れ』まで間に合わないくらい必死になるからね。

 ──── 可愛いヤツだな。

10月4日

 告白した。・・・っても、『好き』とか『愛してる』みたいな普遍的でカッコつけた台詞より
 
このまま二人で、ずっと一緒に生きていこう
 
って、そんな具体的(笑)な言葉が口をついていた。『嫌だったら、0。OKしてくれるなら、1・・・押して』俺には画面の文字がすべてだった。彼女の気持ちが正確に反映されるように、押し間違いがあったら困るからあえて離れた位置のキーを押してもらう事にしたんだ。したら・・・わざわざ『かな』キーを押して
 
いいよ
 
って打ってくれてさ。

10月5日

 告白したからって、何が変わるわけでもない。だけど・・・何かが違う気がしたんだ。

彼女と俺の『心の距離』が近づいた?

・・・って、勝手に思ってても仕方ないか。でも、何となくウキウキしちゃうってのかな。いっそこのまま、ホントにずっとズルズル行っててもイイかもしれない。一日一日、今日が楽しけりゃ・・・それでいいや。

 ──── 鳴瀬より・・・お前のほうが、素直で好きだよ。

10月15日

 『ケンカするほど仲がいい』・・・って、みんなホントにそうなのかな?今日は何だか消えちまいたい気分だ。彼女にさ、すっげーカワイソウな事しちまったんだ。
 
おでかけしたい
 
って言ったのを、『無理だよ、楽しくないって』・・・俺が、突っぱねて。そりゃ、今までずっと“ひきこもり”だったし?今日みたいに天気のいい日は、風に当たりたい気持ちも分かるよ。でも・・・
 
「それだけじゃん、別に何が出来るわけでもないのに・・・面白いか?」
 
色んな“面倒くさい事”が俺に、そう言わせたんだな。ビクッとなったまま手を止めて、もう何も話さなくなった彼女を見て俺は
 
殺しちまったような罪悪感に襲われた。
 
・・・ああ、そうさ。きっと、彼女にしてみれば自分の存在を否定されるのと同じだったろうよ。俺は彼女を抱き締めて何度も謝ったけど、その間ずっと俺の肩は彼女の涙で濡れていた。
 
 ──── 言葉なんか、てんで無力だよな。


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