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私、結婚します!

そろそろ結婚したい!と思い始めて数年が過ぎてる。

お茶にお花、そしてco le jinseiでフランス料理も習い、

花嫁修業にいそしむ日々。

私38歳!春満開!今年こそ!

ひそかに玉の輿なんかも夢見ていたのだが・・・



「先生!私、結婚することになりました!」

「まあ、ステキ!菫さん、おめでとう。良かったわね、やっぱり神様が願いを叶えてくれたのね。」

「はい、先生、あの時はどうなることかと思いましたが、ありがとうございました。本当にお世話になりました。

おかげさまで、良い人とめぐり会えたんです!」



結婚したい!私、38歳!

付き合っている彼と、本当に結婚したい!という思いが募り、

それを神様にお願いする日々だった。「彼と結婚したい!」


それは花の便りが聞こえ始める、でもまだ寒い日の頃だった。

突然、パタリと、彼と連絡が取れなくなったのだ。

「ひょっとして、怪我でもして入院したのかしら?それとも急用でどこかに出かけてる?出張よ、きっと急な出張で連絡が取れないんだわ、きっと・・・・」

不安で、不安で一杯になっていた。


それでも、花嫁修業のために通っているオーロラさんの料理教室には出かけて行った。

そして、先生の顔を見たとたんにポロポロと涙がこぼれた。

「せ、先生・・・・」

「あら、あら、どうしたのかしら、彼と喧嘩でもしたの?」

「先生・・・実は、私・・・・」




話しだすと今までの不安な思いが堰を切ったように溢れでてきた。

「あらまあ電話にもでないの? 全く連絡が取れないの?

 あら・・・そう・・・・・」

オーロラさんは、オレオを撫ぜながらしばらく目を閉じた。


「彼はいま大きな借金があるわね。トラブルも抱えている。

もしいま解決したとしても、同じことを繰り返すわね。ず〜っと続くわよ」

「・・・・・・」

「菫さんが毎日、神様に真剣にお願いしたことで、相手に足止めをかけてくださったのよ。

ショックな事を言うようだけど、ペテン師なのよ彼は。

彼とは結婚しなくて本当によかったわね。」

 


今まで、あんなに楽しい日々を過ごしていたのに、いい人だと思っていたのに、

何だったのだろう……こんなことって………

その後は、何をどう作ったのかも覚えていない。

仲良しの碧さんの言葉さえ聞こえなかった。

ただただ、オーロラさんの言葉だけがグルグルと、いつまでも頭の中を駆け巡った。

 


あのときは、途方にくれ、呆然としたけど、

オーロラさんの言う事も信じられなかったけれど、

神様って本当にいるんだわ。

だって、いまは、幸せなんだもの。願いを叶えてくれたんだもの。

 


「ねえ、碧さん、今日のスズキのムニエルはとって美味しいわね。」

「結婚したら彼にも作ってあげるわ」


そう、神様にもね!





それから、数ヶ月の後

桜の咲くうららかな日、グランメゾン co le jinseiでは

賑やかにウェディングベルが鳴り響いたのでした。


奥付



オーロラさんの館【創刊号】

私、結婚します!


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著者 : フルーツとタルト
絵:M.I
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/fruitandtart-5/profile


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この本の内容は以上です。


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