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愛犬コルクの災難~サソリの一撃続編

桃世さんは、サソリの一撃から、数日後も足を引きずり、ネガティブなオーラ全開で落ち込んでいた。

その様子をずっと黙って見ていた愛犬コルク。

「ねえ〜コルク、どうしましょう・・・・失敗しちゃったのよ。

 私ってダメよね・・・」

「コルクー、どうして私、あんなこと言っちゃったのかしら〜

 反省よね・・・」

「私って・・・・・ねえ〜コルク、聞いてよ、コルク・・・・・」

その可愛いコルクに、桃世さんはため息混じりにグチっていた。

そんな日々を過ごした後、桃世さんは、気持ちもすっきりと吐き出したのか

元気を取り戻した。

朝からコルクのお散歩にも、足取り軽くルンルン気分で歩いていた。


ところが、今度は、コルクの様子がおかしくなった。

大好きなお散歩にも行こうとしない。

何も食べなくなり、見る見る痩せていき、歩くのもやっとの様子でただうずくまる。

「どうしちゃったのかしら・・・・?」

心配で様子を見ていると、ドロドロっとした黒いものを吐き出した。

目の前は、まるで黒いアスファルトが溶け出したようにドロドロとあふれて来た。

 「 大変!何を食べたの? コルク!コルク・・・・」


心配になって、いつ もの病院に連れて行った。

そうしたら、獣医さんも、「お前さん、何か変な物でも、食べたかねぇ〜」って言うばかり。




そうこうしているところで、料理教室の日がやって来た。

桃世さんは、ピカピカの鍋で、オリーブオイルにガーリックの香りをたてて、

オニオンをソティする。


「カリッと香ばしく焼きあがったわよ〜」

オーロラさんがバケットを沢山抱えて入って来た。

「あら、桃世さん、足の具合はいかが?」

「ハイ!おかげさまですっかり、良くなりました。ご迷惑をおかけいたしました」

微笑むオーロラさんの横で、オレオが桃世さんの顔を見上げた。

「そういえば、うちのコルク、様子がおかしいんです。病院に連れて行ったんですが・・・・」


教室に来ていた菫さんと赤音さんは、バケットにガーリックを塗り、トーストしながら

興味津々でその話を聞いていた。

鍋では、オニオンがアメ色のいい〜感じに炒め上がっている。



「そうね・・・・・」

オーロラさんは、オレオを撫ぜながら、しばらく目を閉じた。


「桃世さん、コルクはね、何とか大好きな桃世さんを助けなければと、最後の手段に出たのよ」

「えっ・・・・・?」

「桃世さんのネガティブパワーはものすごく大きかったのよ。コルクに毎日のように訴えていたでしょう。その嘆きの言葉がどんどん邪気になっ て、ドロドロッドロドロッとした黒い物になったの。それをね、コルクが、桃世さんの身代わりになって、お腹いっぱいに食べて、食べて食べて、もうこれ以上 食べられないっていうだけ食べて、それで消化出来なくなって、吐き出しちゃったのよ。」

「私の言ったことが・・・・?」

「そうよ〜それはコルクも食欲がなくなるわよね〜。  それにしてもその獣医さん、面白いこと言うわね〜」と、あっさり言った。


教室の皆は、顔を見合わせた。

オーブンのタイマーが、オニオングラタンスープの出来上がりを知らせた。

グリュイエールチーズの焼ける、なんとも言えない香りが食欲をそそる。


「うちのコルクは、どうしたら元気になりますか?」


桃世さんが尋ねると、オーロラさんはまた笑って、

「大丈夫よ、そのうち元気になるわよー!でも、あんまりグチっちゃダメよ!」


桃世さんは、熱々のスープをスプーンでつつきながら、

「自分が言った言葉が、生霊になって襲いかかり、今度は邪気になるの?

知らなかったわ。言葉って恐ろしい〜」と思うのであった。

「コルク、ありがとう、ごめんね・・・・・」




~その後の話~


「ねえ、ねえ、朱音さん、あの後、コルクちゃんは元気になったのかしら?」

「すっかり元気で庭を走り回ってるらしいですよ~」

「まあ、良かったわね!」

「それがですね、あの後、何度、何度も、ドロドロしたものを吐いたって言ってました。」

「あら~そんなにひどかったのかしら?」

「桃世さんだけでなくって、家族みんなが、コルクちゃんに悩みを打ち明けていたらしいです!」

「コルクちゃんって家族思いだったのね。家族みんなの身代わりになってくれたのね」

「菫さん!あの桃世さんの家ですよ。それは、家族の一員として可愛がっていますから~」

「私も、家族がほしいわ・・・・・」

「・・・・・・?」












奥付



オーロラさんの館 

愛犬コルクの災難~サソリの一撃続編


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著者 : フルーツとタルト
絵:M.I
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/fruitandtart-5/profile


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この本の内容は以上です。


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