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その39

/ / 祝福

「……ポンパーは俺が嫌い?」春哉はずるいなあ。嫌いだなんて言えるはずないじゃない。彼女がいつもあなたを見てた理由がやっと分かったよ。「ハルヤの言葉に嘘はないようじゃ。余はそなた達を祝福しようぞ」春哉は皇帝に頭を下げると真っ赤になったポンパーの唇にそっと口付けた。

困惑 / / 理解(ビナー)

「俺だって好奇心だけじゃないんだよ」彼の意味深な言葉に困惑したのを思い出す。雲が晴れたようにはっきりと私はその意味を理解した。春哉の狙いはポンパーだったんだ。ひたむきなハスキーボイスのお姫様にいつしか彼も惹かれてたんだね。それにしても、貧乳にもほどがあるでしょ?

懐かしむ / / 星(スター)

元の世界を懐かしむ間もなく数ヶ月が過ぎた。雲のない夜には皇帝と春哉は星を見に出かける。これじゃ春哉と付き合ってた頃と変わらないよ。ポンパーは本人の希望で私達の警護を続けている。お姫様は性に合わないらしい。フーカーが春哉を側近に任命したので結局四人はいつも一緒だ。

/ / ブーツ

冬も終わりに近いある日、窓から外を眺めていた皇帝が私を呼んだ。見ればまだ雪の残る庭を春哉とポンパーが歩いている。春になれば彼らは式を挙げる事になっていた。「余も散歩するのじゃ」「二人きりにしてあげればいいのに」寒さの苦手な私は渋々厚手のブーツを履いて表に出た。

/ 箱庭 / まつげ

朝の日差しは思ったよりも暖かかった。広い庭の一角には小さな山や池がしつらえられ、さながら帝国を縮めて箱庭に納めたようだ。先頭を行く皇帝が声を上げた。「ショウコよ。こちらに来るのじゃ」興奮した様子でまつげをぱちぱちさせている。彼の足元を見て私も思わず声をあげた。

/ ゼリー /

そこにはなんと梅干の種が芽を吹いていたのだ。「これは縁起が良いのじゃ」興奮した皇帝は耳をぱたぱた、三月ウサギのように辺りをぴょこぴょこ跳ね回る。「陛下、桜の実からも芽が!」ポンパーが赤いゼリーみたいな小さな芽を指さした。「もうすぐ春だね」春哉がのんびりと言った。


その40

悲しむ / じょうろ / 愚鈍(エーイーリー)

梅干の種を埋め毎日じょうろで水をやる皇帝を見て、芽が出ないと知れば悲しむだろうと案じていたけど、愚鈍なのはいつまでも向こうの世界の常識に囚われている私の方だったね。「民のためにも大きく育ちスーパーの梅干をたくさん実らせるのじゃぞ」彼は優しく梅干の芽に語りかけた。

見る / ダイヤモンド / 皇帝(エンペラー)

「世継ぎのできる予兆かもしれぬのう」皇帝が嬉しそうに私の肩を抱く。世継ぎってあなたと私の? 私にはウサ耳はないんだけど……。私はもう一度梅干の芽を見た。紫の双葉には朝露がダイヤモンドのように輝いている。そうだね。この世界でなら何が起きたって不思議じゃないかもね。

 

 

おわり






 お題は「診断メーカー」様よりお借りしました。

『三題ランダムキーワード2』 http://shindanmaker.com/67758

『三題ランダムキーワード2』 http://shindanmaker.com/68407


奥付



皇帝フーカー八世の冒険


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著者 : モギイ
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/fluffymoggie/profile


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