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図書館戦争

2013年5月13日鑑賞
***発令する、図書館を死守せよ!***
命がけで本を書く人は多くいる。命を削るようにして本を書く。
たとえ売れない、一般受けしない、とおもえても、書くべきだと判断すれば作品を書く。本当の作家とはそういう人たちだ、と僕は思う。
では命がけで本を守る人はいるだろうか?
僕は紙の本が好きだ。
今や電子書籍が当たり前になった。
もちろん僕も電子書籍は利用している。
読むだけではなく、自分で雑文を作り、電子書籍サイトで公開もしている。
「しかしなぁ」と思う。
やっぱり紙の本は特別なのだ。
一冊の本を手に取ってみる。
その表紙の手触り。ズシリとした重みは、まるで作者が込めた想いが伝わってくるようだ。
そして、ページをめくる時のかすかに感じる紙の香り。
正に紙の本は、それ自体が、人間の五感を刺激する、エキサイティングな芸術作品だと思う。
もちろん僕と同じように感じておられる方は多いと思う。

本作はそんな「紙の本」を愛して止まない人達のために、紙の本と図書館を守る人達を描く。
このお話は権力側が検閲を行い、読んではいけない本を決め付け、回収するという、いちおう架空の世界でのお話だ。
(もちろん歴史をひもとけば、日本だって検閲をバンバンやっていた。現在でも教科書検定は検閲ではないか?という議論はある)
検閲に引っかかった本を回収するためには、実力行使も辞さない。ドンパチだってやる。かなり過激な設定だ。
おもしろいのは、同じ国内でありながら、別の組織もあることだ。
図書と図書館を不当な弾圧から守る、図書館と読書の自由の番人。それが「図書隊」だ。
彼らは本を読む自由を守るために命を賭ける。「図書隊」も本を読む権利を守るためには武力行使も辞さない。
ただし条件がある。
「専守防衛」である。
敵が先に討って来ない限り反撃出来ないのだ。
フフフ……
まあ、明らかに自衛隊や、日本国憲法等をモチーフとしているのがわかる。
この作品、残念ながら脚本がイマイチだ。無駄でゆるいシチュエーションもあったりで、はっきり言って脇が甘いなぁ〜。


ヒロインの榮倉奈々が、やたらと上官に反抗したり、命令無視、越権行為をするのも言語道断でしょ?

このお話は有川浩さん原作。
この人はミリタリーオタクだと噂で聞く。ならば、この作品のよりどころとなる、自衛隊の行動規範等を守って、脚本作りをするべきだろう。
民間企業でもそうだが、自衛隊のような軍に準じる組織ならば(実質、自衛隊の規模、装備は明らかに軍隊である)上官の命令は神の声であり、絶対だ。
上官に意見具申したければ許可が必要である。
それを全く無視しているので、防衛組織としてのリアリティに欠け、ストーリーに締まりがないのだ。
仮に、あなたが「図書隊」の隊員だとしよう。
あなたは図書館を守りたい。
今、
まさに戦闘行動中だ。
しかし、上官の命令が気に食わない。そこであなたは自らの判断で、9m
m機関けん銃、通称「エムナイン」を手に、敵に華々しく突撃する。
その結果、無謀な突撃をしたあなたを守ろうと、他の同僚が死傷したらどうなるか?
誰が責任を取るのか?
実は「命令を下す」という行為は、部下の命を左右しかねない、極めて重い責務なのである。
だから命令した者はそれこそ「ハラキリ」覚悟で命令する。
全責任は「発令者」にあるのである。
映画も同じである。
「監督」は映画製作の全責任を負うのだ。その覚悟があるからこそ、自分より年齢も上で、大ベテランのキャメラマンや、照明、録音、美術、音楽等の熟練スタッフに「発令」し、無理難題が言えるのである。
さて、本作の見所は、やはり終盤、特務機関と図書隊との銃撃戦。そして、岡田准一氏のキレ味鋭いアクションシーンである。
ジャニーズ・タレントを舐めてはいけないのだ。実際、彼は数種の武術の免許をもっているそうで、このシーンは見逃せない。
この作品は、紙の本を命を賭けて守りたい。そんな本を愛する人達のために作られている。もちろん原作の有川浩氏も紙の本が大好きなのだろう。
未来ある子供たちに、素晴らしい紙の本を届けたい。そんな想いが一杯詰まったこの作品。その根っこに流れる「こころざし」の高さは、正当に評価されるべきだと僕は思う。

**************
天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆
配役 ☆☆☆
演出 ☆☆☆
映像 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆
総合評価 ☆☆☆
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作品データ
監督   佐藤信介
主演   岡田准一、榮倉奈々、石坂浩二
製作   2013年 
上映時間 128分 
 予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=UJpZfBH5M2k



奥付



映画に宛てたラブレター2013


http://p.booklog.jp/book/67316


著者 : 天見谷行人
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/mussesow/profile


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