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予定調和の夜




予定調和の囁きが やさしく耳朶を撫でる夜

全てを知っていた気になっていた 外では黒猫が啼いていた


熱っぽく 憐れむように

冷ややかに あざ笑うように




ミュウジック




6畳和室の片隅で

きみを想ってうたう歌が

今夜きみが見る夢のバックグランドミュウジックに


なればいいなと ぼくはうたう




あの歌




どんなに泣ける歌よりも

あのヘタクソな鼻歌を

もう一度聞きたいと

気づいてしまったそんな夜


その事実が

なにより泣ける

そんな真夜中




終えるために始める




低くたれこめる雲に舌打ちを

聞く価値もないニュースに無視を

溢れそうな溜息はネクタイで締めあげて

宵越しの疲労感はスーツで隠して

さあ、ドアを開けよう


今日という日を、終わらせるために





どこかへ。




夕暮れの輪郭をなぞるように飛ぶ飛行機に、無意識に「連れて行って」と思った。


どこへ、ではなく、どこかへ。連れ去ってほしいと。





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