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 いや、むしろ実里が刑事的責任を問われなかったことで、余計に怒りの矛先が向けられたとも考えられる。  男が身を乗り出し、彼の唇と彼女の唇との距離はわずか数センチとなった。 「哀れっぽい声を出せば、俺がお前を許してやるとでも?」  彼の囁きには、官能的で危険極まりない響きがこもっていた。怒りを暴発させないようにと努めているようにも見える。  実里は首を振った。 「生命乞いなんてしません。私を殺したいのなら、殺せば良いでしょう。それで、あなたの気が済むのなら、私は構いません」   どうせ生きていても、苦しみがあるだけだ。これからの長い一生を人を撥ねて殺したという意識を持ち続けて生きてゆくのはあまりに辛すぎる。  実里の言葉に、冷ややかな悠理の口許がほころんだ。 「それはそれは。また何と殊勝なというか潔い心がけだな」  悠理は少し斜に構えた。 「だが、生憎とあんたを殺すつもりはないんだ」 「―?」  実里は悠理を不審げに見つめた。 「まっ、長年付き合った恋人がいるんだから、まさか初めてってわけじゃなかろうし」  冷ややかな氷の微笑が悠理の美しすぎる面を縁取っている。その笑みに満足と怒りが一体化したものを感じ取った。  悠理は美しい悪魔のような凄艶な笑みを貼りつけ、見下ろす。 「俺の妻と子が味わったように、お前も地獄の苦しみを味わうが良い」  そこで悠理がふっと押し黙った。 「早妃も赤ん坊も、もうどこにもいない。だが、お前は生きている」  ふと落ちた呟きに深い苦悩がありありと表れていた。


「殺さないのなら、私をどうするつもり?」  眼を潰すとか、手足を折るとか?  よく映画で見かける残酷なシーンが頭をよぎり、実里は小さな顔を絶望の色に染めた。 「考えようによっちゃア、あんたも良い目ができるかもしれないし、俺も役得かもしれない。とにかく、俺はあんたをとことんまで苦しめてやりたいんだ。傷物にされた自分の女を見て、あの気取り返った気障野郎がどんな顔をするのかも見物だろうな」  悠理の眼は見開かれ、その奥にひと筋の興奮が見て取れる。実里は怯えを宿した瞳を瞠り、傷ついた凶暴な獣のような男を震えながら見上げた。 「騒がれたら、困るからな」  悠理はジーンズのポケットから布きれを出すと、手早く実里の口に押し込んだ。  突如として男の手が実里のスーツの前にかかった。勢いをつけて左右に引っ張られ、ボタンがはじけ飛ぶ。更に下のシフォンのブラウスも同様に引き裂かれた。  ブラウスの下は淡いピンクのブラしか付けていない。派手過ぎもせず、縁についた白いレースと真ん中の飾りリボンが清楚なデザインは実里のお気に入りだ。  実里は死に物狂いで暴れた。時ここに至り、実里も漸く悠理の意図する〝復讐〟なるものの意味が判ったのである。  悠理は続け様にスカートを引き下ろす。薄手のストッキングはすぐに引き裂かれ、忽ち ブラとお揃いのパンティが現れた。 「うぅ」  布を銜えさせられた口から押し殺した呻きが洩れる。  悠理は頓着せずに腕を伸ばして実里の背中に手を回し、ブラのフォックを外した。まるで虫でも摘んで棄てるかのように、ブラを取り去り、後ろへと放り投げる。  ヒューと下卑た口笛が聞こえた。


「あんた、結構、良い身体してるな。胸もグラビアアイドル並にでっかいじゃん」  

 言いながら、器用に実里の脚から小さなパンティを引き抜いた。

 「うーん、こいつは良いや。もう、やりたくなっちまったよ。俺」

 金属音が夜陰に不気味に響き、実里はヒッと恐怖に引きつった声を上げる。  悠理がジーンズのベルトを外し、既に猛り狂った彼自身を取り出したからだ。

 「頂き~」

  いきなり左の乳房の先端を銜えられ、実里は悲鳴を上げた。

 「う、あぅ」

 助けを求めたいのに、布を銜えさせられているために声が出せない。舌先で敏感な胸の突起を転がされる。その合間には空いた方の手で右の胸を揉みしだかれた。

  円を描くように乳輪をキュッと押され、一方ではクチュクチュと乳房を吸われる。さんざん胸を弄り回され、実里のピンク色のいじらしい突起は唾液に濡れて淫靡な輝きを放っていた。

「あんたの胸、ホント、きれいだね。あの気障ったらしい男はどうもあんたをあんまり満 足させてやってないらしい」  

 性体験のない実里には判らないけれど、この男は女性経験も豊富だから、女の身体を知り尽くしているのかもしれない。確かに早妃と結婚するまでのわずかな間、悠理は多くの女たちと寝た。その頃は求められれば、客ともホテルに行った。

 そんな彼には実里の身体がまだそれほど男に抱かれていないのだとすぐに見抜いたようだ。

 「ここが、どこだか判る?」

  耳許を熱い吐息がくすぐり、実里は涙の滲んだ瞳を揺らせた。

「あんたが、早妃を轢き殺した場所さ」

 「―!」  

 実里の眼が大きく見開かれ、大粒の涙が白い頬をすべり落ちた。

 「自分がひと一人の生命を奪ったその場所で、レイプされる気分って、どんなんだろうねぇ。そのテの趣味のあるヤツだったら、それだけではやイッちゃうくらい興奮するんだろうけど、箱入り娘のお嬢さまだから、そういうわけにもいかないかな」

 言葉だけは優しく、宥めるように語りかけていながら、実里を見下ろす美しい瞳は少しも笑っていない。


 実里が大粒の涙を零している間にも、悠理はいっそう屹立した彼自身を実里の下半身にあてがった。

 「俺、こう見えてもホストだからさ、こういうのは得意なんだよ。あんたを気が狂うくらいに悦がらせてあげるからね」

  前戯も何もなしにいきなり挿入されるのだから、堪ったものではない。しかも、実里はバージンだった。

 「うぅー」

 狭い隘路を剛直がおしひろげながら進んでゆく。実里を憎んでいる男だから、そこに労りや愛情が存在するはずがない。

 途中まで挿れた時点で、悠理はすぐに違和感に気づいたようだった。

 「何だか物凄く狭いな。あんた、もしかして、バージンか?」

 実里は到底、返事などできる状態ではなかった。ただ、無理やり秘所を押し広げられる激痛に耐えているしかないのだ。

 実里が反応しないので、悠理は再び進み始めた。途中からはもどかしくなったのか、一挙に最奥まで刺し貫いた。  実里の細い身体が弓のようにしなり、涙はひっきりなしに流れ落ちる。そのときには悠理にも完全に状況を把握できていた。

 悠理は実里の口に銜えさせた布を出した。

「あんた、やっぱり―」

「い、痛い―。痛い」

 実里は恐怖と痛みに震えながら泣いていた。


「畜生。初めてなら初めてだと最初から言えよな」  

 悠理の瞳に一瞬、憎しみ以外の感情が浮かんだが、次の瞬間には消え去っていた。

 「マ、それも良いか。早妃をあんたが轢いた場所で、あんたは俺にレイプされ女になった。たとえ処女を失ったのだとしても、早妃のように生命まで失ったわけじゃない」  

 それにと、悠理の顔に下卑た笑いが浮かんだ。 「あんたの身体、凄く良いよ。もう一回レイプされちゃったんだし、どうせなら、キャバクラにでも行けば? この身体なら、すぐに売れっ子になれるよ。何なら、良いお店、紹介してやるからさ」  

 何という酷いことを言うのか。  実里は泣きながら、悪鬼のような形相をした男を見つめた。

 「殺して、いっそのこと、殺して」

 こんな辱めに耐えるよりは息絶えた方がマシだ。

  と、悠理の美しい顔が歪んだ。

 「殺すもんか。あんたは俺にさんざん汚されて、それでも生きていくんだよ。あんたのあの気障ったらしいフィアンセとやらが今のあんたの姿を見て何て言うかねぇ。何なら、写真の一枚でも撮って送りつけてやろうか?」

 「止めて、そんなことしないで」

 お願いだから。  実里が哀願するのを、美しい悪魔は凄艶な笑みを浮かべて満足げに見つめる。

 「痛みはどう? 少しは治まった?」  

 別人のような優しい声色に実里が眼を瞠ったその時、それがやはり見せかけだけのものだとすぐに判った。

  悠理が勢いをつけて腰を動かし始めたからだ。処女を失ったばかりだというのに、破瓜の痛みがまだ残っている内奥を鋭い切っ先で幾度も擦られ、抉られるのだ。

 「あっ、あうぅ」 

  実里の声からは悲鳴とも喘ぎともつかない艶めかしい声がひっきりなしに洩れた。

 「あんたの啼く声を聞きながらヤルのも良いんだけどね、いちおう、ここは住宅地だし、誰かに気づかれたらヤバいんだよね」

 再び口中に布が押し込まれた。

 それからの時間は更に地獄であった。

 悠理は屹立を殆ど抜けそうなくらいまで引き出したかと思うと、今度は勢いつけて奥まで刺し貫く。その合間には、乳房を揉まれ、身体と身体が重なり合った下半身の接合部を弄られた。



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